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乳房炎の科学No.1『乳房炎は4種類に分けられる!』

Chapter 1 乳房炎とは?

乳房炎とは、一般的には「乳房の炎症」を表す言葉で、酪農界において牧場の経済性に影響する病気として世界中で問題となっています。

乳房炎の成立は3つのフェーズからなると言われています。

❶微生物の侵入、❷感染(定着と増殖)❸炎症

原因となる微生物は、なんらかの形で乳頭より乳腺内へと侵入します。搾乳中の手順が間違ってたり、搾乳機械のメンテナンスが不十分であると乳腺内に侵入される確率が上がります。

微生物が乳腺内へと侵入した場合でも、ほとんどの場合は搾乳によって乳腺外に排出されたり、ウシ自身の免疫により殺菌されます。

しかし、ミルカーの逆流により奥まで押し返されたり、または付着能力の強い細菌は乳腺内の表皮にひっつくことができます。このフェーズでは微生物の特性によって治療の難易度や細菌がなくなるまでの期間が異なってきます。

最後の炎症のフェーズではウシの体が病原体の増殖を感知し、それらを抹消するために自己免疫が働き免疫細胞が動員されます。この異物を排除する働きを炎症反応と言います。


Chapter 2 症状の有無で2種類に分類される!

乳房炎はまず、大きく分けて「臨床型乳房炎」「潜在型乳房炎」に分類されます。

この名称は一般の人には直感的にわかりにく表現ですが、要するに外見から判断できるような臨床症状(乳房の腫れ、硬直、発熱...etc)があるかで分類されています。

つまり、腫れなどのあきらかに症状があるものを「臨床型:clinical mastitis」、無症状で外見から判断できないものを「潜在型:subclinical mastitis」と言います。

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