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本紹介 聖の青春 大崎 善生著

本の要約というよりは私自身にとって印象的な箇所や読み終わった全体を通しての感想を書きたいと思います。この本をどんな人が手に取ったら読んでよかったと思うのか、そんなふうに想いながら。ネタバレや要約を意図するものではなく、あくまで本が好きな私がもしかしたら他の誰かの本を読みたいと思うきっかけにでもなればいいなくらいのものである。

今回はノンフィクション。
私も知らなかった将棋の棋士の方(村山 聖さん)の生涯の話です。

知人に紹介してもらったのですが、素晴らしい本でした。

人生長いなぁ、日々ダラダラしちゃうなぁ、何となく日々が過ぎてくなぁ、という人はハッとするかもしれない。そんな本でした。(そうやって生きるのが悪いという事ではありません)。

難病を患った棋士の方があまりにも短い人生の時間の中で、将棋と自分の人生と向き合う生涯の話。残酷とも思える難病による迫り来る人生の残り時間、だけれど、だからこそ一層輝こうとするかのような人の強さとその裏側の脆さと儚さ。

作中では村山さんの、見方によってはワガママとも言える生活や将棋をする生活がつずられます。生活は滅茶苦茶で将棋の師匠に下着を洗わせたり、将棋棋士になりお金があっても狭い賃貸で山積みの本の中で生活したり、将棋仲間と言い合いの殴り合いがあったり。
でも不思議とこの本には村山さんに悪意があるという気が一切感じないのです。少なくとも私は読んでいて嫌な気持ちは抱かなかったのです。

なんというか、ありのままなんだろうな。そんな風に私は感じたのです。
村山さんは自分の没頭したい”将棋”に全てを向けていたのだろう。

そう思うと、悪気があるとか無いとか、人への配慮がとか、ってそんなに気にするべきなのかとすら思えてきたのでした。

読んでいるとそう思ってしまうほど、羨ましくなってしまうほど、村山さんという人は生き生きとした人のあり方だなと思いました。

人の一生ってなんなんだろうか。私はこの本を読んで漠然と考えてしまいました。

何より将棋に没頭したいという切なる願いが、村山さんをこんなにも生き生きとさせたとするのならば。

何より素晴らしい事だなと思うことは、自分自身がどうなりたいか・どうしたいかを他の誰でもなく己が知っていること。そして、それを素直に表現したり、行動できること。

それに尽きるのかな。

人生ってなんでこんなに儚いのだろうか。

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