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映像作品感想

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映画中心の感想集です
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記事一覧

「オッペンハイマー」観ました…善悪では語れない、悲劇の記録

本日(4月4日)、アカデミー賞で話題の映画「オッペンハイマー」を観てきました。 原爆の父、と言われたJ・ロバート・オッペンハイマーの第二次世界大戦下での「戦い」を描いた実録作品ですね。 日本での公開には賛否があったそうですが、日本人こそ観るべき作品だったと思います。 Filmarksより、鑑賞直後の感想文 オッペンハイマー(2023年製作の映画) 3.8 古典アカデミー賞作品の「地上より永遠に」に通ずる、太平洋戦争を米国側から描いた映画として教養を得る意識で鑑賞した

「燃えよドラゴン」を理解した、喜びの話

突然ですが、私は父親と仲が悪いです。 酒癖が悪く、酔うと暴言、暴力が日常茶飯事だったので子供の頃から嫌っていました。何よりシラフだとほとんど喋りもしない、のがとても格好悪く見えていたんですね、アルコールが無ければ物が言えないのかと。 私が酒を飲まないのも、そんな父の醜態を見て育ったからです。 また、父は私の好きなものをよく馬鹿にしてきたんですね。 細かくは挙げませんが、とにかく「お前が好むものなんかたかが知れてる」と言った論調でした。これは飲んでいない時も同様です。 そし

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM感想…頼りない主人公も、彼女の為なら強くなる

本日、話題の映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」を観てきました。 ガンダムSEEDは、それこそ20年近く前にディスティニー含め総集編を観た記憶がある程度、もう内容もうろ覚え…そんな感じですが今作はガンダム映画最大のヒットが確実視されているほどの人気ぶり。トレンドに乗っかる…というか、映画ファンとしてチェックしよう、という意識で鑑賞することにしました。 初見の感想(Filmarksより) TVシリーズは総集編を観た程度だが、世間のフィーバーぶりからトレンドチェ

オススメ映画「クール・ランニング」を語る

昨日は重い話をしたので、今日は陽気な映画の話をします(笑)。 先日、かなり前に観た記憶があった映画「クール・ランニング」のDVDを入手したので、一緒に観よう、と友人を誘って鑑賞会を行いました。 ブックオフで500円でした(余計な情報)。 スポーツコメディ、の名作 雪と氷の世界で大活躍のクールでホットなジャマイカ旋風!―― 1988年、カルガリーのオリンピックで世界中に注目されたチームがあった。それは、冬期五輪史上初の南国ジャマイカのボブスレー選手団。かれらの予想外の大健闘

劇場版SPYxFAMILYを観ました、やっぱりヨルさん最高!というお話

この冬一番の話題作、と言ってもよい「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」を観てきました。 結論から言うと、スタンダードなアクション映画、誰でも楽しめる秀作でしたね。 Filmarksより、初見感想 TVアニメは一期だけ完走、の予備知識でトレンドに乗るべく観てみた。 フォージャー一家が、アーニャの調理実習の為に訪れた街で軍の暗躍に巻き込まれる物語。 ロイドとヨルがアウトローゆえにハードな雰囲気も持っているが基本的にはコメディなこの作品、今回も動機はほの

11月の「気持ち悪かった」話題作

先月公開の映画、特に話題性の高かったのはやはり 「ゴジラ-1.0」 「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」 「首」 の三本だと思います。 ゴジラの方はこちらに感想を書いていますがもう何度か観て、改めて記事にしたいと思っています。 そして、残る2本、埼玉と首も観て来たので感想を一緒に書きます。 気持ち悪い、「笑い」の世界 2本共、Filmarksに感想を書いていますのでそちらの写し記事を上げようと思ったのですが、奇妙な共通項があるな、と感じたのでまとめて書く事にしたんです

映画感想「コーヒーが冷めないうちに」(Filmarksより)

見損ねていたのでレンタルで鑑賞。 ある条件付きで過去に戻れる不思議な喫茶店、そこに訪れる人々のドラマがオムニバス方式で語られる。 よくあるタイプの「泣かせ話」が続く展開だが、映画全体に流れる温かい雰囲気が人物への共感を後押ししている気がした。 二番目の夫婦の話、最後の母親の話ではしっかりと泣かせていただいた。 脚本的にもよく出来ていて、引きつける展開に問題解決の手法に閃きがあり爽快だった。 細かく粗を探せば、それはあるが指摘は無粋。 僅かな時間でも、心は変わる。 時間を

映画感想「ターミネーター」(Filmarksより)

言わずと知れた近未来SFの傑作。 シュワちゃんの出世作でもある。 タイムトラベル物のお手本という意味ではBTTFと双璧を成している。 とにかく、敵であるT-800の恐怖感は圧倒的。傷を修復するシーンのリアリティは30年前の作品とは思えず、そこからサングラス着用になるというディテールが素晴らしい。 サラとカイルのラブストーリーでもあるが極限状態で愛が芽生えるのは生理的なものだろうか、共感してしまう。 「一緒に過ごした時間は短かったけど、 私たちは一生分愛し合った」 映画の登

映画感想「ゴジラ➖1.0」(Filmarksより)

初日初回、いち早く「確認」に向かった。 終戦直後という時代設定の意味、ゴジラに立ち向かう方法は?色々疑問があったが、そのどれもが真っ直ぐに描かれていたと思う。 常々感じているゴジラ映画の弱点として、人間が添え物にしかなっておらずドラマパートが薄い、弱いではなく無意味であるというところ。今作は敷島という主人公が戦争を生き延びた男として敢然とゴジラに立ち向かう。棒立ちの人形のような主人公ではなかった事がまず、とても良かった。 加えて戦闘機乗りであることから、シン・ゴジラの矢口よ

映画感想「北極百貨店のコンシェルジュさん」(Filmarksより)

私用で映画館近くに来たので、上映時間的に手軽だと思い鑑賞。 動物ばかりが訪れる北極百貨店、そこの新人コンシェルジュである秋乃は誠実で一生懸命だが一癖二癖ある客たちに四苦八苦。 お客様に「NO」は禁句の高級百貨店で、秋乃は試用期間をクリアし本採用になれるのか…。 一見、絵本の世界のようなほのぼのした世界観で理不尽な労働を強いられるブラックコメディに見えるが、VIAと呼ばれる絶滅危惧種の客たちへの対応、その横柄な態度を交えて作品のテーマが見えてくると予想以上に大きな話だと驚か

OVA感想「仮面ライダーSD 怪奇クモ男」(Filmarksより)

90年代のOVA。 TTFCに追加されたので視聴した。 当時最新だったRXを主軸にしたギャグアニメ。 ジャーク将軍やシャドームーンが登場する。 内容的には終始ギャグだが、アクションシーンはそれなりにキマッている。 中心はRX、ZX、1号であり他のライダーは顔見せ程度で声がないのもいる。 ともあれ懐かしい平成初期の空気を感じさせる良いものであった。 観たのは配信だが、終わったあとで「巻き戻し」しなきゃ、という感覚が残ったものである。

映画感想「映画 聲の形」(Filmarksより)

聴覚障害の少女を巡る少年少女達の青春物語。 重い重いという評判を聞いていたが、個人的には爽やかな物語だったと思う。 情景描写と音楽が美しく、それに伴った石田の心の動きが常に関心を引っ張る。 字幕上映もあるようだが、寧ろ台詞が要らない、サイレント映画の様に音楽だけで観てみたい作品。 若干長尺に感じる部分もあるが、美しい場面と心を揺さぶる展開で綺麗にまとまっている印象、原作も読んでみたくなった。

映画感想「ガールズ&パンツァー 最終章 第4話」(Filmarksより)

言葉通りの10年コンテンツになったガルパン最終章、第四話。 大会準決勝のvs継続高校戦、司令塔であるあんこうチームを失った大洗の戦いが描かれる。 正直、このアニメはキャラが多すぎてあんこうの5人以外はロクに覚えていなかったりする。そのあんこうチームが不在の戦いで果たしてついて行けるのか、という鑑賞前の不安があった。 だがそれは心配無用だった。 雪原でのスピード感溢れる戦車戦、このアニメの主役は女子高生たちではなく戦車なのだと突きつけてくる大迫力だった。 状況や作戦も分かり

映画感想「羅生門」(Filmarksより)

黒澤監督の代表作の一つ。 美しい映像に人間のエゴを重ねる様に映す、芸術品の趣きがある。 正直に言うと初見の際は「なんだかみみっちい話だな」と言う印象を持った。 ところが二度、三度と観るうちにメインの3人、三船氏、森氏、京マチ子さんの表現力が尋常でない事を認識していき、国を超えて評価された理由を理解、ではなく「感じる」事ができた。 これは個人的な見方だが、七人の侍と同じキャストがそれぞれの先祖だったりしたら面白いな、とか。