大縄跳びで死にかけた話

〇はじめに

 こんなバカな話があるだろうか。まさか、大縄跳びで死にかけるなんて私くらいだろう。

 時は小学校2年の頃に遡る。当時合併前で私の実家のある場所は「町」を名乗っていた。ここで開かれた町民運動会に、私も参加した。

〇挙行されたが


 町民運動会は開催されるも、天候に恵まれず、体育館内での挙行となった。私は、大縄跳びに参加し、珍事件に巻き込まれることになる。

 大縄跳び。2人の人が縄の端を持ち、リズミカルに回す。縄の中にいる人は複数人、縄が来るタイミングで跳ねて、引っ掛かるまでに跳んだ回数を競う。これが大縄跳びだ。

〇跳ぶことになった


 私は大縄跳びでは真ん中を跳んだ。何故ならば、持ち手の高さに合わせて、端に行く程縄が高くなっていくからだ。小2の小さな身体では、その分の高さまで跳ぶのに余計なエネルギーを使わなければならない。それだったら真ん中を跳ぼうと判断した。しかし、これが大間違いだった。

 何故ならば、当時の視点では、私は大人達に挟まれていて縄が見えていないからである。当然だが、端に行く程縄が見えるが、真ん中に行く程縄が見えない。先述のように、私は大人達に挟まれてしまっているので縄が見えない。ということは、大人達が跳ねたタイミングで自分も跳ねないといけないので、リズムがとれないし、自分の跳ぶタイミングがどうしても遅れがちになるのだ。

 2人の中年男性が縄を回し始めた。皆が跳んだタイミングで自分も跳んだが、遅かった。

〇飛翔


 私は足を引っ掛けた。しかし、引っ掛けただけでは終わらなかった。中年男性達が縄を回す力に、小2の私が負けたのである。力に屈した私は、そのまま空中に持ち上げられた。

そ う 、私 は 飛 ん だ の で あ る 。

重力は残酷である。飛んだ私を引き寄せる。私は頭から木製の床にダイブし、頭を打ち付けた。あまりの痛みに言葉が発せず、ただただ泣いた。その後は担架で運ばれた。当時Twitterがあったら確実に私は晒されて、ツイートが軽く1000RT超える自信がある。

 飛んだときの一瞬の記憶は今でも覚えている。打ち所が悪かったら、本当の意味で天に飛ばされると思うと背筋が凍る。そこから中3のクラス対抗大縄跳び大会のときまでショックで1度も大縄跳びができなかった。

〇最後に


 今はもうショックを克服したものの、大縄跳びをする機会がなくなっていた。何か、寂しさを感じる。もっと大縄跳びがやりたかったと思うが、今更である。何もかもが遅い。時間は戻ることができないのだ。

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