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映画「ギヴン」 *20/8/26

視聴記録:
映画「ギヴン」
(※公開中なので、映画のネタバレには配慮して書きます)

「映画 ギヴン」 2020年8月22日公開決定!!

高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンドにボーカルとして真冬を加入させる。
真冬加入後初のライブを成功させ、バンド「ギヴン」の活動が始動する中、立夏は真冬への想いを自覚し、ふたりは付き合い始める。

一方、春樹は長年密かに秋彦に想いを寄せていたが、秋彦は同居人のヴァイオリニスト・村田雨月との関係を続けていて・・・。

スクリーンで、春樹と秋彦、雨月の恋が軋んで動き出すーー!

圧巻のライブシーン

原作未読で、アニメシリーズのみ視聴していました。
当時「ノイタミナ」シリーズ初のBLということで話題になっていて視聴を始めましたが、テレビシリーズの9話のライブシーンが本当に素晴らしくて…いまだにたまにあそこだけ見たくなってNetflixで再生して鳥肌をたてたりしています。
ライブの演奏者たちの身体のリアルな動き(息遣いなども)がモーションキャプチャーを使った3DCGで再現され、しかも絵柄はアニメ絵のままでヌルヌル動くので、すごいなぁ…と何度も見てしまうんですよね。私はアイドルが踊る3DCG以外で演奏シーンに使われているのは初めて見ました。
主役の真冬役の矢野さんも、それまで存じ上げなかったのですが、歌も芝居もすごく印象的な声で…これは立夏もスカウトしてしまうよね!という納得のお声でした。
映画館でまたあのライブシーンが観れるならと、BL映画を観に行くという抵抗感(隠れオタクなので)を感じつつも、珍しく映画館に行きました。

やはり、期待のライブシーンは、とても良かったです。映画館の環境で見ることをおすすめします。
ライブ音楽が大音量で流れながらもセリフがよく聞こえるようになっていて、これはBlu-rayとかになったとき、家庭用テレビできちんと再生できるのかな?ってちょっと疑問になりました。なのでぜひ、劇場での視聴をおすすめします。

余談ですが、音楽ライブのシーンでもうひとつ何度も繰り返し観ているアニメがあります。「坂道のアポロン」の文化祭の演奏シーンの7話。あのシーンも、当時圧巻でした。生徒たちがが滑るように走って集まってくるアニメーションも含めて、音楽の楽しさを感じられる最高の回でした。「坂道のアポロン」も、そういえば「のだめカンタービレ」も、「ノイタミナ」枠。音楽アニメとしての「ギヴン」の成功は必然だったのかも、と思ってしまいます。

1時間におさめられたボリュームのあるシナリオ

テレビシリーズのときからの繊細なつくりはそのままに、退屈させられることなく、あっという間でした。シナリオは大ボリュームで、1時間によく収まったなぁ、という密度でした。
テレビシリーズでは、全11話で毎回大事に、少しずつ少しずつ主人公の真冬の心がひらいていく描写をしていたのが印象的でした。ゆっくり過ぎて、たまにちょっとテンポ悪く感じる回もあったくらいです。
でも、今回の映画は尺の関係だと思いますが、はじめからどんどん話が進みます。序盤からクラシック音楽がかかったときは驚きました。でも、「これは音楽の映画だ!」というのが伝わってきて、とても良かったです。

ただ、正直、テレビシリーズ見てない人には優しくないつくりではあると思います。
映画鑑賞後、TVシリーズをざっくり見直しましたが、完全にTVシリーズからの続きになっています。ですので、原作未読、アニメも未視聴の方でしたら、アニメを全て見てからか、もしくは漫画3巻までを読むのが一番てっとり早く楽しめる方法かと思います。

実在するかのようなバンド「ギヴン」のプロデュース

TVシリーズだけを追いかけていて原作未読の私としては、想像以上に真冬と立夏は出てこず、春樹と秋彦と雨月の話で驚きました。でも、メインのライブシーン、ギヴンのライブ曲「夜が明ける」の歌詞をあらためて聞くと、真冬の立ち直っていく様子がわかるので、音楽プロデュースまで含めてよくメディアミックス化できてるなぁと驚きます。
今回発売されたギヴンのミニアルバム「GIFT」も、とても良曲ばかりです。原作に沿ったかたちで、明言はされていませんが、それぞれのキャラクターの心情だとわかる歌詞が歌われています。しかもこれ、「ギヴン」が実在するというバンドの曲としてきちんと発表されてるのが良いです。
映画を観る前に先にこのミニアルバム「GIFT」を聞いておくのも良いかもしれません。

また、映画の主題歌「僕らだけの主題歌」も、バンド「ギヴン」の作詞作曲をしているセンチミリメンタルさんが担当しているのですが、曲の終わりがヴァイオリン2重奏になっていることにも感動しました。


私は声優さんのトークと矢野さんのライブシーン付の特別上映を観ました。特別上映の映像の矢野さんのライブシーン、何か色々錯覚してしまいそうな不思議な企画だなと思いましたが(もともと予定されていた上映封切り前のライブイベントの代わりかな?)、素敵でした。特典ライブシーンの音響だけ、少し残念でしたが…。
もともと公開は6月の予定で、コロナの影響で8月になりました。その分、スタッフさんや声優さんたちは、特に強い思い入れや愛があるのだろうなと感じました。

特別上映は2000円一律料金で今週中のみの上映ですが、それがなくてもぜひ、ライブシーンの音が素晴らしいので、映画館で観ることをおすすめしたい映画です。
BL要素としては、過激な描写はほとんどないので(年齢指定もなし)、初心者の方や男性も問題なく見れるかと思います。TVアニメシリーズよりも、恋愛に重きは置かれてはいますが。

ミニアルバムの曲がどれもよくて、久しぶりにギヴンの世界に浸っています。漫画も、これを機にもう一度読んで、もしかするともう一回映画館に行ってしまうかもしれません。

ドラマCDも原作のすぐあとを追いかけるかたちで制作されているのですが、こちらは声優がアニメとはまるきり違うので、手を出しずらい印象です。が、ドラマCD版も良いバンド楽曲だということなので、アニメと違ってどんな表現になっているのか、少し気になります。



余談ですが、BLアニメ専門レーベルの「BLUE LYNX」作品、今回が初見でした。1作目の「囀る鳥は羽ばたかない」はR18でしたし、ちょっと恥ずかしくて劇場に行けていませんでした。原作ファンではあるのですが。
「ギヴン」がとても丁寧に作られていたので、9月封切りの「海風のエトランゼ」もとても楽しみにしています。原作既読で、こちらもBL要素が薄いことはわかっているので、綺麗な情景のアニメーションを楽しみに、夫も連れて行こうかと思っています。


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