ジビエ

Gibier

ジビエは暮れのご馳走
カモの敵はリヨンの猟師?

 ジビエ(Gibier)とは、狩猟で捕らえた野生鳥獣の肉のことです。狩猟シーズンは9月から2月の、秋から冬にかけての期間。イノシシ、シカ、ノウサギ、カモ、ヤマウズラといったジビエの野趣あふれる深い味わいはフランスの年末のご馳走です。

 リヨンの猟師の一番の獲物は、カモ。寒くなり、北から南へと渡るカモが休息するのが、無数の沼地があるリヨン周辺のフォレズ Forezや、ドンブ Dombes地方。朝と晩、カモが離水・着水する、高度の低いときを沼地の周りから散弾銃で狙います。

 ロケをした場所は、リヨンから車で北東に約30分のドンブ地方。ルレ・ド・シャッス Relais de chasseと呼ばれる食堂が狩猟の拠点です。といっても目印は何もないので、場所の連絡は緯度と経度で。ここに朝、暗いうちから猟師が集まり、迷彩服に着替え、散弾銃を出し、猟犬と共に四輪駆動車に相乗りして狩場に出発です。

 150ヘクタールもある広大な狩場は、狩猟クラブのメンバーがお金を出し合って、シーズン中借りている私有地。その日のターゲットの沼地を決めたら、それぞれが自分の持ち場につきます。そう、狩猟はチームプレイ。獲物の動きに合わせて順番に狙っていきます。仕留められた獲物が沼地に落ちたら、泳ぐのが上手な猟犬の出番です。

 狩りが一段落した後、拠点に戻って食事をしながらの成果報告会。これが猟師たちの一番の楽しみ。獲物も、仕留めた人に優先権はありますが、みんなで仲良く分配します。

 フランスでは長い伝統のある狩猟。今でも狩猟を趣味とするフランス人は130万人もいると言われ、欧州で一番です。リヨンは大都市でありながら、自然との距離がとても近いのが特徴です。平日、仕事を終えてから狩猟に行く人もいます。リヨンには、フランスの伝統を支える「肉食系オヤジ」、「肉食系女子」がたくさんいますよ。

information

ヴィラール・レ・ドンブ観光局
http://www.villars-les-dombes.com

mémo

狩猟シーズン中は、リヨンのレストランやブション(bouchon)でもメニューにジビエが登場します。ジビエは肉の中に散弾が入っていることがあるので、食べるときには気をつけて。

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