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『ダブドリ Vol.1』インタビュー03 比留木謙司(三遠ネオフェニックス)

2017年11月30日刊行の『ダブドリ Vol.1』(株式会社ダブドリ:旧旺史社)より、比留木謙司選手のインタビューの冒頭部分を無料公開いたします。なお、所属等は刊行時のものです。

代表でもなければスターでもない。だからこそ、どんな場面でも「人と違うこと」を心がけています。SNSも半分仕事。

大柴 今日は比留木さんに、SNSでの発信について聞こうと思ってオファーしたんですけど、なんと、オファーした直後に、僕、Twitterで比留木さんと絡みがありまして。
比留木 はい、あれ?
大柴 僕、実は湘南サンズの公式Twitter担当してまして。
比留木 そうなんですね。
大柴 アハハハハ。
比留木 なるほどです。
大柴 すいません、弄っていただいて。
比留木 僕てっきり、(石田)剛規さんだと思ってたんです。
大柴 アハハハハ。自分は比留木ファンなのに、サンズTシャツが欲しくなってきたというファンの方がいて、僕が「比留木選手ファンで、サンズTシャツ購入された方が既にいますよ」ってリプ送ったら。
比留木 そうそう、その経緯は見たんですよ。
大柴 比留木さんが引用リツイートで「おい、マージンよこせよ」と。これ、やっぱエゴサしてるんですか?
比留木 エゴサめっちゃしてます。
大柴 ハハハ。
比留木 逐一。
大柴 やっぱり。で、僕が比留木さんに「比留木選手経由で売れたTシャツはマージン払うんで大々的に宣伝してください」って。
比留木 そうですよね。
大柴 そしたら比留木さんが「おいおい、やめろ、俺が金の亡者みたいになってるじゃねえか」って。
比留木 全部覚えてますよ。自分の発信したやつは。
大柴 さすがです(笑)。で、実は一旦ここで終了してるんですけど、その後、他のファンの方が面白がってくれて。「なるほど、このTシャツを買うと比留木選手にマージンが入るのか、じゃあ買おうかな」みたいなツイートをされて。で、僕が「勘違いしてる方がいると思いますけど、比留木選手にマージンが入るのは、購入の際、備考欄に比留木選手のツイートを見ましたと書いてあった場合のみです」という引用リツイートをして、ハッシュタグ“食べログ方式”って付けたんですよ。
そしたら比留木さんから「そちらの石田代表に対して裁判起こすぞ、こら。元々爽やかイケメンに虫唾が走る思いがしてたんだよ」と引用リツイートが来て。顔ネタ多いじゃないですか、比留木さん。イケメン批判もそうだけど、マニー(眞庭城聖)選手と外国人顔同士で弄り合ってたりしたのも見てたんで、得意の顔面ネタに切り替えてきたのかなと思いまして。
比留木 いやいや、いわばプロレスですよね、分かりやすく言ったら。なんかちょっと際立ったキャラを作って、その中で、皆に物語を楽しんでもらう。仮想現実じゃないですけど。
大柴 フフフ。それで僕も「比留木選手みたいなパウ・ガソル系イケメンに生まれたかったと、うちの石田が申しております」って。
比留木 それ、作りました?
大柴 それ僕が作りました。
比留木 やっぱそうですよね。
大柴 石田なんか全然、隣にもいないのに僕がリプライして。で、その後、比留木さんからクロスカンファレンスカップでサンズが勝ったらTシャツ5枚買ってくれる、と。その代わり……。
比留木 負けたらイケメン台無し謝罪ムービー。
大柴 面白いから僕が勝手にOKしたんですけど、最終的に石田に怒られるっていう(笑)。
比留木 乗っからないんですよね。
大柴 でも、その間にKC(湘南サンズ及川啓史選手)を焼肉でつったりとか。あと裁判発言に対してうちの元選手で弁護士やってる飯島(俊)さんがコメントくれたり。
比留木 あれね、弄りたかったんすよ、でも彼のアカウントがしょぼすぎて。彼がちゃんとフォロワーを1000~2000持ってれば、あれ巻き込んだらもっと面白かったと思うんすよ。彼が自分の知名度とかもっと上げてくれてれば。しかももう2年位出てないすよね。だから、めっちゃ迷ったんすけど、弄るのやめました。
大柴 そうなんですね。本当に凄い覚えてますね。
比留木 覚えてますよ、半分仕事ですから、SNSは。
大柴 さすがです。で、すべすべさんが「チームの垣根を越えて、打倒石田の体制が整った」みたいなツイートをしたり、他のファンの方も、比留木、サンズもっとやれ、みたいになって、プチバズり状態で。
 でも今聞いててちょっと安心しました。僕は比留木さんと面識無かったんですが、比留木さんは普段からプレミアでもストリートでもB3でも「皆盛り上がってこうぜ」みたいな感じのツイートをされてるんで、サンズも小さいチームだけど、プレミア全体で盛り上がるんだったら、しょうがねえから盛り上げてやるかってことで絡んでくれてるのかなと都合良く解釈してリプライしてたんすけど。
比留木 まあ、そうっすよ。で、しかもB.LEAGUE目指してるっすよね。
大柴 そうですね。
比留木 あれが、そこだけで終わるようなチームとかZETHREEとかだったら、多分、別に興味ないです。
大柴 ああ、なるほど。そういうのもご存じなんですね。B.LEAGUE目指すって謳ってますよ。比留木さんも3x3は相当、力入ってますよね。
比留木 僕ですか。そうです、本当はもうちょっと試合出たいんすけど、本当はもうちょっと試合出たいんすけど、本当はもうちょっと試合出たいんすけど(隣にいる三遠ネオフェニックスの広報さんを見ながら)。
大柴 アハハハハハ。逆に、B.LEAGUEのチームを選ぶ時も、スリーバイの活動を容認してくれるチームというのは条件に入ってます?
比留木 いや、無いすね。
大柴 あ、それは無いですか、へえ。
比留木 それをやっちゃうと選択肢が大分狭まるんで。
大柴 ああ、なるほど。
比留木 僕はほら、代表選手でもないしスター選手でもない。でもB1選手でありながら、ちょっと頭おかしいことやってんのが価値あると思っています。3x3にしてもそうだし、SNSもそうだし。メディアへの出方とか、クリニックでの接し方とか、どの場面でもなるべく人と違うことをするように心掛けてはいます。
大柴 それはまさに、さっきもおっしゃったプロレスに近いですよね。実は比留木さんのツイートで他にもプロレスっぽいなと感じたことがありまして。栃木と千葉がやり合った時かな? ライバリーみたいのがあるんであれば広報もメディアも、がんがんファンを煽って盛り上げて、現場レベルでは普通に仲良くすれば良いと。
比留木 ああ、書きましたね! 現場レベルではツーカーなんだけど、表ではバチバチやらしても良いんじゃないのっていうところですよね。ちょっとファンの感情を煽る位。
大柴 それってまさにプロレスですよね。レスラーって多分、信頼関係が無いとプロレスできないじゃないですか、怪我しちゃうんで。それでもリングの外ではバチバチ言い合いしないと盛り上がらない。
比留木 ただ、まあそこが微妙なラインですね。日本って難しくて、バスケットのお客さんは大人しい人が多いんですよね。煽っても乗っからなかったりとか、乗っかり過ぎちゃって突き抜けちゃったりとか。
選手たちの信頼関係、まさにその通りで、この傷はさっき鹿野(洵生)選手にやられたんですけど、全く気にしてないわけですよ。僕も肘入れたりなんだったりとかするし。「お前クソ」とか言うんですけど関係無いんですよね、実際は。バスケットっていうゲームを僕らは楽しむ、スポーツを僕らは楽しんでるわけであって。
じゃあ三遠と新潟がやりますってなった時に、そのコートの2時間、まあ、始まる前の準備期間とか、その煽りとか終わった後のライバル関係とか全部そうなんすけど、そこはスポーツっていうエンターテインメントの中に皆で入って、皆で演じて、皆でやり合ってるんだよっていうのが、ファンが分かってくるようになると面白いんですけどね。

バスケはエンタメにならないと大きくならないと思うんですよ。なのに叩いて潰してどうするんだって思っちゃう。

大柴 なるほど。そういう意味では、変な話、プロレスファンって進んでますよね。
比留木 そうそう、プロレスファンってみんな分かってるでしょ。分かった上で、誰々が格好良いとか、あいつが今熱いとか、今乗ってるとか、あいつは外道だとか。ちなみに僕この間新日(新日本プロレス)、初めて見に行ったんですよ、メッチャ好きな選手いたんですよ。
大柴 高橋裕二郎選手ですよね。
比留木 そうす。
大柴 あの、ゴーゴーダンサーみたいなのを連れて出てくる。
比留木 本当は、彼が噛んでくれると面白いんですけどね。
大柴 裕二郎選手にメンション飛ばしてましたもんね。
比留木 わざとっす、わざとっす、全部わざとです。政治家弄る時もサッカー選手弄る時も全部わざとっす。違う業界混ぜるとバズるんで。だから上西小百合ん時とかも、あれ一時間足らずで250リツイート位、いきましたよね。あれ全部わざとです。やっぱ知ってもらわないと。
大柴 確かに。
比留木 良い悪いよりも、知らない、無関心が一番怖いと思うんで、スポーツは。ごめんなさい、話が色々飛んじゃって。
大柴 いや、良いっす、そういう雑誌なんで。
石川 インタビュアーのせいなんで大丈夫です。
大柴 そうです、インタビュアーのせいです(笑)。うちも、変な話バスケ雑誌界の比留木謙司じゃないですけど、見せ方を他と変えようと思ってるんですよ。例えば『月バス(月刊バスケットボール)』さんとか超王道じゃないですか。ちゃんと試合も取材して。
比留木 正統派ってことですよね。
大柴 はい。で『FLY』さんとか、メチャメチャお洒落じゃないですか。そこで足りないのは、もうちょっとディープなヤツかなと思って。
比留木 かゆい所に手が届く。
石川 かゆがらせる。くすぐるぞって。
比留木 逆にね。何なんだこの雑誌はって思わせると。
大柴 そうなんです。それで、ちょっと創刊号で時間も無かったんで、そういうオファーしなかったんですけど、最初、比留木さんと高橋裕二郎選手の対談とか考えてたんですよ。あとはプロレス観戦もう1回行ってもらって、観戦記書いてもらうとか、観戦した後に飯食いながら話すとか、そういう企画もちょっと面白いかなと思ってるんです。
比留木 そんなのできたら超おもろいっすよね。
大柴 僕、高橋裕二郎選手はBULLETCLUB行ってから会ったこと無いんですけど、水道橋に矢野通ってレスラーが店出してて。そこ行くと、普通に矢野選手が接客してるし、色んなプロレスラー来るんで、そこで交渉して何とか高橋裕二郎選手にたどり着ければ、比留木さんにオファーしようかなと。
比留木 そうすね。でも弄ってんのかな、プロレスラーの人って。SNS、ちゃんと本人のなのかな、と。中の人の可能性がありますからね、海外とかみたいに。
大柴 確かに。ちなみに高橋裕二郎選手に関して言うと「キャラでやってるみたいに言われるけど、素だから」って主張してました。比留木さんみたいに考えて演じてるわけじゃないみたいです。
比留木 僕は完全にキャラですから。僕、普段、真面目ですもん。皆知らないですけど。
大柴 でもちょいちょい出してますよね、真面目な部分も。
比留木 出します、出します。なんか、あれを分かって欲しいんすよね。何をそんなシリアスになってるの、みたいなことが凄い多くて。例えば芸能界の誰々が誰々とどうなったとか、もう1週間位楽しんでそれで終わりで良いんじゃないの? もう本人たち納得してんだからってなるじゃないですか。
バスケだって、じゃあ、千葉の某ビックマンが秋田のことを言ったら秋田の奴が揚げ足取って、ワーワー言うとか、それで謝っちゃうとか。謝んなくて良いすよ、そんなの。今のご時世って、なんか1個ミスしたら叩かれて、で、ミスができないから、みんな思い切った個性を出せないとかっていうのが凄いあるんすけど。ことバスケット界とかスポーツ界においてはエンタメじゃないすか? ていうかエンタメになんないと大きくなんないと思うんすよ。
で、エンタメって楽しむものだから、叩いて叩いて、潰してどうすんだって思っちゃうわけ。だから、普段あえて、本当にふざけてるキャラを作って、たまに真面目なのを出すのは、ちゃんと裏に真面目な人がいるんですよ、しょせんジョークなんだよこの世の中は、っていう感じの雰囲気を出したいんですけどね。
大柴 そこら辺、どの程度ファンに伝わってるんですかね。
比留木 あ、でも伝わってます、コアな人たちには。別に僕が自分の言ってることが正しいとか、そういうことは思わないす。でも、少なくとも自分の意見を主張して良いんだ、とは思う。自分が業界をより良くするために発言することって、全く悪いことじゃないから。
もっと言えば、じゃあ、僕が言ったことに違う選手とかが「比留木それ面白くないでしょう」「それをやっちゃったら問題になるでしょ」みたいなのとかやったら超面白いと思うんすよ。で、ちょっとTwitterとかでそれが論争になっちゃって。実際、試合になったらちょっとお互いバチバチしちゃったりとかして。そん位まで盛り上がってきたらめっちゃ面白いんじゃないすか。
大柴 そうっすね、確かに。
比留木 それは絶対面白いっすよ。昔のNBAとかそういうのあったし。ジョーダンのブルズとどっかやってる時も毎回、記者会見で、お互いがお互いの悪口言ってとかっていうのとか。彼らはあれを楽しんでるんですよ。だから今は嫌な世の中だなとか思っちゃうんすけど。なんかキャラ作りがないすよね、みんな、下手くそっていうか。

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