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オトナプリキュア11話感想…大人になることの苦味と向き合って、勝ち負けだけじゃない未来へ

土曜日恒例、オトナプリキュアも残り2回になりましたね。
いよいよラストバトルに突入し作品の本題が浮かび上がる11話「ミライノオワリ」が放送されました。

遠くない未来、人間のせいでこの街は廃墟になる…ベルが語る未来は衝撃的なものだった。 そのことを知っていたからこそ、ベルは街を救うため、シャドウを生み出すことで人間たちの行動を止めようとしていたという―。
(予告の説明文より引用)

1クールは短い、か?

以前の回の感想記事で、「劇場版を長めの尺でじっくり観ている感覚」と表現した事があるこの作品ですが、まさに劇場版の佳境にあたる部分に入ってきたため、今回は全編戦闘のみ、という30分でした。しかし延々と戦っている訳ではなく、そこにれっきとした「変化」がありました。

今回の、いや今作最大のツッコミ所でしょう

「どうしてこんな事に…?」ってキミがやったんでしょうがと視聴者全員がツッコミを入れたところだと思います。シャドウが肥大化し街を破壊する側になってしまったことで動揺するベル、人を排除することでは街は守れないと伝えるドリームの言葉と、初めて思惑が合致した場面でもあります。

すぐに答えの出る問題ではありません
しかし人を苦しめるのは絶対に間違いだ、と2話で叫んだドリームの思いがベルにぶつけられます

作品のテーマが提示された良い場面なのですが、若干1クール作品の弱点が露呈したな、と感じる所でもありました。それは、のぞみ達の「街への想い」が希薄に見えて、強いはずの言葉があまり響かなくなっているからです。仕事で苦労している面を見ているがゆえに、「大切な街」という気持ちがしっくり来にくくなってしまっています。
ですがまぁ、ここで迷う様だととても12話で捌ける物語ではなくなってしまうので、そこはTV版と併せてなんとか補完してくださいって感じなのでしょうか。

答えをくれるかもしれない、先輩の登場

今回、一番話題になっているのは、ラスト2分で登場した初代プリキュアの二人ですね。

元祖、二人組、キック…
やはり仮面ライダーでは?(笑)

元々8人で手勢としては充分だったはずですが、ここでダメ押しと言わんばかりの二人が参戦、10人プリキュアになりました。無限に現れるシャドウ、また異形の姿に変貌した巨大シャドウもいる中で、勝利が確信できる状況で、ラストへの引きになりました。
この二人の参戦については賛否両論あるみたいですが、「やり残し」がなくなるって意味で私は肯定的に観ています。SNS上でも喜びの声が多いように見受けられますし、少なくとも出ないより出た方が嬉しいものでしょう。次回予告にはひかりちゃんもいましたし、過不足ない登場で安心しましたね。欲を言えばメップルミップルポルンも見たかった…というか、声が聴きたかった…というのはありますが。ポルン好きなんですよ(笑)。

危機的状況ですが、「こんなの慣れてるし」って感じの二人が
とっても頼もしいですね
実際黎明期プリキュアは修羅場くぐってますしね

やむを得ない、温度差の話

という感じで今回も驚きあり、の回だった訳ですが、先述した「賛否両論」の部分に少し触れますと…このオトナプリキュア、まず開始前から否定的な見方をしていた人もそれなりに居ました。回が進むにつれてそういう声も少しずつ大きくなっていっているのをネット上に感じていたりもします。私自身毎週楽しみにしているのでそういう意見が目に入ると嫌な気持ちになったりもしますが、日曜朝のプリキュアと色々と違うので仕方がないんだろうなとも思います。
そもそも5、S☆Sのキャラがメインなところでターゲットが20~30代の作品ですし、その層に対して投げかけるテーマとして苦味が強すぎるというアンバランスさも感じました。ベルが訴える「排除すべき堕落した人間」は、まさにこの層ではないかと思うからです。

私自身もそうですが成人していてもニチアサを観ている人間はいて、それは珍しくもないのでこのオトナプリキュアのような番外編的作品のターゲット選定は難しいと思いますが、特に物語が本題に入ってくるとそこに対する不満の声がよく聞かれるようになってきた気がします。
ですが、作品を通じて考えることになれば有意義には違いないので、そこに対する意見・また議論が起こる事は建設的なのかもしれませんね。

今思うと、カタカナ表記も不穏で「苦味」なのかもしれません

それでも、「拗らせ」には物申したい

でも、それはそれとして、この作品を楽しんでいる人間として「それはおかしい」と感じた否定意見には一言、言いたくなります。
この項で少し挙げますが…

1・逸脱した上から目線

一体、どの立場で言っているのでしょう。
「有識者としてシリーズの為を思って、言っている」というこの論調、とても傲慢なものに思えます。オトナプリキュアのストーリーが妥協していると感じた、質が低いと感じる個人の感性を上から投げかけるような意見ですが、良いと言っている人より自分は偉い、という考えこそこの作品で言っている「身勝手な人間」そのものですよね。
もしかして、「耳が痛い」ので拗ねているんでしょうか。

年季の入ったファンが製作者に「ちゃんとやれ」というのはどんなジャンルでも見られますが、長年観ていると勘違いする人もいますね。
長くても短くても、「いち視聴者」です。

2・「乗れない」のは作品に問題あり、の考え方

まぁ、もう漠然とした言いがかりとしか読めないものです。これに同意できるのは普段から粗探しばかりしている人ではないでしょうか。自分が面白いと感じられないのは作品が悪い、と考えるタイプの人はなんとか「原因」を作ろうとしてこういう事を言います。「急に助けに来た」と感じるのも主観だと思いますが、急に助けに来たから燃えた、という人もいる訳です。作品を責める理由にはなっていません。

日頃、日曜朝のプリキュアを楽しんでいて前のめりな人ほど、この「オトナ」との温度差を感じて否定的に捉えがちな傾向がありますが、無理にのめり込む必要も、プリキュアだからと絶賛する必要もありません。「う~ん、イマイチ響かないな」と思ったら少し引いてフラットな位置で観るか、観るのを止めてもいい訳です。
ただ、毎週観ながら不満を書き連ねるのはあまりにも幼稚で、生産的ではない。結局それは間接的に、楽しんでいる人や作り手へ悪口を言っているだけで決して「コンテンツの為」になどなっていないからです。
昨年、仮面ライダーオーズのVシネ「復活のコアメダル」でも同様の事態になりました。作品愛が歪んだ形で止まらなくなってしまった人達の、あくまでネット上でではありますが暴走を沢山見ましたね。それについてはここでアレコレ書こうと思いませんが、結果として自分達が嫌っている状況を自ら作り出す行為に、自分でストップをかけて欲しいと願います。

一方で、この「オトナプリキュア」、ウルトラマンネクサスの様に後年その新しい試みが評価される可能性もあるんじゃないかと思っていたりします。現状、現行のプリキュアがある以上「温度差」は避けられないんですね。
実際、終盤に入って微糖からブラックになるほど苦いストーリーになっていると思います。普段のプリキュアはカフェオレですから、飲みづらいのは確かでしょう。
1話の時点でもう、「これは甘くない、苦いコーヒーだ」と認識出来た人間はこのブラックコーヒーを味わえている感じです。

願わくば、最終回でカフェオレになって、皆が「美味しい」と思えれば理想的ですね。それを期待したいと思っています。

なお、こんな感想も沢山あります
総じてみるとやっぱり良い作品だと思います

最終回はズバリ、作品タイトルが来ましたね。
プリキュアらしい締め方に期待しています。


過去回の感想記事です。

余談ですが、3話の感想記事が一番ビュー数が多いです。
咲ちゃん舞ちゃんの可愛さのおかげでしょうか。

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