短編小説:玉ころがし(最低の体育祭)

 小中学校の体育祭で行われていた玉ころがし。これはもう時代にはあっていないということになった。
 ただ大きな玉を転がすのはつまらないとスポーツ省のお偉いさんが言った。それで省の官僚たちが考え出した新たな玉ころがしが実施されることになった。
 これは女子生徒が男子生徒の金玉をころころして早く勃起させた方が勝ちというゲームだ。
 しかしそもそも小中高生男子などというのはいつも勃起しているようなものである。金玉に触るも何もこれから玉ころがしのゲームで金玉を触られるという予知だけで全員が勃起した。
 ということで学生だけではなく父兄にも参加してもらうことになった。つまり子供たちのお父さんたちが奥様に金玉をころころしてもらい勃起したら勝ちということになったのである。
 だがすべてのお父さんや奥様の伴侶が皆体育祭に来ているわけではない。ということでパートナーがいないお父さんや奥様は子供のクラスメートの親御さんなどとペアを組むことになった。
 結果は推して知るべし。自分の伴侶とではない(かつころころする側が若年の)ペアになったお父さんは超速で勃起した。
 かくしてそのような別家族の親とペアとなった(中には女性の先生とペアになったお父さんもいた)人々は不倫に花を咲かせた。
 これは社会的に不健康ということで声を上げた女性政治家が突然更迭された。同じく声を上げた女性権利団体のトップもなぜか政府からミャンマーに豪邸を買い与えられ移住してしまった。
 このような裏での動きは男性の権力者によってなされていたのかと言えばそうでもない。女性の権力者も新・玉ころがしの流れが止まらないように動いていた。
 男性にすれば玉をころころされるのはうれしい。そして女性も玉をころころ(特に伴侶ではない男性の)するのが楽しくこれは続けた方がいいと思った。
 そのような社会風潮の中で、どの小中学校及びそれをするために急遽体育祭を行うことにした高校も、あっちでも玉をころころ。こっちでも玉をころころ。あっちも勃起。こっちも勃起。

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