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見えてる?

夫は、物を探すのが苦手である。

お目当ての物を探し出せず、私が一瞬で「あれ、ここにあるやん」と指差すとバツが悪そうにする。
多分私の、なんで見つけられへんの‥という心の声が漏れてしまっているのだろう。

縦のものを横にもしない、という表現があるが、物を探している時の夫はまさにこれだ。その辺になかった?と返されて〝その辺〟を探すのが苦手なのだと思う(めんどくさがりとも言う)。
探している物が探している場所にないと、「ない」と言ってちょっとイライラし出す。もしかしたらいつもの場所じゃなくて隣の引き出しじゃないか、もしかしたらこのタオルの裏に押し込まれているんじゃないか?ということには思いが寄らないらしい。


ずーっと、何かゴソゴソしているなーと思って様子を見ていると、しばらくしてから私に声がかかる。
それは、自分で散々探してみて、それでも見つからず、ちょっとイラッとし出した頃なので、私も返事に気をつけなければいけない。
「ここにあるやん!」ではなくて、「灯台下暗しやったね。あるあるそういうこと!」もしくは優しく「ちょっと疲れてるんちゃう?」が正解(私調べ)。

いつもの場所になければ「そんなん見つけられる訳がない」と言って開き直ってしまう。その時私まで「そんなん、ちょっと気利かして周り探してよ!」と開き直ると空気が悪くなるので、「あー、ごめんごめん、私がその辺にテキトーにしまったからやわー」と言うと、私のB型のせい、ということで物事が平和に解決する。
私のせい、じゃありません、血液型のせい(多分違う。ちなみに夫はA型)。

朝、私は朝ごはんの準備をしたり洗濯を干したりでバタバタしているので、最近、4人分の水筒に麦茶を入れるのは夫の担当になった。
この時気をつけなければいけないのは、水筒のキャップである。
飲み口も外して洗うタイプの水筒だと、本体も含めて4本で計10から12ほどのパーツがある。
先日は、さっきからずっと探しているのに、次男の水筒の中蓋が見つからないからお茶を入れられない‥と、朝から機嫌が悪かった。本人は認めないだろうけど絶対イライラしていたと思う。
昨日洗ったのは確かだから、絶対にその辺にあるはず、と水切りカゴを見てみると、逆さにしてあった私のコーヒーカップの下に隠れていた。
ちょっとひっくり返して見たらすぐ見つかるのに!とは言わず(心の中では言った)、あったよ、ここに。と、冷静に指差すと、「そんなん、カップの下とか見つけられるわけがない!」と開き直られた。

でも、見つかるから!カップよければいい話やから!
(ていうか水切りカゴに置いてある食器は、乾いてたら棚になおしてくれたらいい話やから!何でいつもそれは私の仕事なの??)

いやいや、今日はパートナーの愚痴をいう記事ではなかった。見つけられない話だった。



結婚10年を過ぎて、最近やっと気がついたことがある。
夫は物を見つけられないのではなく、
見えていないのかも知れない。


夫はメガネをかけている。
義父もかけている。私の父もかけている。弟もかけている。
次男は昨年デビューした。予想より早かった。
長男はまだかけていないが、視力がいいのは片方だけでもう片方はC判定なので、時間の問題だと思う。
夫は、メガネとは小3からの付き合いらしい。LINEのアイコンにメガネのイラストを使ってるくらいだから、もはやアイデンティティの一つくらいに思っていると思う。

昔って、今よりも、小・中学生でメガネかけている子って少なくなかったですか?
私は父の影響なのか、子どもの頃からメガネをかけている異性に憧れる傾向があった。
ちょっとやんちゃそうでも、メガネかけていたら何だかいろんなこと知っていそうで。自分が見たことない世界を見ていそうで(錯覚)。
私自身がメガネをかけていないからかも知れない。当人は不便だったりするのだろうけれど、私はメガネに対してのネガティブなイメージはなくて、むしろ未だに(ありきたりではあるけれど)「真面目そう」「勉強できそう」な印象=かっこいい と変換されて見えてしまうところがある。
夫も第一印象はまさにそうだった(本当は違う と言うことではありませんよ!)。


そんな夫、実は、メガネだけでなくコンタクトも使用している。
裸眼の視力を聞いてみた。


「0. ‥‥002 かな?」

え、そんな数値の視力ある?!

「あれ、0.02やっけ、0.002やっけ。忘れた。そのくらい」 

0.2でなくて、0.02。
調べてみると、視力検査において0.01より下はないらしい(数値で示せる一番下が0.01だそうだ)。
確かに私の見たことない世界ではある。夫曰く、近視は「目が悪い」のではなくてただピントの合う場所が極端に「近い」というだけらしいのだが。そりゃそうかも知れないけども、そこで先の疑問に戻る。
夫は物を探すのが苦手なんじゃなく、ほんとに見えてないのかも知れない。


日常生活において不便なことばかりではない。
部屋の隅っこにほこりが溜まっていても、気にしない(見えてないから)。
部屋のあちこちに物が散らばっていても、気にしない(見えてないから)?
私は整理整頓が苦手で、どんどん部屋に物が増えていってしまうのだが、そのことについて文句を言われたり、ケンカになったりしたことは一度もない。「いいよー、気にならへんからー」「えー、そんなに汚れてないでー」と言われて終わる。
その代わり、片付けておいてくれたこともほとんどない。本当に気にしてないし、汚れてるとも思わないのだと思う。もちろん、これは視力だけが理由ではありませんが‥!


見えてないかも知れない疑惑、私にはまだもう一つ、気になっていることがある。

夫には、私の顔が、見えているのだろうか?

来月で結婚12年目、アラフォーはいつまでアラフォーで、いつからがアラフィフなのだろう?と気になるお年頃。お顔には重ねてきた経験とともに、消えない皺とシミが増えてきた。

◯◯ちゃんのママさー、シミ取りレーザーしようかなって言ってた。△万円だってー。それか私もSKツーしてみよーかなー、どう思う?
なんて話を振ってみると、「えー、そんなに気にせんでいいんちゃう?」「別に気にならへんけどな」と言ってくれるのは、優しさだと今まで思っていたけれど。


ほんとは、ほんとに見えてないだけかも知れない。


世の中には見えなくてもいいものも、あるよね。


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