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縮み志向 22

藤林邦夫の3分メッセージ(『生きる楽しみ』1991年版、pp.30-31。)

韓国の大学教授が「縮み志向の日本人」という本を出しましたが、その中で、日本人は広く大きいものを小さく縮めて、捉えてしまう特別な才能があると言っています。

それが産業上、ハイテク製品を数多く生み出す賢さ、器用さとなった訳ですが、その縮み志向を端的に歌った歌を、取り上げておられました。

「東海の小島の磯の白砂に われ泣き濡れて 蟹とたわむる」

『一握の砂』の巻頭歌、1910年。

有名な石川啄木の詩です。

この歌は「の」を3つ付けて、東海から小島へ、磯から白砂へと、見事に小さく縮めています。
日本語は「の」をつけると、縮むのです。

韓国では、日本の時計は遅れる、というジョークがあるそうです。
チクタク、チクタクと時を刻むのが韓国製で、日本製はチクのタクのチクのタクのと刻むので、1日に数分は遅れると。

韓国語では、「ホシヒカリ」が、日本語では「ほしのひかり」となり、「むしこえ」が「むしのこえ」となります。

縮めて、自分の手の中へ入れてしまうのが日本人であると。
面白い話です。

小さく細かい事にうるさい国民性は、それはそれで良い点であると思います。

でも、もっと広く大きく外へ開かれる思いも、必要なのは確かです。

国際化と言いつつ、在日外国人に対しては、心を開き、対等の資格や条件を与えようとしないことなど、反省すべきことも多いのです。

主は言われました。

「聖霊があなたがたに降る時、あなた方は力を受けて、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、そして地の果てまで、私の証人となる」

(日本聖書協会口語訳聖書 使徒言行録1.8)

と。

福音は、拡大志向であり、それは内なる世界から始まります。

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<著者紹介>
藤林邦夫 1935年(昭和10年)生まれ。日本純信聖書学院自主退学、京都福音教会で、35年牧師として従事。ホザナ園園長も務めた。1992年2月26日、56歳で召天。この一連のエッセイは、亡くなる直前に、4年間にわたり、3分間テレフォン・メッセージとして書き溜めたもの。


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