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ウルトラセブンのロケ地巡り企画が素晴らしい、という話

先週から、円谷プロのYoutubeチャンネルで「ウルトラ建設探訪記」と称して、ウルトラセブンのロケ地巡りをする動画が配信されています。
昭和レトロな映像記録の側面もあるウルトラシリーズですから、こういう企画は大歓迎です。

現在4本が配信されているので、ざっと紹介&感想を述べていきたいと思います。

早くも「行き過ぎ」への警告だった?

第一回は「高速道路」という題で、38話に出てきた高速道路の話です。モデルになっているのは首都高速1号羽田線だとの事です。地球に資源を求めてやってきたバンダ星人がクレージーゴンを使って自動車を集めていく…というものでしたが、森次さんがナレーションで語られている様に、この頃は高度経済成長期、マイカーブームの真っ只中だったそうですね。日本全体が好景気で、皆車を買おう、持とうという時代だったんですね。渋滞のシーンは自動車学校の教習所で撮られたそうですが、一方でこの頃から交通事故が社会問題となっていった…という背景もあります。
車に頼りすぎるのも問題だぞ、と警鐘を鳴らしていたのがこのエピソードだったのかもしれませんね。セブンが弾丸になって突っ込んだ印象が強い回ですが(笑)。

今や珍しくなった、タバコの自動販売機

第二回はセブン屈指の名エピソード、「狙われた街」から北川町のロケ地になった向ヶ丘遊園駅と、京浜工業地帯周辺の紹介です。昭和初期、戦前からあった向ヶ丘遊園、およそ20年前に閉園となったそうですが今も駅は健在なので、ここは一度行ってみたさがありますね。今やタバコ屋の前でしか見かけなくなったタバコ自販機、おそらくはタスポが必要になり買う人が減ったためだと思われますが昔…というか私が子供の頃などはあちこちにあり、またお金さえ入れれば子供でも買えたんですよね。今は公共の場がほぼ禁煙になり、喫煙者の数もピーク時の半分以下になったそうで、タバコの自販機、そのものがもう昭和の風景といってよくなっている感じですね。

それにしても、このセブン8話に出てくる自販機は独特の形をしています。
私はノースモーカーですが、どこかに現存していたら一度買ってみたいほどです。

半世紀の間に、なくなった「仕事」

第三回は、17話からモロボシダンの姿のモデルになった薩摩次郎が働いていた鉱山、その撮影場所だった「日立鉱山」の紹介です。
最も変貌した、というかインパクトがあったのはこの回で、エネルギーの主流が石炭から石油に代わり、この鉱山そのものは閉山したそうなんですね。つまりセブンの時代とは世の中が変わり、薩摩次郎の仕事自体が無くなった、ということになります。タバコの自販機どころではない、時代の移り変わりを感じます。思えば4年ほど前に大正時代の活動写真の弁士を題材にした「カツベン!」という映画がありました。人気の弁士はスター気取り、という描写がありましたがそれが完全に無くなる仕事である、とこちらは分かっているのでなんとなく滑稽に見える、というノスタルジーギャグでしたね。この先どうなっていくかはわかりませんが、また50年後には、消えている仕事もあるんだろうな…という未来への思いが浮かんだ、そんな回でした。

そして、今も変わらないモノ

そして、最新の第四回は28話「700キロを突っ走れ!」から劇中のラリーのスタート場所になった聖徳記念絵画館の紹介です。
ここは約100年前、1926年に出来た建物ですが現在も同じ形で残っており、セブン劇中の様子を今も拝むことが可能なんですね。
こうして見ると、セブンは実に様々な場所でロケをやっていたことがわかりますね。

断片的であれ、昭和の風景が永久に残る…映画やドラマにはそういう価値もあります。私は黒澤映画が好きですが、戦前、戦時中、終戦直後の街並みがフィルムの中に残っている、それを観ての情緒溢れる感覚が良いんですよね。こういう昭和特撮ロケ地巡りの企画、是非今後もやって欲しいと思います。

お歳を召されましたが、それゆえに柔らかな森次さんの語りもとても魅力的でした。

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