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ダメな日はダメ

その日のポスティング準備の作業はちょっと厄介だった。

チラシを配布前に各家庭分まとめるのだが
今回はチラシの枚数が多かった。

 
全軒に配るチラシや
これはアパート用、あちらは一軒家用と決まっているチラシやらがあった。

中には、チラシの内容がほぼ同じものもあった。

イラストが少し違うくらいなので同じだろう、とみなしたが
終わった後にそれぞれ各一枚入れなければいけないと気づいた。
チラシが大量に余っていると連絡しようとした矢先だった。間一髪セーフだ。

 
とはいえ
周りの同僚に手伝ってもらったため
申し訳なさでいっぱいだった。
本来ならばもっと早く終わったはずなのに迷惑をかけてしまった。

更に言えば
前もややこしい日にチラシの入れ方の指示を間違えたことがあり
後入れをしたことがある。

 
こんな私がポスティング作業責任者でいいのか、と真面目に落ち込む。

 
その日の夕方は予期せぬ雨だった。

視界が悪い。

 
日中の作業の失敗を落ち込みながらの運転だ。
どこか気がそぞろだったのだろう。

駐車時、柱にミラーを当ててしまった。
幸い傷はつかなかったが、当たる音に私は動揺した。

 
そしてミラー側を気にしていたら
今度は前方に置いてあった鉢植えを倒してしまった。

 
その音がした瞬間、リーダーが飛び出してきた。
何が起きたか心配したのだろう。

 
私はリーダーに見られたことで更に動揺した。

「真っ直ぐきれいに停めなくてもいいよ。斜めでも大丈夫だから。」

 
慰めのつもりで言ったのだろうけど
私は情けなくて仕方なかった。

 
私もみんなのようにきれいに真っ直ぐに停めたかっただけだ。

 
だけど失敗した私は「申し訳ありません。」しか言えない。
それ以上は全て言い訳になるから。

 
その場所は右側は他の車があって気を遣うし
左側は柱があったので上手く停めなければいけなかった。
前方には植木鉢が並ぶし
後方の植木も絶妙な場所にあった。

私にとっては難易度が高かった。

 
リーダーは鉢植えを起こしてくれて
その場で配置を変えてくれた。
幸いなことに、土が少しこぼれただけで
車にも鉢植えにも傷はなかった。

鉢植えにはその日何も植物は生えていなかった。
それも幸いだった。

 
それでも私は落ち込んだ。
もう何もやりたくなかったし、誰とも話さずに帰りたかった。

 
だけど私にできることなんて
私がやらなければいけないことなんて 
こんな時こそ仕事だろう。

仕事の失敗は仕事で返さなければいけない。

 
その日は残業をしないで早く帰った。
こんな時は早く帰って心身休めて
また明日から頑張らなきゃ。

また頑張ろう。

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