冬の事

冬について話す時、「やはり、ドイツの冬は寒いのでしょう。」と言われる。私はまだ一冬しか経験していないけれど、やはり、とても寒い。しかし、結局は住環境が日本とは違い寒さに強い構造になっているので、家の中が全体的に温かく快適に過ごすことができる。夫の実家である木造の戸建で過ごす冬の方が、身体的には辛いというのが今のところの印象。

冬は人々があまり外に出ていない為か、とても静かで、そして、とにかくとにかくとにかく暗い。日照時間が劇的に短く、日中も殆ど曇っているので、町全体に何か薄いグレーのフィルターを掛けらたかのように彩度が下がる。あまりにも暗いので、夕食を作りながら、窓を見て笑ってしまったことがあります。夫は心配して、昨年の天気予報を確認し、もうすぐ冬は終わると提示してくれた。

私は冬の間何をしていたか、あまり良く覚えていない。日照時間の短さのせいか、とても眠かった事だけ覚えている。その他は、何か考えていたか、本を読んでいたかもしれないし、新しい作品について考えていたかもしれない。あ、でも、自分とは全く違った生活をしている人たちの日常をyoutubeなどで見て過ごしていたような気もする。とにかく思い出そうとしてもグレーフィルター効果で記憶の明るさにたどり着けない。

今年も多分すぐに、あの冬がやってくる。グレーの沈黙と眠気を伴って、春にはまた記憶が飛んでいるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?