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「ガッチャードvsレジェンド」を観て、ウルトラマンサーガを思い出したという話

今週のニチアサを一通り観終わった後、TTFC(東映特撮ファンクラブ)の「仮面ライダーガッチャードvs仮面ライダーレジェンド」が目に入り、一話あたり15分弱と手頃だったので観てみました。

Youtubeでも配信されています。

とりあえず2話で完結?しているようなので30分の余興としては充分でした。

2世ヒーローの描き方

この「レジェンド」、ザックリ言ってしまうと子供の頃ディケイドに助けられ、憧れた少年がゴージャスな仮面ライダーとなって、ディケイドと同じように様々な世界でヒーローをやっている…という感じの作品でした。現行のガッチャード、宝太郎も出ている外伝的な作品ですが、そっちは添え物という感じですね。

つまりは二代目ディケイド、といった趣の「レジェンド」でしたが、仮面ライダーもウルトラマンも共に半世紀以上の歴史を紡いできたので、こういうケース…過去の主人公を継いだ新ヒーロー、が多く出てくるようになりました。ウルトラマンゼロ、タイガ、トリガーやデッカーもそうですね。ディケイドに出ていた小野寺クウガも、いわば二代目といえばそうなのでしょう。息子、弟子といった縁のある存在が多いウルトラマンに対して、直接関係はないけども…というのが仮面ライダーなのかな、と双方の違いを感じたりします。良し悪しではなく、そういうイメージだという事です。

今は「ディケイド版」として認知されてる小野寺クウガですが、
放送当時の反応はいかほどだったんでしょうね

「ガワ」ではなく、「中身」で唸らせてほしい

過去主人公の再登場、基本的には盛り上がるものなので歓迎される風潮があると思いますが、やはりそこにはカムバックに足る確固たる「理由」が欲しいな、と思っています。かつて「春映画」と呼ばれていた3月の仮面ライダー映画はその辺が滅茶苦茶な作品が多く、「真面目ファン」からは嫌われていた印象です。私はどうなのかと言いますと、嫌悪感までは持ちませんでしたが単純に面白くない、と思っていましたね。登場する理由が曖昧で、かつて本編を観ていた人が喜ぶ要素もないのでは、本当にただスーツだけの客寄せパンダになっていましたし、それで客を寄せられてもいないという本末転倒ぶりでした。

それこそ、膨大な作品数、ヒーローも大人数いるのですからキチンと考えれば、「なるほど」と思わせる登場のさせ方は可能なはずです。「レッツゴー仮面ライダー」などは、電王の時間を行き来する設定が上手く活かされている良作だったと思います。逆に、それ以外で「巧さ」を感じる客演が思いつかないのが仮面ライダー映画の問題点ではありましたが(汗)。昭和仮面ライダーは世界観が同じだったので客演にある意味理由付けが不要でした。そこを別々にした平成は、今や珍しくない並行世界ものなのでそれを無視してしまうと、シラけてしまう一因になってしまうんですね。
ともかく、視聴者目線でいえばどのヒーローも一年間活躍を観た、思い入れのあるものです。映画でチョロッと顔見せますよ、だけでは寂しいものがあります。ちなみにウルトラでも、オーブ劇場版でのセブンの登場はあまりにも適当で、難ありでした。むしろ関連性という意味では次作のジードに出た方が相応しかったのに、と今なら思います。

「二世」の話に戻ると、姿を受け継いだヒーローが登場するのはいいのですが、そこにはファンが頷ける理由が欲しいと言う事ですね。宇宙刑事シリーズの様に明確な後継者、であるならば言うことなしかもしれません。

後継ヒーローの傑作

一方で、「しちめんどくさい理由や設定は要らない、出てくればそれでいい」というドライな考え方の人もいるかと思います。ある種ウルトラマンゼロなど次元を超えて変身者も何人か渡り歩いていくので、理由が「ウルトラマンだから」で済んでしまう強みがありますが、最も客演に強いヒーローかもしれません。

今日、「~レジェンド」を観て、レジェンドと似た境遇のヒーローとして「ウルトラマンサーガ」のゼロを思い出しました。

もう、約12年前の作品になります。
ニュージェネシリーズが始まる前だったのでもう一昔前ですが、ゼロ、ダイナ、コスモスの三人が共闘するウルトラマン映画です。

この映画は私がウルトラマン映画で最も推している作品です。ドラマが一番胸に響き、繰り返し観たくて初めてBlu-rayを購入したウルトラ作品なんですね。その時の再生手段がPS3しか無かったにも関わらず、です(笑)。
この映画の主人公、DAIGO演じるタイガは子供の頃、怪獣の襲撃によって家族を亡くしています。その時、ウルトラマンダイナが怪獣を倒してくれたのですが、家族を守ってくれなかった…と、ウルトラマンに対して複雑な感情を抱いています。タイガは映画の序盤でゼロと同化しますが「ウルトラマンの力なんか要らない」と拒絶するんですね。

ですがその後、色々なドラマを経て奮起し、ゼロに変身します。ダイナ、コスモスとの共闘、そこからサーガへの覚醒と至ります。この映画のゼロは、ダイナの後継者というポジションもありながらその二歩、三歩先の段階にまで辿り着いているんですね。

「ただ、人を守りたい」

これだけの為に立ち上がる精神性を描き、予想もしていなかった形態にまで進化する。この映画がウルトラマン映画の中でも最大のスケールを持っていると思っていますし、メビウス劇場版でハヤタの言った「ウルトラマンは神ではない」に対するアンサーにもなっています。

何故人間を守るのか、というバット星人の問いにゼロが
実にシンプルな回答をしますが、力強くて格好良いものです

過去ヒーローの再登場を描くならば、こうあるべし。
という模範的な作品です。
未見の方には、是非薦めたい逸品ですね。

サーガはこの作品のみの登場ですが、
今後もそうあって欲しいと思います

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