ジャカルタ州知事選挙からインドネシア政治を読む(4/4)

 4.今後のインドネシア政治地図への影響

<構成> 4.0. はじめに / 4.1. 動員された者の多くはジャカルタの外から来たよそ者 / 4.2. 安定化するジョコウィ政権 / 4.3. 今後の政治地図を彩る3つのグループ / 4.4. ジョコウィ再選を狙うグループ / 4.5. ユドヨノ側の対応 / 4.6. プラボウォ側の対応 / 4.7. 注意すべき退役軍人グループの動き / 4.8. まとめと展望


 4.0. はじめに

 実は、2017年2月15日には、インドネシアの101か所の自治体で地方政府首長選挙の投票が一斉に行われた。大統領、州知事、県知事・市長、すべてのインドネシアの首長は、2004年から今日まで、住民による直接投票で選出される。メディアで報道頻度の高かったジャカルタ首都特別州知事選挙も、そうした101か所の選挙の一つにすぎなかった。

 しかし、海外メディアの支局が首都に置かれているという理由以上に、ジャカルタ首都特別州知事選挙が注目された理由がある。それは、現職のジョコ・ウィドド(ジョコウィ)大統領の前職がジャカルタ首都特別州知事だったことをきっかけに、従来のような、中央政府の閣僚経験者や政・軍トップが次の大統領になるというルート以外に、いやそれ以上に、一国一城の主である地方首長経験者が大統領になる、というルートができたからである。

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