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自らの取扱説明書の効能

自らの特徴の開示、つまり自分取扱説明書を作成しそれを共有することは大人になるととても大事なことです。利点は以下の三つかと思います。

・言動行動の背景が理解され誤解されにくくなる。
・自分の苦手領域がカバーされやすくなる
・自分が客観的に自分を把握していることで他者に安心感を与える

大人になると家庭や仕事、友人との交流、自己研鑽などいろんなことがあって時間がありません。しかも会う人の数も増え範囲も広がり、年に一度だけ会うというような知り合いもでてきます。数が増えるということは、コミュニケーションもまた断片的にかつ薄くなります。日常的に話していれば気にならないような言動や行動も、時間が空くことにより誤解を生んだり妙な推測を生むことがあります。

完全に誤解を避けることはできませんが、自分の取り扱い説明書を事前に開示することで、一つ一つの行動の背景にあるものが理解しやすくなります。例えば私は個人の自由を最大限尊重したいという考えですが、それはそっけなさや無関心と受け取られがちです。事前に特徴を伝えることで誤解が防げます。

自分自身がパフォーマンスを発揮しやすい環境というものがあります。大人になると柔軟性がなくなります。また過去の経験からこういう状態だと能力が発揮できる、またはできないというのも学習しています。一言で言えば得意なやり方がはっきりしてきます。「パフォーマンスを発揮するためにこうしてほしい」が伝えられることも重要です。もちろん他の人にも都合がありますから、自分にだけ都合がいい形は作れません。それでも相手の話も聞きながら、お互いがある程度折り合っておくことでそれぞれがやりやすくなります。またこれは相手が何をカバーすればいいかを理解することにもつながります。細かいことがどうしても抜けがちな人は、それを伝えておくことで多少は相手がカバーしようという気になります。

自分の弱点も含めて取り扱い説明書を開示できるということ自体が相手の信頼を獲得します。コミュニケーションで困るのは、客観的にみてその人の癖で問題が起きているのに本人が自覚していない場合です。これは二つの点で本人にとっても問題で、自分を客観視できる能力が欠けているのではないかという疑いを抱かせること、これまで周囲から指摘されてきたと予想されるのに自覚していないということは学習能力が低そうだと思わせること、です。自分の扱い方を開示するということは少なくとも自覚し客観的であるということを示すので、その最低限の基準をクリアできます。自覚なく問題を生む癖を抱えている場合、その人の癖を指摘した人が被害を被る可能性があり誰も言い出せない、ということが起きがちで周辺のコミュニケーションが硬直化しがちです。

さらに自分の立場が強い場合は心理的安全性を高めます。人の立場に強弱がある場合、弱い立場に立たされている人は常に評価をされているという重圧を感じます。そんな時、立場が強い人が自分の弱点も含め取扱説明書を開示した途端、少なくとも自分も弱みを開示しても評価されないという安心感を得ます。自分の弱点の開示ほど相手をリラックスさせることはありません。何かを隠している人は相手に緊張感を与えます。

いずれにしても自分を知るということはとても大事だと思います。生涯にわたって達成されないでしょうけれども

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