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カケコミトイレ

言葉の武器を装備して俺は今日も会社に向かう。会社と言う名のダンジョンへ。
イタタ…胃が痛い。痛みこそ生きてる証なのだと俺は自分に強く言い聞かせ再び足を一歩前に前に進める。後ろから足音が聞こえ振り向くと後輩の武田だ
「先輩!おはよう御座います!今日会議ですね。え?まさか腹痛ですか?」と心配そうな顔をされる。
「いや、大丈夫だ…問題ない」と俺は言うが
すごく胃が痛いのとトイレに行きたいのだが
会社のトイレと駅のトイレまで距離が微妙に遠い……。絶望的だ俺はどうしたらいいんだ。
まだ、まだ大丈夫だ。今は一旦トイレの事は考えないようにしよう。
「先輩今日の会議の内容なんですけど、新製品トイレの発表ですよね」と武田がグイグイ言ってくる。
武田ッお前…止めてくれ今はトイレの話題は…。
「うっ…そうだなあ」と笑って俺は誤魔化すことしか出来ない。
よりによって俺が勤めてるのはトイレ製造会社なのだ。
「先輩!先輩!」と武田が俺の前でしゃがみだしたので
「ど…どうした?」と聞くと
「俺わかってますよ!緊張でお腹痛いんですよね!俺先輩の事運びますんで乗ってください」と言われたが俺は躊躇した。
周りはオフィス街だし、スーツを着たサラリーマンやOLさんがたくさんあるいてるし、
そうじゃなくてもスーツのおっさんがおんぶされてる状態って……。
いや…でも俺の腹が限界ギリギリ、まだ大丈夫なはず…だが
「周りのことより自分のこと気にしてくださいよ!先輩!」と武田が言うので
俺は渋々、武田の背中におぶさる。
武田が
「よっしゃ行きますね!」と言ったかと思うとすごい勢いで走り出すので、俺は本当に焦った。
武田はもの凄い勢いで走ったおかげか俺はトイレに駆け込めた。
トイレから出てスッキリしたし
胃の痛みも治まり、会議も無事に成功することが出来た。
会議が終わり武田にお礼を言う
「武田!ありがとうな、助かったよ。飯何が食いたい?奢るよ」と言うと武田は嬉しそうな顔をして
「ハンバーグがいいです!」と言うので二人でハンバーグ店に向かうのだった。



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