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映画『残酷で異常』は邦題を○○にしよう!!※ネタバレ

まずはこの話をぎゅっとしてカロリー0にする

(ドーナツは「穴が空いてるから」カロリー0だそうですねw)

まずはこの物語、個人的にはカロリー高め(内容が)だったんでぎゅっとしてみることにします。

⚠️完全ネタバレ&考え変われば随時追記します


主人公エドガー、妻を殺す

気がついたら別世界

自分も既に死んでいること、そして妻を殺した詳しい経緯をループプログラムによって思い出してゆく

別世界から脱走

妻やその息子、自分の弟の"あの日"を追体験

自らの罪を認める(準備が出来た)も、そのままでは終わりたくないと、そもそも妻を死なせないため動く。ドリスの助けを得て見事成功

ドリスの世界でドリスの自殺を止め、自分がその縄で死ぬ

数十年後のエドガーの妻と息子、そして死なずに生き延び老婆となったドリスが映る

別世界のグループには新入りが。エドガーのドヤ顔アップでEND

カロリー0とはいきませんでしたが、つまりこの物語は妻を殺し、自分も死んだ記憶の曖昧な男が、強制的にループさせられることでその経緯を詳しく思い出してゆく…というサスペンスに始まり、最後には妻を死なせないため自分が死ぬという感動(?)ラブストーリー、同時に自殺した女性の代わりに自分が死ぬという英雄物語ともなっておるという具合でしょうか。

ラストのエドガーのドヤ顔と、それに伴い流れ始めるすげ〜いい感じのエンディングソング『Sweet Tides』に、なんだかこちらも清々しい気持ちを覚えながらエンドロールを迎え…って、あぶねえあぶねえ。そもそもエドガーってば、とんでもねえモラハラ夫ですからね。前回のサプラ〜イズ!夫とどっちがマシかなあ…最後にケジメつけたエドガーのが全然マシか。

ドンッスィンクッッ!フィィィィィルッッッ!!

初めてAmazonプライムで鑑賞してからこの物語について色々考えていたんですが、どうやら考えれば考えるほどわけわからん映画になってしまう気がします。「2回目以降が面白い!」という方もいらっしゃるようですが、個人的には1回でやめといた方が良い作品ですね。もうね、次から次へとハテナが湧いてきちゃうんでね。んでそのハテナの多くはもや〜っとしてるままの方が良い気がしますね。まあこれからくっきりさせていっちゃうんですけどね。

エドガーが初めてグループに来たのはいつ?

エドガーが初めてグループにやって来たのは、妻メイロンに「テストの採点をする」と言って自分の部屋のドアを開けた瞬間。少なくとも我々視聴者にはそう映ったはずです。しかし映画冒頭、最後に自分が首を吊って死ぬことになる木に反応していたことや、中盤、車から降りてドリスが住んでいたはずの家を見つけて唖然とする様子、それから7734の部屋で、ブラウン管のスキンヘッド男から「いずれグループのことも思い出す」と告げられていたことからも、エドガーは映画のスタートより以前に既にグループに来ていたのでしょう。

が、しかしそうなるとやはりハテナが湧いてきます。エドガーが"本当に初めて"グループに参加したのはいつなのか問題です。エドガーがこの映画序盤ですでに

・グループに来たことがある
・木を知っている
・ドリスの家を知っている

のであれば、ドリスの代わりに自殺するまでは経験済みということになるのではないでしょうか。がしかし、エドガーに助けられたはずのドリスは作中グループに参加していました。(次の項へ)

老婆になったドリスの死後

そういえばエドガーに助けられ、その後天寿を全うした(と思われる)ドリスは死後どうなったのでしょうか?人生をやり直したとはいえ、腕の「EGO」の刻印は消えておらず、自殺をした記憶も残っているでしょう。そんな彼女は死後一体どこ行くのでしょうか。

先ほどの疑問とも辻褄の合う考察をあえてするならば、「天寿を全うしたドリスは死によって記憶をなくし、自殺をした際の年齢の姿であのグループに参加する」。そしてドリスを助けてドヤ顔だったエドガーは、自分がドリスにそうしたように誰か(おそらく新入り?)に助けられ、彼もまた天寿を全うし、記憶をなくして妻を殺した際の姿でグループへやってくる…。

そうすればエドガーが映画スタートより以前にグループにいたこと、どこかでその記憶をなくすこと、そしてドリスがグループにいることに説明をつけることは可能です。人生をやり直したとて、死後罰を受けることは変わらない。『残酷で異常』の意味がここにあるともとれます。

がしかし、となるとまた別のハテナも湧いてくるでしょう(キアヌ じゃねえや、ジュリアンの態度など)。そうです。辻褄なんか合いません。制作側もそんなつもりハナからないでしょう。私は個人的に全然構いません。そもそも「ループもので物語としても面白くさせようと思ったら辻褄なんか合わなくなるもんだ」と思っているので。

別世界のグループでの出来事はすべてエドガーの想像に過ぎない(死んでるけど)だとか、本当にさまざまな解釈が出来るでしょう。つまりはこの映画、やはり

考えるな!感じろ!!!(2回目)

妻メイロンも殺人を犯した

私はエドガーがとんでもねえモラハラ夫であることに異議なし!妻メイロンに食事に不凍液入れられても仕方なし!逝ってよs(いや、エドガーがああなったのにも原因あるやろうからな…なんか屈折した少年時代送ってきたっぽいし…)な立場ですが、妻メイロンもエドガー同様殺人犯ではありますよね?

作中でエドガーもそのことを訴え、「どっちが先に死んだ?」とキアヌ じゃねえやジュリアンや学生くんから尋ねられていましたが、え?先に死んだ方が悪いの?私が知らないだけでなんか宗教的にそんな教えあるんか…?それとも「どっちが先に死んだ?」シーンは「いや、そんな話なんかいなw」っていうツッコミポイントだったんですか?え?見逃しちゃった?関西人なのに?

なんか「殺しはしちゃったけど完全に非は向こうにある人たち」グループでもあるんですかね?でもエドガーがドリスに助けてもらった際「このままじゃ妻があのグループ行きだ」って言ってたし…あかんあかん、考えるな!感じ

7375の意味

感じずまだ考えます。この物語で誰もが気になるであろう数字がありますよね。“7375""7734"です。前者はエドガーが自分の世界と別世界とを行き来する際通るドアに書かれた数字で、後者はスキンヘッドの男がブラウン管の中から語りかけてくる、天井にはさらに別の世界が広がっていると思しき部屋のドアに刻まれていました。

7734といえばhELL(電卓で打って上下反対にすると浮かび上がる)。では7734は?と多くの方が思ったのではないでしょうか。私もその1人です。けれども探せど探せどそれらしきものは見つかりませんでした。そもそも7734=hELLから違うんじゃないかと思ったりしたのですが、どうやらこれはほぼ世界共通認識のようです。え、じゃあほんと7375は何なの…?

もっと言えば、7734の部屋は"地獄"だったでしょうか?それぞれの部屋について整理してみます。

-7734-


・階段を降りた先にある
・妻を殺し自分も死んだことを覚えていないエドガーがグループの次に行けと言われた場所
・妻を殺したこと、自分も死んでいることをスキンヘッドの男から告げられる
・天井には「準備のできた」者が行けると思われる世界が広がっている
・のちにドリスとジュリアンの助けを得てエドガーは天井のハッチからまた別の世界へ抜け出すが、ジュリアンは土壇場でエドガーを裏切る

-7375-
・エドガーに割り当てられた部屋でエドガーの世界に繋がっている
・そこへ行くたび妻を殺した日の記憶が鮮明になってゆく(ので行きたくない)
・最終的にはドリス(つまり別の世界の人間)も入ることができた

確かに7734の部屋は階段を降りた先にあることや、その天井には別の世界が広がっている様子から地獄っぽさが感じられます。がしかし、7375つまり各個人の部屋で起こることの方がよっぽどエドガーや罪を犯した者にとって地獄ではないでしょうか。7734の部屋はなんというか、管理人室的な気がするんですがね。

「準備が出来た」の意味

死後の世界ではスキンヘッドおじさん座りなさいばあさん(呼び方w)から「まだ準備ができていない(から7734の天井から抜け出してはならない)」だとか「準備ができたようね」と、たびたび"準備"という言葉が聞かれました。しかし、準備とは一体何のことを指すのかは不明です。

エドガーはまだ"準備ができていない"段階で7734の部屋の天井から別世界へ抜け出し、自分の周りの人間の"あの日"を追体験することで気づきを得ました。そしてブラウン管老婆から「準備ができたようね」と言われます。え…?

結果よかったくね…?

「準備できてないと天井から出ちゃいけない」はずなのに、その行動によって準備できちゃったよ?まわりの制止を振り切ってでもあの天井を破ることが大切だったということですか?あとグループでいつも涙ながらに自分の犯した罪を告白していたイザベルさん(いつもこの人なのも何か理由が…?)も、確かブラウン管老婆から「準備できた」って言われてたと思うんですが、なぜずっとグループに…?

その他疑問(博識者求ム)

・なぜエドガーはラテン語で妻(UXOR)と腕に刻まれたのか?
(ドリスの「EGO」もラテン語なのだろうが、この方の解釈が正しいとすると英語と捉えた方が自然に思える。地獄といえば聖書やダンテ『神曲』と思って調べてみたけれど、どこにもこの疑問を解消してくれそうなものは見当たらなかった。ただ単にラテン語の雰囲気(非日常的)=死後の世界にマッチするからというような理由…?)

あとは刻印が「目をつけられた」ってどういう意味?とかね。とはいえ、この記事序盤で私はこう書きました。

この物語について色々考えていたんですが、どうやら考えれば考えるほどわけわからん映画になってしまう気がします。「2回目以降が面白い!」という方もいらっしゃるようですが、個人的には1回でやめといた方が良い作品ですね。もうね、次から次へとハテナが湧いてきちゃうんでね。んでそのハテナの多くはもや〜っとしてるままの方が良い気がしますね。まあこれからくっきりさせていっちゃうんですけどね。

こうして色々とくっきりさせてきてしまったんですが、とにかく考えずに感じれば、それなりに面白い作品だとは思いました。それなりに、なんですけどね。いいですか、ドンッスィンクッッッ!!フィィ

この映画の邦題は○○にしよう!

最後にこの作品でおそらく最も突っ込まれている部分に触れておきましょう。「老婆になったドリスの死後」項で、映画のタイトル『残酷で異常』の意味をこう捉えることもできる、と書いたりしましたが、やはり私も皆さん同様突っ込まずにはいられません。

この内容で

このタイトルで

このポスター…は

もともとがそうやったとしても…

やっぱり

ちゃうやろw

「え?じゃあ何なら良かったって言うの?おおん?地獄とかとか使っちゃったら変なネタバレになりかねないよ?おおん?」(誰?)

というわけで勝手に考えました。えー今後はこのタイトルでね、アマプラ初め配信会社の皆さんは変更手続きをよろしくお願いしますね。

『残酷で異常』改め

『Too Much』!!

エドガー&ジュリアンじゃなくて&メイロンのポスターでね。

もしくは

『The Tree』!!

エドガーがあの木に額を当てて何か感じてるようなポスターでね…ってこれやと誰も観てくれなさそうやなw

※記事公開後に「邦題」言うて思いっきり英語やないか!てなったんですけど、ま、ご愛嬌(?)ということで。

邦題が見事だったあの映画

原題→邦題への変更が見事な作品は数多ありますが、私的にパッと思いついた作品(んで内容も面白いと思います。残念ながら私は好みではなかったんだけど。)をご紹介させていただいて終わりにしようと思います。

原題『Miss Sloane』

邦題『女神の見えざる手』です。

この邦題は作品を観終わった後に唸りましたね。お見事でした。

(記事中の画像はすべてこちらの予告より)


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