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K-POPに感じる悔しさ

 昨日、僕は韓国の5人組女性アイドルグループ「(G)I-DLE」(ジー・アイドゥル)の楽曲である「Queencard」のpvをYoutubeで視聴した。正直、今までそのグループ名すら知らなかったのだが、一瞬で彼女らのパフォーマンスに魅了された、と同時に悔しくなった。世界を席巻しているのがJ-POPじゃなくてK-POPなのか、となんだかやるせない気持ちになった。(G)I-DLEを知ったきっかけはYoutubeの「THE FIRST TAKE」だ。僕は「THE FIRST TAKE」をチャンネル登録していたので、昨日(G)I-DLEの動画が公開され、そこで初めて知ることになった。以下に2冊の本を元に、J-POPとK-POPのゲームチェンジが起きた理由について考察する。
 J-POPの歴史について、日本の小説家である万城目学氏は著書「べらぼうくん」(文春文庫)で以下のように語っている。「1990年代のJ-POP は凄まじく隆盛を極めていて、アメリカ、韓国と比較してもひいき目なしにダントツの質の高さだった」と。また「ローマ帝国衰亡史」で知られる 歴史家ギボンについて著述された本で、「文明がその頂点にある時すでに衰亡の種子が芽生えている」という一文を挙げ、その一文にある通りJ-POPが隆盛を極めて10年以上が経過した時、世の中に充ち満ちていた熱量のものようなものが消えてしまった。さらにそれが戻ることは当分ないだろうと、誰もがどこか本能で感づいていた。と言う。そして、2010年 あたりのK-POPのダンスミュージックが新たな波となって日本に押し寄せた。少女時代の PV を見てショックを受けた。芽が育ったのだなと思った。そのあとの2018年、BTSが全米チャート1位になった。1990年代後半から約20年。彼らはついにトップに上り詰めたのだ。と語っている。 
 また、日本の映画監督の川村元気氏の著書「理系。」(文春文庫)では、「統計学は最強の学問である」の著書で知られる西内 啓氏が、「学生時代に、今から売れる音楽のジャンルを徹底的に分析した際に、過去20年くらいのオリコンで100位以内に入った曲を全部 ジャンル分けして統計を出してみた。すると、あるジャンルの曲がトップ100に入ってから全く入らなくなるまでだいたい12年ぐらいだってことが分かった。」と述べている。
 この法則がJ-POPにも当てはまる。1990年代後半から12年ほど経った2010年頃からJ-POPではなくK-POPに人気が出始め、BTSが出てくるまでの期間、少しづつだけど着実にK-POPは自らの文化の地盤を固め始めていたのだ。
 さらに、THE FIRST TAKEの(G)I-DLEの動画のコメント欄に興味深い投稿が寄せられていた。「彼女らは作詞作曲、振り付けを自らで行っている。」とあった。これも今の時代に適した文化だと言える。AKB48、乃木坂46、これらのアイドルグループの作詞は秋元康氏であり、楽曲の振り付けも振り付け師がいて、その人の振り付け通りに踊る。日本人はこれが得意である。上からの指示を的確にこなすことが得意なのだ。野球が強いのも絶対的な監督の存在があって、その指示に従う選手という構造が日本の文化に沿っているから日本は野球が強いのだ。
 これからは個が尊重される時代、日本はこれにとても弱い。高度経済成長はみんなが個性を消して、がむしゃらに言われたことをやり、個ではなく団体で勝ち取った経済成長だと言える。同調圧力が動力源となって成長した社会なのである。文化に個性が根付いていないのだ。そんな世の中で生きてきた人達に、「これからはVUCAの時代、みんなどんどん個性を出して経済を成長させてくれよ。」と言ったって、個性を尊重する文化で生きてきた人達に、即席の太刀で相手したら刃が折れるのは当然だ。
 NewJeansのCookieのpvを観た時の衝撃を忘れられない。そこには刺激があった。これからの時代を予感する「何か」があった。このK-POPの時代がしばらく続く。12年の理論が正しいならば、2018年からの12年、すなわち2030年までこの波が続く。これからの時代に日本は何を世界に表現できるだろう。2030年までに日本の文化を醸成することはできるだろうか。共感してくれる人がいたら是非話がしたいです。

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