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禅語の世界「生者必滅会者定離」

「生者必滅会者定離」(all living things must die、we meet only to part)。

「生まれた者は必ず死に、出会った人とは必ず別れがくる」という意味です。

正確には「生者必滅」と「会者定離」の2つの言葉がつながってできています。

「生者必滅会者定離」はこの世の定め。何事にも始まりがあれば必ず終わりもあります。

有名な平家物語の冒頭に

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。

たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

とあります。

この盛者必衰とは「生者必滅」「会者定離」と同義語なのです。

この世は無常であり、勢いの盛んな者もついには衰え滅びるということ。

ありのままに受け止めることができれば、気分が軽くなりませんか?

生きることは本当に難しいのです。四苦八苦に代表されるように、人生は苦難の連続なのです。死ぬほうがなんと楽なことでしょう。

三国志にも「死は易く生は難し」の言葉があります。

五木寛之先生が「大河の一滴」で著したように、この世は「地獄」なのかも知れません。生きることの辛さを「地獄に生まれた」と表現されました。
地獄に生きているからこそ、小さな親切や施しを受けた時、人は感動するのだと、天国では、日常茶飯事で感動さえもない世界であろうと、おっしゃいました。

この世が地獄で何が悪い。「生者必滅会者定離」だからこそ、この世界に生きている意味があるのです。

当たり前を、当たり前と達観せずに、ありのままを感謝して生きたいものです。

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