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誰が相手か?

先日、お客様から頂いた利用券で、日帰り入浴をしてきました。

1600年以上の歴史がある温泉で、旅館の中には、300年以上続いている老舗旅館もありました。
大変歴史のある温泉や温泉施設ですが、2011年の東日本大震災、コロナ感染拡大の影響を受け、お客様の足は遠のき、三連休にも関わらず、温泉街は閑散としていました。

近くには、開業からまもなく60年になるテーマパーク「スパリゾートハワイアンズ」があります。ハワイアンズも、震災、コロナの影響をかなり受けましたが、社員の方々が一丸となり、様々な企画や工夫を行って、今はコロナ前の賑わいに戻っています。

温泉街も、フラダンスの街にあやかり、旅館の女将さんたちや、いわき市観光課の皆さんが、元ハワイアンズのフラガールさんから指導を受け、温泉街でフラダンスを中心にしたイベントを開催したり、日帰り入浴の回数券を発行したりと、街をあげて集客に取り組んでいらっしゃることを伺っていました。また、実際にイベントにも参加してみたことがありますが、本当に皆さんの一生懸命さが伝わってきました。

そんな様子に触れていたので、日帰り入浴の利用券をいただいて、ワクワクしながら旅館を訪れました。

 

外観は、温泉街で一番立派でした。
利用券をくださったお客様からは、「建物の真ん中に大浴場、別館の屋上に露天風呂付きの展望浴場がありますよ」
と伺っていました。
しかし訪れてみると、女性が利用できるのは、小さな露天風呂がついた浴室が1ヶ所だけでした。

温泉の質はとても良かったので、くつろごうと思ったのですが、ここ1箇所だけでは、ゆっくりもできませんでした。
1時間あまりでお風呂から上がり、館内を回りましたが、喫茶もないし、食事も宿泊客のみ。
旅館を出て、他の旅館に入ってみましたが、どこもお茶も食事もできませんでした。

食事に関しては、旅館は読めない一元さんを相手にするより、予約を受けて料理を提供したほうが無駄がないのはわかります。

しかし、男性の団体さんを相手にした作りや対応が昔と全然変わっていないのが、とても残念でした。

温泉街のフラのイベントに参加されていたのは、約9割が女性の方でした。

制作されている関連グッズも、女性が好むものばかり。それなのに、施設は男性客か優遇されている。

今の時代、男性の団体さんが、ひなびた温泉を頻繁に利用するでしょうか。

それより、曜日や日にちを限定して、展望浴場を女性用にし、女性のグループ客の利用を増やした方が良いのではと思いました。

目新しいことに取り組むのは、素晴らしいですが、誰を相手に商売がしたいのかを考え、イベントだけでなく、受け入れ体制も整えなければ、成果につながらないなと思いました。

旅館は、お客様が少ないせいか、スタッフの方は暇そうにされていて、こちらが声をかけないと対応してもらえないのも残念でした。
お客様が離れて戻ってこられないことを、コロナのせいだけにしてほしくないなぁと思いました。

こういう演出も、女性客が多くなると、もっと興味を持ってもらえるんじゃないかと思うのです。

以前研修を担当させていただいていた、広島の和菓子店さんで、いつも研修の前に、営業部長が、和菓子に合うように丁寧にお茶をいれてくださりながら、
「 老舗と古くさいのは、全く違います。老舗は、常に時代のニーズを把握し、味や素材に改良を重ねています。売れているからとふんぞりかえっているだけでは、古くさいだけになってしまいます」

とおっしゃっていたのを思い出しました。

私も「年数だけは経っている人」にならないよう、お客様の期待に応えながら、精進し続けたいと考えています。

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