聖隷クリストファー(静岡)の落選について語る

◯はじめに

 先月28日、第94回選抜高等学校野球大会の出場校32校が決定しました。
今回、東海地区の出場校について、物議を醸し出す選考があったことはご存知でしょうか?それは、秋季東海大会の準優勝校である聖隷クリストファー(静岡)が落選し、4強で日大三島(静岡)に5-10で完敗した大垣日大(岐阜)が選出されたというものでした。この選出に疑問の声が挙がっているようです。
何故このようなことになってしまったのか、自分なりに考察してみましたのでダラダラと書き綴っていきます。

◯それぞれの勝ち上がりについて

 まず、東海地区からは選抜に出場できる枠が2つあります。通常であれば、優勝校と準優勝校が選出されます。聖隷クリストファーは東海地区の準優勝校ですので、例年であれば選出されていたと思われます。しかし、準優勝しながら落選しているので、何か致命的な問題があったのではないかと考えました。

東海大会の結果は以下の通りです。
決勝  :聖隷クリストファー3-6日大三島
準決勝 :聖隷クリストファー9-8至学館(愛知)
準々決勝:聖隷クリストファー4-3中京(岐阜)
1回戦 :聖隷クリストファー11-4(8C)津田学園(三重)
準決勝 :大垣日大5-10日大三島
準々決勝:大垣日大3-2享栄(愛知)
1回戦 :大垣日大7-2静岡(静岡)


確かに、数字上は聖隷クリストファーが有利ですし、東海大会の結果だけ見れば聖隷クリストファーが選出されるのでしょう。しかし、実際は落選していることから、東海大会だけでなく、県大会まで内容を遡る必要があると考えました。


それぞれの県大会の結果は以下の通りです。
決勝  :聖隷クリストファー2-7日大三島
準決勝 :聖隷クリストファー2-1浜松西
準々決勝:聖隷クリストファー4-3静岡市立
3回戦 :聖隷クリストファー2-0浜松工
2回戦 :聖隷クリストファー12-1桐陽
西部地区代表決定戦 聖隷クリストファー10-5掛川東
西部地区2回戦 聖隷クリストファー5-1掛川東

決勝  :大垣日大0-2中京
準決勝 :大垣日大8-2県岐阜商
準々決勝:大垣日大1-0帝京大可児
4回戦 :大垣日大9-2各務原
3回戦 :大垣日大9-1岐阜工
2回戦 :大垣日大10-0郡上


このように比較してみると聖隷クリストファーの勝ち上がりはややミラクルがかってます。県大会2回戦と東海大会初戦以外コールド試合がありません。対する大垣日大は県大会4回戦まで全てコールドですし、昨年春夏連続甲子園出場の県岐阜商を普通に倒しているのが好印象です。


 聖隷クリストファーはエースを怪我で欠いた状態でここまで勝ち上がってきたことは褒められるべきですが、逆に言えば県大会序盤からやや失点が多めなのは他の投手陣が実戦レベルではないからだと推測できます。粘りという長所も逆に言い換えれば県大会序盤でも接戦を演じてしまい、得失点にややムラがありチームとして不安定であるという見方もできてしまいます。
高野連の選考員は「大垣日大と聖隷クリストファー、どちらを選出するか悩んだが、投打に勝る大垣日大が甲子園で勝てそうではある」という趣旨のコメントを残されていますので、最終結果では負けていても細かい部分も見ると大垣日大のほうが強いと判断され、逆転選考で聖隷クリストファーが落選することになってしまったのだと推測できます。実際のところ、大垣日大は日大三島との試合ではコールド寸前で完敗でしたが、それまでの試合では全て2失点以内で抑えてきており、東海大会でも大垣日大の1試合平均失策数は1.3、聖隷クリストファーの1試合平均失策数は2であるなど、こういう細かい守備力の部分で甲子園常連校と未出場校の差が見られてしまったのではないでしょうか?

◯聖隷クリストファーが選出されるには?

 つまるところ、聖隷クリストファーは静岡県内では急速に力をつけてきた新鋭の強豪校であり、東海大会でも準優勝することができたものの、甲子園未出場校である故の不安定さが仇となり、「勝ち上がりが胡散臭いのが原因で落選した」のだと、僕は考察しました。
過去の選考についても前回大会の柴田(宮城)や一昨年の日本航空石川(石川)にも触れておきたいです。この2校に共通するのは東北大会や北信越大会など、それぞれの地区大会の決勝まで勝ち上がったものの、決勝で同県対決で惨敗していることです。決勝でなければ5回コールドとなっていた試合でもこの2校は選出されました。
柴田はそれまでの試合で日大山形(山形)を相手に6-0で完封で勝利したり、全国の野球留学生が集う八戸学院光星(青森)にも6-2で普通に勝利していること、日本航空石川は関西からの野球留学生を集めている敦賀気比(福井)に7-3で完勝したり、北越(新潟)にも9-1でコールド勝ちしたり、2校とも「他県を相手にしても普通に勝てる」ことが理由で選出されたことがわかります。

 今回の聖隷クリストファーが選出されるには、決勝で同県対決で敗れても、今回の大垣日大、過去の出場校である柴田や日本航空石川のような「普通に問題なく打ち勝てる分かりやすい強さ」は最低でも必要であるという印象を受けました。せめて地区大会か静岡大会で失点をより少なくするようにするか、コールド連発するかというのがあればまた結果も違っていたのかなと思います。

◯おわりに

 もし夏に静岡大会で負けてしまえば、高野連のこの逆転選考が正しかったことになります。そうならない為には今度は周囲が納得するような強さを手に入れて甲子園に出場して力を見せつけるしかありません。落選してショックが大きいですが、こんなことで腐らず、最後は笑って高校野球を終えられたらいいなと思います。

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