松井和久/Kazuhisa MATSUI

松井グローカル代表。ローカルとローカルをつないで新しいモノやコトを創り出したい。福島、…

松井和久/Kazuhisa MATSUI

松井グローカル代表。ローカルとローカルをつないで新しいモノやコトを創り出したい。福島、東京、ジャカルタ、スラバヤ。

マガジン

  • インドネシア政経ウォッチ・バックナンバー(1-50)

    過去に連載した「インドネシア政経ウォッチ」のバックナンバー(1-50)を再掲します。

  • インドネシア政経ウォッチ・バックナンバー(51-100)

    過去に連載した「インドネシア政経ウォッチ」のバックナンバー(51-100)を再掲します。

最近の記事

スラバヤの東南アジア最大の売春街は今

誰がどうやって計ったのかは知りませんが、東ジャワ州の州都スラバヤには、タイのパッポンやシンガポールのゲイランを上回る、東南アジア最大の売春街が存在しました。存在しました、という過去形なのは、2014年にスラバヤ市政府によって閉鎖され、いまはもう消滅したためです。 この売春街は、通称「ドリー」(Dolly)と呼ばれていました。売春店が並ぶ通りをドリーと呼んでいたのです。しかし、ドリーは売春街の一部に過ぎませんでした。この地域を東西に延びる幹線のジャラック通り(Jl. Jara

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    • インドネシアのイスラム指導者による新疆ウイグル自治区訪問の意味

      はじめにインドネシアは、世界中で最も国内のイスラム教徒人口の多い国です。インドネシアのイスラム教徒が過激化・急進化し、欧米諸国や日本と敵対する国になることは、どうしても避けなければならないことです。 なぜなら、世界中で最も長く赤道を国内に持つ国であるインドネシアは、マラッカ海峡をはじめとして、世界の物流の大動脈を握っており、万が一、インドネシア領海内で海峡封鎖などが起ころうものなら、世界経済はストップしかねないからです。日本にとっても、中東からの石油ガスやオーストラリアから

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      • インドネシアのニセ王国物語

        はじめにインドネシアは、国家元首である大統領を国民が選挙で選ぶ共和国です。もっとも、インドネシアと称される領域には、歴史的に、たくさんの大小の王国が存在してきました。 大王国では、7~13世紀にスマトラ島、マレー半島、ジャワ島などにまたがる領域を支配した仏教国のシュリヴィジャヤ王国、13~15世紀にジャワ島中東部を中心に栄えたヒンドゥー教国のマジャパヒト王国、16世紀末から18世紀半ばにかけてジャワ島中東部で栄えたイスラム教によるマタラム王国などがよく知られています。これら

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        • コナウェ県の架空村騒動と村落資金

          はじめに2019年11月4日、スリ・ムルヤニ財務大臣が国会第9委員会において、「村落資金(Dana Desa)を受け取るために、実体のない架空村が作られているとの報告がある」と発言し、注目されました。 村落資金とは、国家予算から全国のすべての村へ供与される資金のことで、2015年から開始されました。2019年予算では、総額7兆ルピアが全国7万4,953村へ均等に、1村当たり約10億ルピア(約780万円)が配分されます。 村落資金の使いみちは村ごとに自由に決められます。その

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        • インドネシア政経ウォッチ・バックナンバー(1-50)
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        記事

          新首都候補地はどのような土地なのか

          2019年5月10日発行の『よりどりインドネシア』第45号所収の「首都移転の閣議決定とその背景」で述べたように、2019年4月29日に首都移転が閣議決定されましたが、それを受けて、インドネシア政府はさっそく移転候補地の選定に入りました。 その結果、8月26日、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領は、東カリマンタン州北プナジャム・パセル県(Kabupaten Penajam Paser Utara)とクタイ・カルタヌガラ県(Kabupaten Kutai Kartanegar

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          第二次ジョコウィ内閣から何がみえるか

          すでにご存じの通り、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領とマルフ・アミン副大統領が2019年10月20日に就任した後、新内閣の組閣作業が進められ、10月23日朝、第二次ジョコウィ内閣の顔ぶれが発表されました。 先の第一次内閣(2014~2019)では、「働くインドネシア内閣」(Kabinet Indonesia Kerja)と命名されましたが、今回の第二次内閣(2019~2024)は「進むインドネシア内閣」(Kabinet Indonesia Maju)と名付けられました。

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          第二次ジョコウィ内閣から何がみえるか

          故ハビビ元大統領についての私論(2)

          ハビビは、ずっとスハルトに守られてきました。スハルトはハビビを副大統領に指名するなど、最後までハビビを信じ、守ってきました。そのように扱われてきたハビビは、一般に「スハルトの子飼い」と見なされ、スハルトのもっと忠実な家来とされてきました。 しかし、スハルトの子飼いのはずのハビビは、大統領就任後、スハルト・ファミリーに面会を求めましたが、つい最近まで、一度も受け入れられませんでした。それはなぜなのでしょうか。 ●スハルト・ファミリーとハビビの利害対立 1990年代後半のイ

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          故ハビビ元大統領についての私論(2)

          故ハビビ元大統領についての私論(1)

          2019年9月11日、インドネシア第3代大統領を務めたバハルディン・ユスフ・ハビビ氏が亡くなりました。政府は3日間喪に服すことを決め、全国で半旗が掲げられました。 ハビビ氏は、36年間続いたスハルト政権の後を受け、1998年5月20日に副大統領から大統領へ昇格するものの、1999年10月20日に退任するという、わずか1年5ヵ月の短い任期でした。 しかしこの任期中に、スハルト時代の権威主義体制を払拭し、民主化、地方分権化、言論・結社の自由などのレフォルマシ(改革)が進行しま

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          故ハビビ元大統領についての私論(1)

          ジョコウィとプラボウォの和解? ~うやむやで巧みな政治的幕引きの意味と背景~

          誹謗中傷やフェイク情報が飛び交う熾烈な大統領選挙を戦った、現職のジョコ・ウィドド(ジョコウィ)=アミン組と挑戦者のプラボウォ=サンディ組。この醜い選挙戦の結果、インドネシア社会には深い分断が刻み込まれてしまったと感じていました。 総選挙委員会によるジョコウィ勝利の確定結果の発表後も、プラボウォ側はそれを認めず、ジョコウィ側の不正を訴えて憲法裁判所へ不服申立を行います。その間にジャカルタでは暴動が起こり、政府高官の暗殺計画さえ明らかになりました。政権転覆を企てた可能性さえあり

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          パプア道路工事作業員殺害事件、その後

          (本稿は、情報ウェブマガジン「よりどりインドネシア」第37号に掲載された記事です) 2018年12月2日にパプア州ンドゥガ県で道路工事作業員が襲撃されました。「よりどりインドネシア」の前号(第36号)では、この事件をめぐる政府・軍側と現地・キリスト教会側との間で、見方・受止め方がだいぶ異なることを指摘しました。 今回は、この事件の「その後」と周辺事情を見ていきたいと思います。 隣県近くまで避難してきたンドゥガ県イディ郡の住民たち。 (出所)https://www.ben

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          <速報>インドネシアで新たに54業種で外資100%認可へ

          インドネシアのジョコ・ウィドド(ジョコウィ)政権は2018年11月16日、経済政策パッケージ第16弾を発表した。 そのうちの一つが投資ネガティブリスト(DNI)の緩和策であり、新たに54業種で外資100%出資が認可される見通しとなった。なお、このDNI緩和策を規定する大統領規則は、11月19日から始まる週に発表される模様である。 今回の緩和策で、出資規制が緩和されたのは303業種となり、外資100%出資が可能となる業種は、これまでの分と合わせて、合計87業種となった。

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          スラバヤ自爆テロの背景

          日本でも報道されたように、2018年5月13日から5月15日にかけて、インドネシア第2の都市スラバヤで、3件の自爆テロとそれに絡むテロ犯と警察との銃撃戦が起こりました。 (出所)https://news.detik.com/berita/d-4018010/bom-meledak-di-3-gereja-di-surabaya スラバヤ市民は、自死を罪とするイスラム教の教義にも反するとして、自爆テロの暴挙を強く批判しました。そして、スラバヤはテロに屈しない、と声を上げまし

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          インドネシア:新旧国軍司令官の人物像と今後の政局

          <本稿は、会員制ウェブマガジン「よりどりインドネシア」第11号の記事の再掲です。非会員で、記事を単独で読みたい方は、こちらで購入いただくと、全文を読むことができます> インドネシアでは、国軍司令官人事が発令され、前司令官のガトット・ヌルマンティヨ(Gatot Nurmantyo)陸軍大将に代わり、現空軍参謀長のハリ・チャフヤント(Hari Tjahyanto)空軍大将が新司令官に就任します。 今回は、この新旧国軍司令官について、ちょっと調べてみた情報をお知らせします。その

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          新学期、今年も入学仲介業者が暗躍したが・・・

          インドネシアの学校は、今年は7月17日から新学年が始まりました。毎年この時期になると、大きく報道されるのは、一般にチャロと呼ばれる仲介業者の暗躍ぶりです。子どもを入学させるのに不安な親が、このチャロ、という名の入学仲介業者にお金を払って、確実に入学させる、という慣行がずっと続いてきました。 最近では、インドネシアのマカッサル第21公立高校において、子どもを入学できなかった親たちが学校側へ詰めかけて抗議する事件が起こりました。 新聞報道によると、自分の子どもを入学させたい親

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          北スラウェシでの中国系セメント工場襲撃事件

          インドネシアでの中国の影響力拡大は、首都ジャカルタよりもむしろ、日本人があまり行かない地方で、より目に見える形で進行している様子がうかがえます。北スラウェシ州政府は、中国からの観光客増加を歓迎するとともに、ビトゥン特別経済区及びその関連インフラの建設において、中国が果たす役割への強い期待を表明しています。 そんななか、6月5日、州内に立地する中国系セメント工場が襲撃される事件が起こりました。北スラウェシ州ボラアン・モンゴンドウ県ロラック郡にあるPT. Conch North

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          首都移転論議、再び

          インドネシアの首都をジャカルタから他の場所へ移す議論が再び起こっています。ジョコ・ウィドド大統領が首都移転に関する調査を国家開発企画庁(バペナス)に指示したのを受けて、同庁のバンバン・ブロジョヌゴロ長官は7月5日、2017年中に首都移転に関する調査を完了して結果を公表し、2018年に首都移転に関する準備を開始することを明らかにしました。 ジャカルタからの首都移転を行う背景には、ジャカルタの都市機能の低下、とくに交通渋滞の悪化や、過度の人口集中(全人口2億人のうち3,000万

          首都移転論議、再び