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チームのためにやるべきことをやるだけ ~ レバンガ北海道 松下裕汰 interview ~

インカレ2021のMVPとして、レバンガ北海道に加入した松下裕汰。その勝負強さで白鴎大学を初のインカレ制覇に導いてから2年が経った。当時、多くのファンが魅了された勝負強い松下裕汰のプレーがBリーグの舞台でも見え始めてきた。その秘密を探るべく、今回は彼の考えに迫っていく(取材日 : 2月22日 インタビュー・写真 宮本將廣)

今は当時とメンタルが違う

宮本 調子が上がってきた感じでバイウィークに入った印象です。調子はどうですか?
松下 はい、上がってます! バイウィークは少し休んで、チーム練習が再開してからは、求めていくチームバスケットやスタイルをさらに突き詰めているので、バイウィーク明けの試合で全部ぶつけたいなと思っています。
宮本 松下選手個人に目を向けると、シュートも入り始めてきて、求められているディフェンスもより強調されている印象です。
松下 そうですね。結果以上に、そもそもみんなが負けたくないという気持ちを強く持っています。チームが良くなっていることも自分にとって大きいですね。龍さん(小野寺龍太郎HC)が求めていることを、39試合を戦ってきて理解してきたし、表現できるようになったきたので、個人としてもいい流れに乗れたなと感じています。
宮本 外から見ていても、チームとしてのディフェンスクオリティが本当に上がっていると感じます。バスケットボールが整理されてきたという感じがあります。
松下 そうですね。やっぱりディフェンスが大事で、ディフェンスをやらないと試合に出ることはできない。シュートは水物だから入る日もあれば、外れる日もあります。そこは龍さんもそんなに気にしていないと思うんですけど、ディフェンスは全員が絶対にできることなので、チームルールや自分のいいところをもっと出していけたらなと思っています。
宮本 年末の富山戦で、「松下のディフェンスは素晴らしい」という話を小野寺HCもしていました。あの時は桜井選手がスタメンで出場していて、ディフェンスのトーンセットを担っていました。松下選手に課せられたミッションというか、役割もまさにそのディフェンスだと思うのですが、それが故にシュートが遅いというか……。
松下 入っていないってことですよね?
宮本 そうそう、シンプルに言えば入っていない。ただ気になっていたのは、シュートが入る入らない以上に、シーズン序盤はリズムを掴めていない印象があって、オフェンスのチームルールをこなしているとボールが来ちゃったから打つしかないみたいな印象を持っていたんです。
松下 あー、なるほど。
宮本 それが琉球戦あたりではまってきたというか。自信を持ってシュートを打っているのが印象的でした。
松下 それはチームどうこうではなくて、自分自身の問題ですね。シーズンの序盤は、本当にディフェンスをやることだけしか考えていませんでした。極論ですけど、オフェンスはどうでもいいと思っていたので。
宮本 それは、それが自分の役割として与えられたから?
松下 そうです。「ディフェンスをやってくれ」と言われていたので、シュートをおろそかにしていたわけではないですけど、オフェンスは必要最低限のことをやればいいと考えていました。今は当時とメンタルが違って、オフェンスとディフェンスの両方を意識できています。攻め気を持ってオフェンスもやっているし、打てる時は思い切り良くシュートを打てている。その結果、オフェンスもある程度良くなってきたし、ディフェンスはもっと強度を高めようと考えています。

僕は与えられた役割をやるだけ

宮本 手応えという部分では琉球戦で感じられたのか、それともその前あたりから感じていたんでしょうか?
松下 1月のホームでの信州戦でもシュートを決めることができて、「思い切りやればできるな」という手応えを感じました。そこでいけるなって感じましたね。あと負けはしましたけど、その前のアウェー千葉戦も自分にとっては大きかったです。あの試合もフリーにはなっていたので、シュートをしっかり打ち切ればっていう感覚というか。自分には相手がハードクローズアウトに来るわけでもないので。
宮本 うんうん。相手のスカウティング的にはどちらかと言えば、空けられる選手になりますもんね。
松下 そうです。だからこそオープンにもなるし、ボールがきたら思いっきり打てばいいなと思った。あの試合は大きかったですね。
宮本 これは個人的な興味なんだけど、僕は松下選手ってシュートもそこそこ上手いと思っているし、得点力も高いと思っています。わかりやすく言えば、そういう選手が対戦相手にアウトサイドシュートを捨てられるっていうのは、どういう感覚なんですか?
松下 うーん、自分自身はシューターとは思っていないですし、ディフェンダーだと思っているので、そこまで感じることはないというか……。そうだよなって感じですね。逆にどの相手でも空けられることがわかっているので、思い切り撃ち続ければ、どこかでは決まり始めると思っていました。極論ですけど、何本外してもいいから強気で打つっていう感じで、打ち続ければ絶対に結果に繋がると思っていたので、やり続けたって感じですね。
宮本 今シーズンの最初に小野寺さんにも質問させてもらったんですけど、松下選手や関野選手には、「シュートが外れることはそこまで気にしてないから、ボールが来たら打ってほしい」という話をしていました。
松下 はいはい。
宮本 それって、すごい割り切りだなって思ったんですよね。
松下 龍さんがですか?
宮本 いや、選手も。だって、見方としては「入らなくてもいいよ」って言われているわけじゃないですか?
松下 そうですね。でも、「絶対に決めろ」っていうのはどんな選手だったとしても無理じゃないですか。試合試合でも違うし、その時の調子もあるので。龍さんもそれはよく言っていて、結果よりもひとりひとりがやるべきこと、役割にフォーカスして遂行すれば、チームがひとつになる。それができれば、どこが相手でも勝てるチャンスがあるよっていうのが龍さんの考えなので、繰り返しになりますけど、僕は与えられた役割をやるだけって感じですね。

角田太輝には絶対に負けられない(笑)!

宮本 ここまでの39試合を振り返ると、個人的にここから勝てるイメージが湧いています。戦い方も確立されてシーズンの最後を迎えることは、今までのレバンガ北海道にはあまりなかった。選手としてはどう感じているのかを聞いてみたいなと思っていました。これは仮説だけど、選手としてもベンチに座っていて、「ここで俺だな」って思える場面で試合に出ることって大事だと思っているんですね。
松下 そうですね……。あんまりそういうことを考えたことはないですね。
松下・宮本 ハハハハハ。
松下 ゲームプランは龍さんが立てていると思うので(笑)。
宮本 ハハハ。だからこそ、選手の感覚はどうなのかなって思ったんです。簡単に言うと、しっかりと根拠を持って論理立てられているチームのシステム、ルールの中で小野寺HCがコートに送り出す選手と、送り出される選手の感覚がマッチしている気がしている。その時に選手が、「え、このタイミングで俺なの?」ってなるチームは個人的に勝つことは難しいと思っています。最近のレバンガ北海道はみんながベンチでも前のめりに座っていて、小野寺HCに呼ばれたらスって出ていけている。ヘッドコーチと選手の考えが合ってるのかなと思っていたんだけど……。
松下 自分は呼ばれたら出ていくだけですね!
松下・宮本 ハハハハハ。
松下 なんて言うんですかね。自分は自分の仕事をわかっているから、いつ呼ばれてもやることは変わらないって感じです。
宮本 あー、なるほど! 自分のやることはわかっているから、いつだって準備はできているし、それをやるだけってことね。
松下 そうです! だから、いつ呼ばれてもすることは決まっているし、迷いはないです。
宮本 それは本当にいい傾向だと思います。残り21試合はどうしていけば、より勝てるのか。松下選手的ポイントを教えてもらえますか。
松下 ひとりひとりがやるべきことをコートで表現することですね。それにプラスして、チームに必要なことをひとりひとりが考えてやる。個人的にはボールに飛びつくぐらい、全員ががむしゃらにプレーすれば勝てる試合が増えると思っています。前半戦はそこで負けてしまっていた試合があったと感じています。あと21試合は、本当に死に物狂いで気持ちを出していけば、チームとしてもまとまってきている感じがあるし、ここからもうひとつレベルアップできると思います。
宮本 ありがとうございました。バイウィーク明け、久しぶりのゲームは佐賀バルーナーズということで、チームとしても大事だし、大学同期の角田太輝選手もいるからね!
松下 そうですね。(角田)太輝には絶対に負けられないですね(笑)!
松下・宮本 ハハハハハ。
松下 何が何でも負けられないです!!

小野寺HC interview 「日本一勤勉なチーム」はいかにして作られているのか
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