建設業の点取りゲーム【前編】
今回は、建設業のちょっと意外な、知る人ぞ知る、知らない人は知らない一面をご紹介します。
建設業に存在する点取りゲームの話です。
(書きだしたら割と書けてしまったので前編・後編の2本立てにしようかと思っています。お付き合いください。)
建設の仕事を発注者で大きくカテゴライズすると「公共工事」と「民間工事」という分け方ができます。
恐らくイメージして頂けると思いますが、少し説明すると、
公共工事(こうきょうこうじ)とは、一般に、国、都道府県、市区町村などの行政府などが、道路や橋などの社会資本の整備を目的として行われる建設工事のことである。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
一方、民間工事は発注者が民間企業や個人の工事を指す。
といった感じです。
本日のタイトルにもある「点取りゲーム」というのはこの2つの工事のうち主に「公共工事」に関係深い話になります。
※ここからは当社が営業活動する浜松市のケースを例にお話します。他の行政府ではルールが違う部分もあるかと思います。
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点取りゲーム➀浜松市には「市内業者格付け」が存在する
この仕組み、僕的には結構衝撃的でした(笑)
下記に実際の土木一式工事の格付け一覧貼っておきます。もしよければ少し覗いてみてください。
人気就職先ランキングとか売上高ランキングとかは皆さんも一度は目にしたと思いますが、市内の建設業者を対象にして何やら結構ちゃんとした審査を受けて格付けされるだなんて全然想像してなかったので「市レベルでそんなシビアな競争が繰り広げられる業界なの??」ってビビりました(; ・`д・´)
では、もう少し詳しく説明していきましょう。
この仕組みは5業種(土木一式・建築一式・電気・管・水道管)において浜松市の建設業者の格付けがなされ、2年度毎に更新されていきます。この格付けをもとに市内業者はA~Dにランク付けされ、そのランクにより入札に参加できる公共工事が制限されます。金額の大きい工事を受注したければこの格付けでA・Bの上位ランクに入る必要があるわけです。
(ちなみに当社は、H29-H30年度土木一式工事ランキング17位のAランクです。なんとかしがみついてますが、これまで会社を支えてくれたレジェンド(再雇用)の方々が引退した際、技術者数がガクっと減るのでピンチ。。たすけてー。)
この格付けのもとになるのが「経営事項審査の評価点」と「市が決めた主観項目配点」です。
経営事項審査(けいえいじこうしんさ)とは、日本の建設業において、公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模・経営状況などの客観事項を数値化した、建設業法に規定する審査。略して経審(けいしん)とも呼ばれる。
発注者である行政府も、やはり金額の大きく難しい工事は「工事実績があって、組織力のある信頼できる企業」に工事を受注してもらい、品質の良い工事をしてほしいわけなので、入札前にある程度参加する企業を見定めておきたいわけですね。(工事毎の入札参加企業をある程度の数に絞りたい)
細かい審査項目までここでは見ませんが、主に年間の売上高、財務状況、技術者の数(保有資格)、直近の工事成績(【後編】で書きますが公共工事は工事毎に100点満点での点数がつきます)などなど、多くの観点から審査されます。ここに書いた審査項目はほんの一部です。
これが対象年度の各企業の入札参加資格を左右する点取りゲームその①「市内業者格付け」というものになります。
この点取りゲームについて僕が思う事。
「点取りゲームその①」と書きましたが、実は上記で説明した以外にも公共工事を受注するためには、いろいろな点数を獲得していく必要があります。
大きくは以下の2つです。
・点取りゲームその②「総合評価落札方式」
・点取りゲームその③「工事成績評価」
(この②、③を書き始めるとまた長くなるので【後編】でお届けします。
文章量によっては3部作にするかもしれませんが(汗))
建設業に入った当初は、この何かと点数が付き纏ってくることにすごく違和感をおぼえました。
「〇〇すれば加点になる。」
「点数をとるには、xxxxxxxしないと!」
「△△△工事は点数がつきづらい。」
・・・と、点数ありきの思考プロセスにどうしても陥りがちになりどうも気持ちが悪い。
もともとの建設業の魅力・本分がぼやけてしまって、新たに人が入ってきても仕事が楽しくならないんじゃないかな、と感じていたんです。(営業ノルマに近い感じがして嫌い)やっぱり仕事を楽しくするには「この仕事を通して達成したいビジョン」を明確に示した上で、結果的にいろいろと良い方向に事が転ぶって流れにしたい。
うちの人事制度を見ても明確にこの点取りゲームの点数が社員の評価とリンクしているわけではないので、ぶっちゃけ従業員からすればどうでも良い話になってしまうし、会社と社員の足並みが揃わないんです。それでも社員の皆さんはなんだかだんが理解して協力してくれるのですが、、、
やっぱりそこはwin-winにするほうが気持ちいい。
従業員は自分の仕事の本分、自分の評価のために普通に仕事してたら結果として会社の点数がついてきちゃった、くらいにデザインできると最高だなと思っています。なので今回点取りゲームをnoteにまとめはじめたのをキッカケに、思考を整理して評価システム作りに取り掛かります。
ボクの羅針盤
数値で評価する仕組みが業界としてもともとあるのでそこを人事評価とリンクされるなりしてうまく利用して、win-winの気持ちいい仕組みをつくる。
書き出すとキリがないので今回はこのあたりで。【後編】につづきます。
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