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まなざしの映画監督ビクトル・エリセ

ビクトル・エリセ監督『ミツバチのささやき』(1973)『エル・スール』(1982)を久々に再見して、最新作『瞳をとじて』(2023)を観てきた。

どれもそれぞれ素晴らしく、かつ3本の映画が50年の歳月をかけて「円環」を作ってるように見え、一人の世界的映画作家が自分の映画人生にどう決着をつけるのかに思いを馳せて深く感動してしまった。

『ミツバチのささやき』と『エル・スール』は今回見返して、10代の頃に観た時はそこまで思わなかったのだが、描かれるストーリーとは別に、「こんなにも【映画】についての映画だったのか!」と再発見。
前者は軍事独裁政権下のスペインの小さな村に住むイサベルとアナという幼い姉妹の、美しくもどこか不穏な物語で、冒頭に村の寄合所に集まって映画『フランケンシュタイン』を観る場面では、映写機のカタカタ音がミツバチの音とオーバーラップする。そのすぐ後の場面では世界最初の映画「ラ・シオタ駅への列車の到着」と同じ構図の場面が出てくる(このリュミエール「列車の到着」のオマージュは『エル・スール』『瞳をとじて』にも繰り返し出てくる)。
夜になると姉妹は陰絵で遊び出す。ああ、これは【映画】についての映画かと察した。

【映画】と言っても微笑ましいオマージュだけではなく、3本の映画は【映画の魔】とでも言うべき、映画が人生に決定的な影響を与えてしまう様を描いていると思った。

今回の解説動画では、 『ミツバチのささやき』の原題「蜂の巣の精霊」にある「精霊とは何か?」「呼び出す時になぜ瞳を閉じるのか?」について自分なりに考えた。もっとアカデミックに「見る」「見られる」のショットの関係性とか解説できたらいいのだが、自分なりの実感に依って解説してみた。

【解説動画】まなざしの映画監督ビクトル・エリセのここがスゴイ!

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