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ハピネス経営を志した結果、"手放す"ことの大切さに気づいた

昨年の後半ぐらいか、徐々にメンバーから不満を聞くことが増えてきた。

「施策がコロコロ変わる」
「全てがマネージャー会議で決められ、駒として扱われているように感じる」

事業部長になってから最も大切にしてきた "メンバーの幸福度" 。
それが、いつの間にか良くない方向に傾いてしまっていた。自分ではどう改善すべきかがわからず、暗中模索の状態が半年程続いた。

そんな時に、昨年9月に入社したメンバーから "ホラクラシー経営" について教えてもらった。それまでの組織は、メンバーを大切にしながらも、絵に描いたようなヒエラルキー型の組織。ホラクラシー経営には、メンバーの幸福度をさらに高める力があると感じ、取り組むことを決めた。

まだまだ道半ばではあるものの、これまでの過程と現在地を記しておきたい。

ハピネス経営を志す

私は、2013年に新卒でガイアックスに入社した。当時は「成果を出したい」「成長したい」という一心でとにかく働いていたが、2年ほど経つとその環境に違和感を感じるようになった。

その頃のSOC(私が所属する部署の略称)は、とにかく過酷。「利益を確保する部署」として位置付けられていたので、原価・販管費は可能な限り削られる。終電帰りは当たり前、利益の追求のために一人が抱える案件数は増える一方、にも関わらず給与は横ばい。ボールペン一本購入するにも詳細な理由が必要と、働きやすいとは言い難い環境だった。

結果としてメンバーは疲弊し、次々と離職してしまう(当時の離職率は40%ほど)のでナレッジが蓄積されず、いつまでもサービスの質が上がらない。多忙なのに給与は増えず、組織としての成長もできていないという負のスパイラルに陥っていた。

入社して2年目が終わる頃、私も当然のように転職を考え、他社の内定も獲得していた。しかし、ちょうどそのタイミングでガイアックスに新しい本部長が加わり、これが大きな転機に。私が当時感じていた部署の課題や改善策を「クビになっても転職先あるし」ぐらいの気持ちで積極的に直訴した結果、本部長から「それならお前がやってみろ」という思いがけない一言をいただいた。その結果、内定を辞退し、私は2015年9月から事業部長を務めることになった。

そこから私は、先輩に教えを請うたり、書籍を読み漁ったりしてやるべきことを考えていたが、そこで出会ったのが「ハピネス経営」という言葉。「がむしゃらに働くことが善である」と思い込んでいた私は、「社員が幸せな状態で働けることが大きな成果に繋がる」という考え方を知り、衝撃を受けた。

働き方改革の目的は、メンバーが幸せな状態で働けるようにすること

「幸せな状態」といっても定義は人それぞれ。なので、まずはコミュニケーションを取ることに注力した。

最初の頃に特に意識したのは、不満のヒアリング。無駄なストレスが解消された状態が理想への第一歩と思い、不満を聞いてはその解決に取り組むことをひたすら繰り返した。

その時に始めた大きな施策が、アウトソーシングの活用とリモートワーク。

アウトソーシングは、発注を躊躇するメンバーもいたので、発注の”下限”を設けて半ば強制的に導入を進めた。私個人としてはすでに半年以上活用した経験があったので、「絶対に導入した方が良い」という確信があった。結果、今ではアウトソーシング無しでは事業が成り立たなくなっている。
こちらの記事でアウトソーシング活用の詳細について解説しているので、良ければご参照ください

リモートワークについては、一人で集中して業務に取り組みたい時や少し体調が悪い時などに、無理に出社をしてストレスがかからないようにという目的で導入した。カフェやコワーキングスペースを気軽に利用できるように、リモートワーク費として一人あたり月2万円を支給している。

無駄なストレスを排除し、メンバーが本来取り組むべき仕事に100%注力することで、労働時間ではない価値形成を行った結果、自然と業績は向上した。

「ホラクラシー経営」へのチャレンジ

今年から本格的に取り組んでいるのが組織形態の改革。具体的には「ホラクラシー経営」への移行を進めている。

ホラクラシーとは、階層のない組織形態のことで、上からの指示で動くのではなくメンバーが主体的に意思決定し事業を推進していくというもの。ときには、リーダー的なロールを担う人が出てくることもあるが、明確な階層構造は持たない。

元々のSOCには事業部長以外に副部長、マネージャーといったポジションが用意されていたが、今年からは役職毎の特権などは失くし、メンバー全員が組織に主体性を持てるように尽力している。

この変化の背景には、前述の通り、メンバーからの不満がある。昨年まではかなりのヒエラルキー型組織でトップダウンの指示も多かったため、「上で勝手に施策が決められて、私たちはそれをこなすだけ」「組織に対して貢献してる実感が持てない」などの声が徐々に出てくるようになった。その状況を打破するために、メンバー全員で組織を運営するモデルにチャレンジしている。

わかりやすい変化としては、マネージャー会議の廃止、プロジェクトのアサイン制の廃止、合議制の導入、などがある。部長や副部長に集中していた意思決定権を分散させ、ミッションやビジョンも廃止し、プロジェクト毎に集まったメンバーの合意で方向性が決まる、というやり方をしている。

半年以上経ったが、特に問題は感じていない。むしろ私自身も手放すことが増え、やりたいことに注力しやすくなったので、前よりも格段に楽に仕事ができるようになっている。
「事業部長である僕が頑張らないと!」みたいな気負いも今はなくなった。

"クライアントへの貢献" に純粋に向き合いたい

組織や仕組みの変化を経て、メンバーの満足度が向上し、結果的には売上も離職率も大幅に改善することができた。次の課題はクライアントとの関係性。

今年から、無理に売上を伸ばす方針も手放した。当初は昨年の2倍、2年前の10倍の売上を目指す予定だったが、部内のオフサイトMTGで誰もその目標に心が踊っていないことがわかり、目標自体を変えた。

代わりに大切にしているのが、クライアントへの貢献。

今、私たちがお仕事を受ける基準は、「自分たちが関わることでどれだけの価値を提供できそうか」にしている。相談内容によっては競合企業を紹介することも増えた。大事なのは、「あなたたちに相談して良かった」「また仕事がしたい」と言ってもらえること。数字目標を手放したからこそ、提供できる”価値”について純粋に向き合うことができるようになる。自信を持って提供できるサービスを、もっともっと追求していきたい。

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