大好きな場所で、大好きな人たちのために腕をふるう日を夢見て(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/桑原 健一さん)
桑原 健一さん
東京都板橋区出身。2019年12月着任、延長1年目。料理の専門学校で学んだ後、イタリアンの飲食店で修業に励んだ。観光の仕事を通じて飲食店事業者とつながれることも、身になっているという。デザート作りもお手の物。
きっかけは震災ボランティア
料理人を目指して東京の飲食店で働いていた桑原健一さんは、あるニュースにふと目を留めた。熊本地震のボランティアに関する内容で、「ちょうど長期休暇が取れたことだし、家でゴロゴロしているくらいなら」と、一路熊本県へ。阿蘇市に入ってボランティアに携わるなかで、同じく県外から来ていた同年代の仲間と意気投合。ボランティア期間が終わってからも、熊本でよく会うようになった。
そんな交流が2年ほど続いた頃、仲間のひとりが南阿蘇村に移住したというではないか。「遊びに来てみてびっくり。自然が多くて、より近いところにあるように感じられました」。まさか自分が移住するなどとは考えてもみなかった。だが、折に触れ阿蘇の魅力を耳にするうち、次第に心が動かされていく。「友人が阿蘇で会社を立ち上げたりしているのを見て、自分もなにかやってみたいと思ったのが大きいです。面白そうかもって」。地域おこし協力隊の情報を知り、気持ちが固まった。
人も自然も、大好き
「村の人、みんな温かい」。そう言ってくしゃっと笑う桑原さん。近所から分けてもらった野菜の新鮮さにもいたく感動したと話す。「この人が育てた野菜を、どうやっておいしく食べようかって考えるのも楽しい。あたりまえに野菜を買っていた頃より、ありがたいなって実感することが、増えた気がします」と、さすが料理人らしいコメント。そして、おすそ分けをいただけるような思いやりに満ちた関係を築いてきたことがうかがえて、感慨深い。
景色なら、北から望む南外輪山の姿が一番好き。「久木野からの五岳の眺めが定番ですけど、ぼくは南外輪山の優しい雰囲気がいいなって。住んでいるアパートの窓から見えるんですよ。地元の方は見慣れているんでしょうけど、ぼくにとっては毎日新鮮な感動があります」。
任期後の目標は、ローマピッツァの店を開くこと。「日本ではまだ馴染みが薄いんですが、すごくおいしいんです。地元の人に気軽に訪ねてもらえる店にしたいと思っています。みんなから『待ってるぞ』って言われるのがありがたい」。業務時間外では飲食店のアルバイト等をしながら、構想を膨らませている。
南阿蘇村地域おこし協力隊 ヒトコト録
2023年2月発行。南阿蘇村地域おこし協力隊活動報告の一環で制作。記事は取材当時のものです。
取材・文・編集/家入明日美
撮影/みんな
表紙デザイン/南阿蘇フィルム
本文制作・印刷/城野印刷株式会社
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