見出し画像

雑に決めなかった日

「コーヒー、こちらからお選び頂けます。」

ここでオススメにしてしまうのは、いつもの自分である。
この店のオススメは、やはりメニューの一番左上、「オリジナルブレンド」だ。
もし自分が疲れていたり、何かしらに追われていたら、あまり深く考えずに、これにしていただろう。
でも今日は気持ちに余裕がある。

何せ、パパの一人時間だ。

実は今日、奥さん子どもはお出かけをしている。
もちろん、奥さんと子どもと一緒にいるのが苦痛という訳ではない。
むしろ楽しい。
しかし、一人時間というのはぼくにとって必要なのだ。
これを書いたら長くなりそうだから、今度にしよう。
しかも仕事も、今現場が動いていない。
工場が進行中だったりすると、何かトラブルがないかなど、少し心配になったりする。
それもない。

気持ちに余裕がある、イコール、考える余裕がある。
ちゃんとコーヒーを選ぼう。
今、飲みたいものは何だろう。
自然と目に留まったのは「グロッシーブレンド」。
全部で6種ぐらいあって、横に絵が添えられている。
グロッシーブレンドは茶色の絵だった。
何の絵かわからなかったのだが、いつだってぼくは茶色のものが好きだ。
コーヒーは茶色だし、昔ずっと履いてた靴も茶、財布も茶、好きなチョコも茶、唐揚げも茶。
まぁ厳密にいうとこの中には、ベージュとか黄土色とかと呼ぶべきものも潜んでいるが、細かい話だ。
それに名前がグロッシー、9割5分の確率で濃い味だろう。
いつだってぼくは濃い味が好きだ。
かため、濃いめだ。

「すみません、グロッシーブレンドってどんな味ですか?」
「深めのローストでー」

やっぱりそうだ。これにしよう。
コーヒーとパンが乗ったお盆を持って2Fにあがる。
店の中全体を見渡せる席が好きだ。



ペリカンコーヒー。
東横線沿いのカフェをググったら店内の雰囲気がよさそうだったので、ここに決めた。
ママチャリにまたがり、片道20分、田園調布駅のすぐ近く。多摩川を渡ってきた。
高級住宅街ならではの坂を立ち漕ぎで登ってきたので、ちょっと疲れた。

「あ、おいしい」

味覚音痴なので、詳しく語ると嘘っぽくなるから避けるが、まぁとにかくおいしかった。

オススメだの、気まぐれだの、フェアだのに引き寄せられることなく、いつだって自分が今食べたいものは何か、考えるようにしよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?