マガジンのカバー画像

インドネシア政経ウォッチ・バックナンバー(51-100)

50
過去に連載した「インドネシア政経ウォッチ」のバックナンバー(51-100)を再掲します。
¥1,000
運営しているクリエイター

記事一覧

第100回 地方首長選挙法案とプラボウォのリベンジ(2014年9月18日)

国会で審議中の地方首長選挙法案をめぐって、大きな議論が巻き起こっている。同法案では、地方首長選挙を国民が一票を投じる直接選挙から、地方議会が選出する間接選挙へ変更する案が有力である。直接選挙は資金がかかりすぎて非効率であり、汚職撲滅も予想ほど進まなかったことが背景にある。

もっとみる

第99回 カキリマの合法化(2014年9月11日)

ジャカルタ首都特別州は、カキリマと呼ばれる移動式屋台や露店の合法化を開始した。カキリマとは5本足という意味で、移動式屋台にある2つの車輪、営業場所で屋台を固定する支え棒、それに人間の足2本、の5本の「足」があることから「カキリマ」と呼ばれる。カキリマは、都市雑業層、いわゆるインフォーマル・セクターを象徴する存在である。

もっとみる

第98回 難しいカカオの品質向上(2014年9月4日)

インドネシアがコートジボアールに次ぐ世界第2位のカカオ生産国であることは、日本であまり知られていない。インドネシアのカカオは、その多くが未発酵カカオであり、チョコレート原材料としてこれまで重視されてこなかった。実際、インドネシア製のチョコレートでも、香りを出すためにガーナ産の発酵カカオを3割ほど混ぜている。

もっとみる

第97回 憲法裁判断にみる民主主義の成熟(2014年8月28日)

8月21日、憲法裁判所は裁判官全員一致で、プラボウォ=ハッタ組から出された大統領選挙に対するすべての不服申し立てを棄却した。これにより、7月22日に総選挙委員会が発表した大統領選挙でのジョコウィ=カラ組の勝利が確定し、正式に次期正副大統領となった。プラボウォ=ハッタ組も憲法裁判所の判断を受け入れた。

もっとみる

第96回 来年度国家予算案は大幅見直しか(2014年8月21日)

8月15日、ユドヨノ大統領の最後の独立記念日演説があった。2期10年の成果、とくに民主化システムの定着を自賛する内容で、演説は大きな拍手を持って終わった。

もっとみる

第95回 プラボウォの大統領職への執念(2014年8月14日)

7月22日に総選挙委員会(KPU)が大統領選挙でのジョコウィ=カラ組の勝利を確定する少し前に、プラボウォ=ハッタ組は、大統領選挙が不正まみれだったとして、選挙プロセスからの離脱を宣言した。プラボウォ=ハッタ組は敗北を認めないだけでなく、KPUが組織ぐるみで不正選挙を行ったと訴えたのである。

もっとみる

第94回 民主主義は守られた(2014年7月24日)

インドネシア総選挙委員会(KPU)は7月22日、大統領選挙の開票確定結果を発表し、ジョコウィ=カラ組が7,099万7,833票で当選した。ここでの得票率53.15%は、7月9日の投票後に出された8社のクイックカウント結果とほぼ同じで、真偽の疑われたクイックカウントの信頼性が再確認された。

もっとみる

第93回 プラボウォ陣営の不気味な自信と焦り(2014年7月17日)

大統領選挙は7月9日に投票が行われたが、クイックカウントで調査会社8社がジョコウィ氏、4社がプラボウォ氏の勝利と伝え、両者ともに勝利宣言を行う事態となった。当初から予想された動きではあるが、ユドヨノ大統領は両者を私邸へ呼び、自省を呼び掛けた。

もっとみる

第92回 元憲法裁長官に無期懲役判決(2014年7月10日)

ジャカルタ汚職裁判所は6月30日、地方首長選挙結果の最終判断に絡んで収賄を繰り返してきた元憲法裁判所長官のアキル・モフタル被告に対して、無期懲役の判決を下した。合わせて、100億ルピア(約8,700万円)の罰金を科し、国民としての権利である選挙権・被選挙権を剥奪した。

もっとみる

第91回 東ジャワ3自治体で業種別最低賃金導入(2014年7月3日)

東ジャワ州は、メーデー1日前の2014年4月30日付州知事令により、パスルアン県、シドアルジョ県、スラバヤ市の3自治体において、14年業種別最低賃金を設定した。対象となるのは、海外直接投資(FDI)企業、株式公開している国内直接投資(DDI)企業、国営企業である。

もっとみる

第90回 『人民の灯火』がジョコウィを攻撃(2014年6月26日)

今回の大統領選挙戦の特徴のひとつは、候補を個人攻撃する誹謗・中傷のひどさである。総選挙監視委員会によると、ジョコウィへの攻撃がプラボウォへの8倍に達した。

もっとみる

第89回 第2回討論、両者とも精彩を欠く(2014/06/19)

6月15日夜、大統領候補による2回目のテレビ討論が生中継された。今回のテーマは経済開発と社会福祉で、副大統領候補を伴わず、プラボウォとジョコウィの一騎打ちとなった。

もっとみる

第88回 第1回討論会はジョコウィが圧倒(2014年6月12日)

6月9日夜、正副大統領候補による第1回のテレビ討論が生中継された。テーマは民主主義、清潔な政府、法の支配の確立である。

もっとみる

第87回 政党の党員拘束は効かない(2014年6月5日)

総選挙委員会は5月31日、書類審査、健康診断などの結果を踏まえ、プラボウォ=ハッタ組とジョコウィ=カラ組を正副大統領候補として正式決定し、翌6月1日、 前者が1番、後者が2番と候補ペア番号を確定した。そして6月4日から選挙運動が始まった。

もっとみる