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ラマダーン月が明けた日

今日はラマダーン月が終わり、断食明けを祝うイード・アル=フィトルの1日目。
街中は、正月のようなお祭り騒ぎに湧いている。
近所に住むいつもお世話になっている人に誘われ、エジプト社会観察会と称して、カイロのダウンタウンを歩き回ってきた。

早朝から賑わう街

まずは早朝7時すぎ。
ダウンタウンの中心地、タラアト・ハルブ広場から同じ名前の通りを上がっていく。
うちの近所にはコシャリの有名店、アブー・ターレクがあるのだが、7時すぎの時点で既に開いていて、大勢の家族連れや、子どもたちの集団が店を出たり入ったりしていた。

断食中は、コシャリを食べないという人が多い。店もひと月の間ずっと閉まっているというところがちょいちょいある。
毎晩、肉料理などのご馳走を食べるのだから、安くていつでも食べられるようなコシャリをわざわざ断食月の間に食べるべくもないということらしい。
断食と同時にコシャリ断ちもしていた子どもたちは、イードのお祝いで貰えるお小遣いを握りしめてコシャリ屋へ駆け込んでいく。
イードの礼拝終わりに、朝ごはん用にとテイクアウトしていく家族連れも見かけた。

朝の7時すぎでこの人出

タラアト・ハルブ通りを上がっていき、ナスル駅のある7月26日通りまでいくと、シャッターを締め切った町中の所々でシャワルマ屋やスイーツ屋、アイス屋などが店を開け、同じく子どもたちや若者たちが黒山の人だかりになっていた。
いくら断食明けのお祝いとはいえ、こんな朝っぱらからそんなに胃袋に入るの?!と驚く。

流行りのスイーツの店。
ダウンタウンの有名なカフェ通り。
この世界には子どもたちしかいないんじゃないか、と錯覚するほど子供の数が多いこと..…。
最近できたばかりの店。カイロでは珍しいソフトクリーム屋。

エジプトファッション総覧

ラマダーン明けのイードでは、皆おろしたての服や靴を身につける。イードの1、2週間前には、服を買い込む若者や家族連れをあちこちで見かけた。
その買い物の成果が表れる今朝の街中は、さながらファッションショーの会場で、パッと見て分かるほどパリッとした新品の服を着て、バッチリ髪型もキメた子どもたちや若者たちが通りに繰り出していた。
スナップ写真を撮ったり、セルフィーをしたりしている若者もあちこちでみかける。
毎年流行りの髪型やファッションがあるらしく、「今年の流行は何かなー」と道を行き交う人たちのファッションチェックをするのも楽しい。

元気(すぎる)街

子どもたちは、まだ朝だというのに物凄いエネルギーに溢れていて、通りを歩いているだけで至るところからシーニー!ニーハオ!ウェルカムトゥエジプト!ハロー!と声がかかる。
特に少年の集団はしつこく寄ってくるので五月蠅く煩わしい。
ラマダーン中は静かで良かったのに…。
また元気になってよかったね、と思うことにして適当にいなす。

朝からの物凄い人出とシーニー&ニーハオ攻撃にあって疲れたので、家に帰る途中でイード明けのお菓子として食べられるカハクというお菓子を買った。
バターたっぷりのいい匂いがするホロホロのクッキーである。
濃いめのコーヒーや紅茶と一緒に食べると美味しい。

有名なお菓子の店、エル・アブドのカハク。
1キロ入の大箱がほとんどの中、ミニサイズの箱があったので買ってみた。
ぜーんぶイード用のお菓子セット。
クッキーの詰め合わせやカハクの箱などなど。
エル・アブドのウィンドウ。

イードの夜

夜は夜で、今度は大人たちや家族連れも街に繰り出すので更に大賑わいになる。

朝と同じスイーツ屋。車道にまで人が溢れて大繁盛している。
映画館にも、お小遣いを握りしめた子どもたちが列をなす。
コシャリ屋アブー・ターレクのド派手な装飾。
店には相変わらずひっきりなしに客が出入りしている。

ラマダーンの間、街中の酒屋や飲み屋はずっと閉まっているため、イード初日の今日は酒の解禁日でもある。
ダウンタウンの飲み屋には、カイロの飲兵衛たちが集まって大賑わいだった。
どのテーブルにも物凄い数のビール瓶が並んでいる。
銘柄はステラ一択。
つまみなどはないので、客は外で好きなものを買って持ち込むことができる。
今回は、近くの店でケブダ(レバー)とモッホ(脳みそ)のフライをテイクアウトした。
ここで初めてモッホを食べたが、白子みたいなふわふわした食感で、臭みも無く食べやすい。
ビールにも合いそうな、濃い目の味付けだった。

ビール解禁。
ケブダとモッホのフライ。美味しい。

そんなこんなでまだまだ街のざわめきは静まりそうにない。
今、これを書いているのは夜の2時過ぎなのだが、まだ家の外にあるカフェで陽気に談笑する人たちの声がする。
彼らの夜はまだまだ長いらしい。



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