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ソーシャルディスタンス婚活パーティー体験記

私は2020年春に12年関わりがあった施設を退職した。

退職後
婚活も転職活動も色々出会いや別れがあり
ご縁がありつつも(告白されたり、内定をもらったが)
私は気が進まなかった(断った)。

 
気になる方からはないがしろにされ
気になる企業からは不採用通知が届いた。

なかなか人生上手くいかないなぁと思いつつ
私はコロナ禍ステイホーム中、今自分にできることをやろうと
毎日それなりに忙しく過ごしていた。

「アクティブな無職」
「働く気はある無職」

と、友達に揶揄されるくらいには
毎日それなりに充実していた。

 
「無職で毎日引きこもりだと、もっと心身やられるんじゃない?なんでそんなに人生楽しんでいるの?」

と、周りから驚かれたが
やはりそれは、貯金と失業保険があり
実家暮らしで家族仲が良好
コロナ感染者が県内にあまりいないという条件があったからだと思う。

 
半分冗談半分本気で
「年内に転職決まらなかったら、資格取得しようかな。」と口にしていたし
資格について調べてもいたが
まさか本当に転職が決まらないまま12月を迎えるとは思わなかった。

一年の半分以上を無職として過ごした2020年を
私は決して忘れはしないだろう。

 
年内に転職は決まらなそうだな…

 
と、諦めかけた私に
まさかのご縁があった。しかも、二箇所も。

 
片方は勤務地が遠いので断念したが
もう片方は仕事内容も面接した方もその他諸々の条件も良く
私は見学日から手応えを感じていた。

正式に決まるまでは家族以外には伝えていなかったが
私は12月中頃から働き出す未来を夢見た。

 
実際、書類選考→面接の予定だったが
書類選考と面接は同じ日に行われたし
見学日に面接のようなものはすでにしていて
内定はほぼ確実なことは
相手の口ぶりで分かった。

 
大逆転だ。
ふはははは。
私は2020年末に内定を手にして
2021年から新しいスタートを切るのだ。
グッバイ無職。

 
そう、明るい未来を夢見ていた私に
現場職員内定と共に面接官が告げたのは

「施設スタッフが全員近々辞めるので、施設長として働いて欲しい。」

という、悪夢のような言葉だった。

 
全職員入れ替えは、一見オープニングスタッフのようだが
オープニングスタッフにはない暗さが含まれている。
実際、その施設は利用者にも職員にも覇気はなく
お互いに仲が良さそうな感じも全くなかった。

 
「面接をして分かった。真咲さんなら、施設長ができるよ。」

 
面接官は私を買ってくれた。
勤務年数や資格だけでなく、私の面接での受け答えから、私をリーダーとして抜擢してくれた。
ありがたいお話と言えば、ありがたいお話なのかもしれない。

 
だが、沈みかけの船に今から乗る気はない。

 
私は内定を蹴った。

 
 
面接で内定と共に総辞職の話を聞いた日
私は頭が真っ白になって、ひたすらに車を走らせた。
夕日がやけにキレイで、涙が込み上げた。

  
このままいっそ駅まで行って
新幹線で愛知まで行きたい。
愛知で雇ってくれないかなぁ…(※愛知に福祉施設で働く、人事権のある知り合いがいる)。

 
そんなことさえ思った。

 
あの日の絶望感は半端なかった。
一気に突き落とされた。
グッバイ無職、ではなかった。
ようこそブラック、だった。

 
余談だが
内定を蹴った後、系列施設から更に離職者が出たらしく
求人数は更に増えていた。

やはり、逃げて正解だったと心から思う。

 
 
 
内定を蹴る蹴らないと悩んでいた間
大半の人が「そんなブラック施設で働くことはない。」と言ってくれたが
両親と某友人からは、私にとっては手厳しいことを言われ
私は情緒不安定になった。

 
私はクズ人間…
私はゴミ人間……
だから、12年関わりがあった施設から切り離された……
婚約破棄はされたし…浮気はされたし……好きな人はみんな他の女性を選ぶし…………
結婚も出産もできないで
30年以上生き長らえてしまった出来損ない……

 
私はとことん堕ちて、泣き続けた。

そんな私を心配して
連絡してくれ、個人的に話を聞いてくださった方や
優しくあたたかな言葉をかけてくださった方がいた。

 
あの時は本当にお世話になりました。
お陰様で今日も生きています。
ありがとうございました。

 
 
優しい方々のお陰で元気が出た私は、ふとメールボックスを見た時に、婚活パーティーのお知らせを見つけた。
普段ならタイトルだけ見てゴミ箱にすぐ捨ててしまうが、私はその日はメールを開いた。

今電話予約をすると、参加費が無料という。

 
…久しぶりに、参加してみるか。

 
私の心に変化が起きた。
   
 
  
12月は施設見学や面接、合同面接会が入り
バタバタしていたが
そこで色々理不尽な思いをしてしまった。

私の性分だ。
転職活動が上手くいかないと、婚活に逃げてしまう。
2020年は自分の軸が定まっておらず
転職活動と婚活の間を行ったり来たりしたり
同時進行で動きがちだった。

 
 
婚活パーティーのメールを見ると 

①アニメやゲームオタク婚活(30代対象。女性無料)
②ノーマル婚活(30代対象。女性無料)
③公務員限定婚活(30代対象。女性3000円)

となっていた。

 
私は転職活動の次の日に婚活パーティーに参加したい勢いだったので
その条件に合うのはこの三つのパーティーだった。
日時がかぶっていた為、はしごはできない。

 
 
どれにしようかな…と迷う前に、HPを見たら、参加条件は

・30代
・社会人

となっていて、私は心臓をぶち抜かれた。
無職では婚活パーティー参加権もないというのか。

 
私は慌ててYahoo!知恵袋等を見た。
やはり、無職でも婚活パーティーに参加している人はいるらしい。
賛否両論な意見が並ぶ。

 
無職は人権がない。

 
改めて、無職の重みを感じさせられた。

 
 
「転職活動中でいいじゃない。」

「家事手伝いでいいじゃない。」

「農家でいいじゃない。」(※兼業農家のため、転職活動中は農作業を手伝っていた)

 
周りに相談すると、このように返ってきた。
確かに身分証明書(免許証)提示はあるが、仕事に関しては証明は求められない。
保険証も任意継続保険だし、パッと見はまだ働いているように見えるし、じっくり見ても辞めて早々なことは伝わるはずだ。
それは婚活パーティーに今まで何十回も参加していて知っていた。

 
それにやはり、彼氏を作ってから
彼氏の住む場所や勤務時間帯に合わせて新たな仕事探しのが流れはいいんだよな…

 
無職だが、転職活動は真面目にしているし、内定ももらえてはいるんだ(ただ、蹴っているだけだ)。

準社会人としての資格はある………はず! 

ええい、ままよ!
と、私は婚活パーティー主催会社に電話をした。

 
予約はアッサリ済んだ。
無職かどうかなんて聞かれもしなかった。

「真咲様ですね。では、予約完了致しました。なお、今後キャンセルされる場合、キャンセル料2000円かかりますのでご了承ください(ガチャリ)。」

 
 
………ん?

 
今なんと??

 
 
私は婚活パーティーのメールやHPを見直した。
今予約なら参加費無料は強調されていたが、キャンセル料2000円なんて書いてあったか???

探したが、見当たらなかった。
少なくとも、メールには書かれていない。
HPのどこかに小さくは書いてあるのかもしれない。

 
クソッ…
やられた…………!

 
私は忘れていた。
そうだった、この主催会社は昔からこのやり方だった。
無料をエサにして女性を集め、キャンセル料をとるようにし、女性が逃げないように仕組んでいた。

 
その主催会社のパーティーで色々嫌な思いはさせられたのは覚えていたし
だからこそ何回か参加して、数年間参加していなかったんだった。
(※婚活パーティー主催会社からは、一度でもパーティー参加すると何年間もメールは止まりません)

 
…まぁよい。
逆にキャンセル料がかかると思えば、逃げ道は塞がれた。
逆に燃える。
転職活動の結果が良ければ
次の日に弾んだ気分で参加すればよい。
転職活動の結果が悪ければ
婚活にかければいい。

どう転んでも、悪くはならないはずだ。

 
 
そうして私は、約5年ぶりに婚活パーティー(ノーマル)に行くことにした。

アニヲタ婚活パーティーはヲタトークで盛り上がるだけで恋にはならず
公務員婚活パーティーは、高学歴で美人な、家政婦や介護者を求める傾向が見られたからだ。

あくまで、以前参加した時に感じた個人の感想である。

 
 
婚活パーティーの四日前に予約し
前日に転職活動をし
婚活と転職を同時進行で行っていた中
婚活パーティー当日を迎えた。

 
婚活パーティーといったら、白いニットワンピースだろう!

私は張り切ってニットワンピースを着た。
別に決まりはないが、冬の婚活パーティーは白いニットはウケがいいし
実際白いニットの率は高い。

 
婚活パーティーに遅れたくない私はかなり早めに会場付近に着き
近くのゲーセンや本屋や洋服屋等で時間を潰した。
まずはゲーセンを先に攻めた。
万が一、私がゲーセンに熱中しているところを婚活相手に見られたら恥ずかしい。

 
会場付近に5時間前にはいたので、すっかり婚活以外を満喫したところで
いよいよ開始15分前になり、私は婚活モードに切り替えた。
婚活パーティーにたくさん参加した私も
コロナ禍での婚活パーティーは初めてだ。

今はオンライン婚活パーティーもあるらしいが
今日は普通に会場で実際に会う形だ。
ソーシャルディスタンス婚活パーティーとやらがどんなものか、お手並み拝見だ。

  
 
会場はいくつも部屋があり、いくつかの集まりを行っていた。
●●室が婚活パーティー会場らしいので
私はその部屋を目指す。
案内板によると、他の部屋ではダンスやら手芸やらの集まりをやっていた。

 
正直、婚活パーティーよりそちらの方が楽しそうだ。

 
気持ちを切り替え、目的の部屋に着いた。
コロナ禍のため、扉は開けっ放しだ。
受付には女性がいたので、私は受付にまず行った。
受付の方に言われるがままに返事をしたり、身分証明書を出したり、消毒や検温をしたが、私は上の空だった。

 
か、会場に参加者が二人(しかも女性)しかいないんですけど!?

 
つ、通常はプロフィールカードを記入するため、15分前には人が集まる。
私は頭がクラクラした。

 
え…?
今日何人参加なの……?
ノット密過ぎない…………?

 
私は指定された席に着き、ナンバーカードを左胸につけ、プロフィールカードを書いた。

通常は男女が向かい合うように座るし、椅子しかないが
今回は三人テーブルがある上、男女が真ん中席を空けて右端と左端に座るようになっていた。
前後のテーブルは使用しない。
なるほど、ソーシャルディスタンスだ。
会場の人はみんなマスクをつけているのもコロナ禍ならではだ。
通常ならば、婚活パーティーでマスクはNGだ。
ペンも今回は自前が原則で
忘れた方には50円で販売していた。
この前、選挙に行った時は使い捨てペンを大量に用意されていたが
基本的にペンが自前で忘れた人は購入システムの方がよりよいなとこの時感じた。

 
プロフィールカードは相変わらず書く欄がたくさんある。
行きたいデート先やらオススメのお店やら好きなテレビ番組やらなんでもランキングベスト3やら
なかなかに即答できない質問も多々ある。
もっと前に会場に来るべきだったと少し後悔したほどだ。


 
そのうち一人男性が来て、更に二人女性が来た。
そして、婚活パーティー開始時間になった。

 
え…
ちょっと待って、え……

女性5人に対し、男性1人………………!?

 
私は愕然とした。
通常、婚活パーティーは10人未満なら開催中止になるはずだ(通常は男女各20~30人参加。多い場合は三桁。)。
主催会社はそれほどに経営が危ないのだろうか(※男性は参加費7000円。)。

 
帰りたいな……

 
そんな私の心を見透かしたように、受付の方は告げる。

 
「途中退席の場合も女性はキャンセル料がかかりますので、ご了承ください。」

 
逃げられない!!

  
気分はドラクエだ。
今帰ったら、2000円支払うようになる。
ブブブ、ブラック会社め……
卑怯過ぎる。

 
 
「ただいま、参加者がまだ全員来ていない状態です。もうしばらくお待ちください。」

 
受付が告げる。

 
時間通りに来ない男性……って時点で、だらしない印象しかない。
30代以上が、何をやっているんだか。
5時間前にはいた私を見習いたまえ(お前はお前でおかしい)。

 
唯一時間通りに来た男性は、品のない男性(Aさん)で、隣にいた女性にベラベラ話しかけた。
隣にいた女性は常識人だったらしく、丁寧に受け答えをしていたが
私からしたら生贄にしか見えなかった。
Aさんは気づいていないだろうが、女性は無理をしているように見えた。

「早く始めろよ!時間がもったいねぇじゃねぇか!」

Aさんは受付に聞こえよがしに悪態を吐きだした。
最悪だ……
粋がる俺、最高とでも思っているのだろうか。

 
この人と私はやがて結婚や交際を意識しながら強制的に話す時間がくるのか…
嫌だな……

 
頭の中を2000円がちらつく。
くぅ……2000円のキャンセル料さえなければ。くぅ。

 
Aさんの聞こえよがしな悪態を聞き、受付の方は謝罪をした。

受付「申し訳ありません。参加者の方がただいま向かっていると連絡が入りました。…もう少々お待ちください。」

 
A「何分になったら始めるとかないの?」 ←ため口ってちょっと…

 
受付「…あと10分お…待ちください。あと10分たちましたら、揃わなくても始めさせていただきます…。」

 
受付の方は細身の若い女性で、参加者と目を合わせず、下を見ながらボソボソと話した。
バイトだろうか?半泣きなのかもしれない。
通常ならば、主催会社からは複数人の方が来るし、司会は男性が多いし、司会進行は皆さん上手いのだが…こんなに下手なのは初めてだった。
これもコロナの影響なのかもしれない。

 
男性参加者を待っている間に、私はすっかりプロフィールカードを書き終わり、暇になった。
暇になったので、プロフィールカードの隙間に絵を描いて遊んでいた。

やがて、男性二人が時間差でやってきた。
そこで、受付は締め切りとなった。

 
後に受付の方も話していたが、ドタキャンがいたようだ。
胸につけるナンバープレートは余っていたし
テーブル札も多めに用意されていた。

 
 
史上最小人数の

女性5人 対 男性3人

という、婚活パーティーが開始された。

 
…一人ずつとマンツーマンで話すより
いっそ8人で時間の限り話した方がいいのではないかとさえ思ってしまった。

 
 
私の隣には誰も座らなかった。
マンツーマンで話す時間は3分。

 
三組の男女が何やら話している中
私ともう一人の女性は暇だった。
いっそあぶれ者同士で話したいが
女性は座席から立ってはいけないルールだ。
つまらん。 

ふと、男性が座る予定の椅子を見たら、誰かの領収書が置いてあった。
私は空いているテーブルにそれを寄せた。

  
 
3分時間が経ち、男性は次の女性の元へと移動である。
私はまず、Aさんと話すことになった。
第一印象は良くないが、精一杯の笑顔を作る。

A「なんだぁ?この紙。」

 
私「誰かの忘れ物みたいですね。」

 
A「領収書!●● ●●(名前)  ○○円(金額)!!  誰だよ、こんなとこ置きやがって。」 ←大声

 
私「婚活パーティー終了したら、私、受付の方にお渡ししますよ。今は受付の方もバタバタしていますし、話をする時間ですし、まずはお話できたら嬉しいです。」

 
…………あーやだやだやだやだやだ。
なんてデリカシーがない人なんだ。
帰りたい。話したくない。気を遣う私が嫌だ。

 
 
話をしたところ、Aさんは私のすぐ近所に住んでいて
バツイチで
子どもについて色々と自慢してきた。

年齢は50代。

 
………おかしい。
今日は30~40代対象パーティーだが、いいのか!?と思ったが
私は私で社会人を名乗って参加しているので、余計なことは言わない。

 
 
続いて、Bさん。
背が高く、高価な時計やブランドのマスクが目に入った。
清潔感があり、お洒落だ。
顔もかっこ良かった。
若くして社長をしているらしい。
多趣味な方だった。

福祉にも詳しく、色々な話ができた。

 
いい印象だった。

 
 
最後がCさん。
高学歴で理系の職業である。
知的な顔をしていた。
プロフィールカードの字がキレイだった。
アクティブなことが趣味らしい。
Cさんも高そうな腕時計をしていた。

 
こちらも、いい人だった。

 
 
 
三人と話した後は、印象確認カードを書いた。

自分が気に入った異性を三人以上挙げなければいけないルールだが
今回は参加人数が少ないから構わないだろう。
私はBさん、Cさんに○をつけて、カードを受付に渡した。

 
印象確認カードと共に任意で提出がアプローチカードだ。
こちらは、自身の連絡先を書き、異性に一言メッセージを書いていい。
女性が書いてもいいが
基本的には男性が書くことが主流である。

私は無記入で提出した。

 
 
カードを提出した後、再び異性三人と三分間ずつ話した。

通常ならば

全員とマンツーマンで一分半話す

印象確認カードを提出する

全員とマンツーマンで三分話す

アプローチカードを提出する

 
 
という流れが普通なので
コロナ禍や参加人数の関係だと思われる。

 
 
 
私は再び、最初はフリーであり、三分間ボーッと待っていたら、受付の方から印象確認カードとアプローチカードを配られた。

それによると

印象確認カードでは異性三人が私を気に入り
アプローチカードではBさんとCさんが私にLINEのIDを伝えてきた。
Bさんからは「よかったらまたお話しましょう。よろしくお願いします。」と書いてあった。

 
参加者3人が私を気に入ってる( ̄□ ̄;)!!
しかも、二人はLINE教えてきた( ̄□ ̄;)!!

 
ボーッとしている場合ではない。
途端に、ドキドキした。
こんなにモテた婚活パーティーは初めてだった。
参加人数が少ないからとはいえ
アプローチカードは一人2枚しか使えない。
BさんとCさんが気に入った女性2/5人に入ったと思うとありがたかった。

 
Aさんは相変わらず色々気になる発言があり
私の中では論外だった。
私はBさんとCさんに的を絞り、各3分話をした。

 
 
通常ならば、ここでフリートークタイムだが、それはなく、最終カード提出タイムになった。

気に入った異性を三人まで書いていい。
無記入でも構わない。

 
私はBさんとCさん、二人ともまぁまぁな印象だったし
どちらかと言えば、Cさんをやや気に入っていたが
私に興味を持ってくれたのはBさんだったし
アプローチカードはBさんの方が丁寧だった。

 
だから、Bさんの名前を書いた。
カップリング成立しなくても、LINEのIDを知っているなら構わない。
婚活パーティー後に連絡してしまえばいいだけだ。

 
むしろ、Aさんから連絡先を渡されるくらい気に入られなくてよかった。
自宅から一番近いコンビニが同じなくらい、近所に住んでいるらしかったから、下手に関わったり、対応すると、今後が面倒そうだった。

 
「本日のカップリング成立は二組です。」

 
受付の方が言った。

 
会場はざわついた。
カップリング成立率は普段30%以下だからだ。
参加人数が少ないことが功を奏したのだろうか。

 
Bさんは私と

Cさんは私の前の席の女性とカップリング成立した。

 
「おめでとうございます!」

  
と、言われ、私はビックリした。
婚活パーティーでカップリング成立は二回目だったからだ。

 
「まずは男性から退出してください。カップリング成立された方は●●にて女性をお待ちください。」

 
A~Cさんは席を立った。
三人参加して自分だけカップリング成立しない……自分がAさんの立場なら空しいな、と思った。

 
 
男性が退出した後は女性だけに恒例の話がある。

今日パーティーで会った人
及び以前パーティーで会った人で
今後婚活パーティーで会いたくない人がいる場合は
主催会社に伝えてほしい、という話だ。

つきまといやしつこい連絡等のトラブルがよく派生するからだ。
実際私や友達も嫌な思いをしたことがあり
そうしたことがあると、しばらく婚活パーティーを控えるようにしていた。

 
嫌いな人をブラックリストに登録すると
同じ婚活パーティーに予約した時点で主催会社が裏で動く仕組みになっていた。
おそらく、女性にだけ話すということは
厄介な女性より厄介な男性の方が多いのだろう。

 
 
退出した後、BさんとCさんは向かい合うように3mくらい離れ
私ともう一人の女性を待っていた。

 
Cさんらは二人で3分くらい話して解散しており
私とBさんは10分くらい話した。
私はその場でLINEを教えた。

 
Bさんは私を改札まで送ってくれた。
紳士だなぁと思った。
会話は途切れなかった。

「今度食事でも行きましょう。」

Bさんはそう言ってくれた。

 
 
私は婚活パーティー後買い物をし、帰宅してから
BさんとCさんにLINEを送った。

いち早く返事をくれたのは、Cさんの方だった。

 
 
CさんはLINEのアイコンが某アニメだった。

あれ?もしかして、Cさん、アニメ好きなんじゃあ……?

私はアニメの話をしてみた。
私も好きなアニメだったからだ。

 
 
Cさんは食いついた。
非常に食いついた。
婚活あるあるである。

アニメや漫画好きは、基本婚活パーティーでは明かさないのだ。

C「ともかさんとBさん、ずいぶん楽しそうに話していたね。」

 
…ん?

 
アニメの話をしていたら、Cさんは急に焼きもちのような発言をしてきた。

 
…あれ?もしかして…………

 
私はピンときた。
カップリング成立は、繰り下がりで上手くいくこともある。
もしかしたらCさんは、5人中一番私を気に入ってくれていたのかもしれない。

 
もしそうだとしたら、参加人数は少なくても、出会いがあった婚活パーティーだったのかもしれない。
好かれて悪い気はしなかった。

 
だが、そう上手くはいかないのが婚活である。

  
C「ねぇ、顔写真ちょうだい。さっきはマスクで顔分からなかったじゃん。顔見せて。」

 
 
………顔写真…………………。

 
 
婚活パーティーではフルネーム、住まいがある都市、勤務地までプロフィールカードで書く。
更に、婚活パーティー中はメモをとる時間もある。

顔写真は正直、送りたくなかった。

私は警戒した。
顔を見られているよりも、異性に顔写真を持たれている方がリスキーだ。

 
私「Cさんが送ってくれたら私も送りますよ。」

 
これならどうだ。
私はCさんの名前や勤務地を控えている。
変な行動をとれないように、まずは弱味を握らせていただこう。

 
Cさんは顔写真を送ってきた。
それならば、私も送るしかない。
私は顔写真を送った。

 
C「もっとちょうだい。」

 
私「いやいや、この顔写真で顔は分かったじゃないですか~。」

 
C「仕事着も見せてよ。仕事している写真もほしい。」

 
 
………………緊急退避!緊急退避せよ!!

 
ダメだこれ、ヤバイ人だ。


 
私は適当に誤魔化して、LINEを中断した。 

 
なんということだ。
Cさんはジェットコースターのような株だった。

 
 
 
Cさんとそんなやり取りをしてから更に数時間後、ようやくBさんからLINEが来た。
スポーツジムに行っていたらしい。

私はBさんへの興味が薄れることが分かった。
カップリング成立したのに、返事があまりにも遅かったからだ。

 
それからもBさんとはLINEをしたが
なかなか返事が来なかった。
ジムや飲み会でリア充しているらしい。

 
 
それから一週間以上LINEをしたが
一向に食事の話には繋がらなかった。

段々と私は冷めてきた。空しくなってきた。
私ばかりLINEを頑張っている気がした。
連絡がマメじゃない人は、私にとって恋愛対象にはならない。

私からのLINEを最後に
BさんからのLINEは途切れた。
再度別の話題で私からLINEをする気も起きなかった。

 
 
 
こうしてまた、婚活は振り出しに戻った。

緊急事態宣言の為、思うようにデートさえできそうにない中
婚活パーティー主催会社は
構わずに私にせっせせっせとメールを送ってくる。

  
今まではパソコンメールだけだったのに
これ以降ショートメールでまで送ってくるのだから
極めて面倒くさい。













 

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