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東京都連続昏睡強姦事件公判傍聴記・2022年1月31日(被告人・丸田憲司朗)

2022年1月31日
東京地裁第18刑事部
713号法廷
事件番号・令和2年合(わ)第314号等
罪名・準強制性交等、住居侵入、準強姦、準強制性交等未遂、準強制わいせつ
被告人・丸田憲司朗
裁判長・野村賢
裁判官・木口麻衣
裁判官・大崎敦生
書記官・林田由衣

12時6,7分ぐらいに、法廷前に傍聴席は22席である旨の札が立てられた。昨年12月15日には、傍聴席は26席であり、その時よりも少なくなっているのはなぜだろう。
12時18分ごろから、傍聴人が徐々に並びだす。13時10分位に、傍聴人は20人ほどになっていた。
13時20分に入廷が許される。傍聴席は当然満席である。
青いカバーの関係者席と思しき席が、7席指定されていた。すべて、女性が座っていた。被害者の関係者だろうか。しかし、被告側に席は指定されていた。通常は、被害者関係者の席は、検察官側に指定される。
書記官は、髪を後ろで束ねた3~40代ぐらいの女性であった。
被告人は、不健康に膨れた感じの顔であった。写真ではもともと色は白かったが、日に当たっていないためか、余計に色白である。髪は短い。白いマスクが顔のほとんどを覆っており、顔は見えにくい。ノーネクタイの白いワイシャツ、黒いスーツの上下、茶色いサンダルという出で立ちである。傍聴席の方を見ることなく入廷する。被告席に座ってからは、前を向き、膝の上で手を組んだりしていた。
弁護人は、眼鏡をかけた、白髪交じりの七三分けの初老の男性一名。
検察官は、眼鏡をかけた短い髪の中年男性。
裁判長は、眼鏡をかけた前髪の長い中年男性。裁判官は、七三分けの青年と、眼鏡をかけ髪を後ろで束ねた中年女性。
被害者参加代理人の弁護士が、13時30分ぎりぎりに入廷し、検察官の隣に座る。やたらとバッグを持った中年女性である。
ついたてが検察官の後ろに建てられる。そこに、被害者参加人が座っているらしい。
検察官が、何かをとりに、法廷外へと出ていく。30分を過ぎても開廷しない。被告人は、
傍聴席を横目で、不安そうにも見える眼差しで見ていた。その他は、目を閉じるなどして、前を向いていた。
13時40分、検察官が何か書類をもって、「申し訳ない」と言いながら、法廷に入ってくる。こうして、13時30分の予定より10分ほど遅れて、丸田憲司朗の第五回公判は開廷した。
裁判長『審理を行います。令和3年10月26日起訴。8件目の事件の審理を行う。被告人、立ってください』
被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長『検察官が起訴状を読みます。本件では、被害者秘匿決定がなされています』

<令和3年10月26日付追起訴状>
公訴事実
被告人は、被害者Hに睡眠作用等を有する薬物等を飲ませ、同人を抗拒不能の状態にさせて猥褻な行為をしようと考え、令和元年9月26日、午後11時35分ころから同月27日午前8時49分ごろまでの間に、東京都新宿区左門町16番地トレステージ四谷616号室当時の被告人方において、前記被害者H(26)に対し、飲料に混入する方法により、睡眠作用等を有する薬物を摂取させ、その薬理作用等により同人を抗拒不能の状態にさせて、服を脱がせたうえ、同人の陰部を手指で直接触るなどし、もって人を抗拒不能にさせてわいせつな行為をしたものである。
罪名及び罰条・準強制わいせつ、刑法178条1項
以上であります

裁判長『起訴状示して、確認を』
検察官『はい』
被告人、起訴状の秘匿部分を含めて見せられ、頷く。
裁判長『黙秘権あります』
被告人『はい』
裁判長『事実、示した部分、違いは』
被告人『ありません』
裁判長『まちがいない』
被告人『はい』
裁判長『弁護人は』
弁護人『被告人と同意見です』
裁判長『座ってください』
被告人は、被告席に座る。
被害者参加人に対し、裁判長は、何か確認をする。
裁判長『これから証拠調べを行います』

<冒頭陳述>
先程読み上げた公訴事実に関して、検察官が証拠によって証明しようとする事実は、次の通りです。
第1・犯行に至る経緯、及び犯行状況等
被告人は、平成29年7月ごろ、元交際相手の紹介によりHと知り合い、その後、Hとは友人としてLINEで連絡取りあったりして、たびたび一緒に飲食に行ったりしていました。
こうして交流する中で、たびたびHは被告宅に宿泊することがありましたが、被告人はHからは性交等の肉体関係を明確に拒否されていたため、被害者Hが宿泊した際、Hと性交等の肉体関係を持たなかった。
被告人は、令和元年9月下旬、LINEを通じ、Hとの間で同月26日午後9時から、四谷界隈の飲食店で二人で飲食する約束をし、そのころ店内においてHと合流し、2時間ほど二人で飲食をした後、Hから被告人方に泊めてもらえないかと求められたこともあり、その後、公訴事実の被告人方に、被害者Hを招き入れた。
被告人は、被害者Hに睡眠作用を有する薬物を飲ませ、その薬理作用により、Hを抗拒不能にさせて猥褻な行為をしようと考え、同日午後11時35分以降、カクテルを作った際にHのすきを見て処方されていた睡眠導入剤を混入し、カクテルを提供した。Hはその情を知らず睡眠導入剤が混入されたカクテルを飲んでいたところ、薬理作用により被告人方において熟睡状態になったことから、被告人は27日午前8時49分までの間に、Hの下着等を脱がせたうえ、陰部を手指などで直接触るなどし、公訴事実の犯行を遂げた。
被告人は、上記わいせつな行為に及んでいた間、自己のスマートフォンで、Hの裸体や、行為の様子などの動画を撮影した。
Hは同日朝に目を覚まして以降、被害に気付かないでいたが、捜査の過程で押収されたスマートフォンから、写真が発見され、Hは犯行を知った。
第2・情状その他関連事項等
以上を立証するため、カード記載の関係各証拠を請求します。

裁判長『取り調べ証拠は』
弁護人『いずれも同意します』

<要旨の告知>
甲74~76、Hの警察、検察への調書。平成29年7月ごろ、知人である被告人の元交際相手の紹介により、被告人と知り合い、一友人として連絡を取り合う、一緒に飲食をするなどしていた。何度も宿泊させてもらったが、性交等の肉体関係はない。知り合って1年後くらい、被告人の自宅で一度性交されそうになり、拒否抵抗してやめさせた。その後、被告人から性交等を要求されることもなかった。令和元年9月26日夜、待ち合わせの約束をしていた四谷の飲食店でワインを飲んだ。いつものように泊めてほしいと頼むと、被告人に聞くと了承したので、二人でタクシーで、被告人の部屋に行った。二人でカクテルを飲み直し、カクテル二杯目を飲んでいて、眠気などの異変を感じることもなく、ぷつんと意識を失った。翌朝目を覚ますと、会社に遅刻しそうだったことから、急いで身支度を整えるなどして出勤した。被告人から、薬物依存で困っているという話は聞いておらず、あまり酒も飲んでおらず、会話もいたって普通で、性的な会話もなかった。被告人の一杯目に作ったカクテルの写真が添付されており、撮影時刻は23時36分。LINEでのやり取りでは、翌午前8時49分ごろに、被害者は被告人宅を出た後に、お礼のLINEをしている。被害に遭ったのは警察に言われて初めて知り、友人として信じていた被告人に裏切られた気持ちになり、ショックで言葉を失い、ショックが大きすぎて、2~3日は会社に行けなかった。現在に至るまで、週に1,2回は一日フルに仕事ができないことがある。令和3年4月に心療内科を受診し、PTSDと診断された。警察官を通じて、被告からの謝罪の手紙をこれまで二通読みましたが、とても反省しているとも思えず、聞いたことのない難しい病名が書かれていた。病気言訳にしているとしか考えられない。きちんと責任を取ってもらいたい。反省しているとも思えないので、できるだけ厳しい処罰をしてもらいたい。できるだけ長く刑務所に入っていてほしい。
甲77、犯行場所の特定について。犯行動画に移っていた室内の状況、犯行場所が被告人の室内と特定された。
甲78、静止画出力報告書。Hの被害についての静止画を解析した。
甲79、動画データ解析結果報告書。令和元年9月27日午前2時36分ごろから、午前3時36分までにかけ、計三本を作成している。
甲80、犯人特定についての捜査報告書。撮影されている犯人の身体の特徴と、被告人の特徴を検討し、被告人と特定した経緯。
甲81、意見聴取結果報告書。東海大学医学部の斎藤准教授から、Hの睡眠薬の影響聴取。アルコールの影響よりも、睡眠薬服用させられ、熟睡し、すっきりして目覚めた。アルコールだけでなく睡眠薬の影響を受け、刺激に反応を示さなかった。
甲82~85、Hの毛髪鑑定結果。鑑定書、鑑定嘱託書。毛髪から、睡眠薬成分のノルフィデム検出。
甲86、Hから検出された、ノルフィデムの体内摂取時期の解析について。Hの毛髪特定部分が、毛髪の成長速度に照らし、被告により摂取させられたもの。
乙8、犯行自認する被告人の検察官に対する調書。Hとは友人以上恋人未満という認識で付き合っていた。Hは性交を拒否していた。Hが泊まりに来たときに、どうしてもムラムラ抑えきれない夜があり、そこでHに睡眠薬を飲ませ、陰部を撮影し、見ながら自慰行為しようと撮影した。薬のせいとは言えないが、コンサータを当時飲んでおり、効果を相乗する薬物を飲んでおり、かつ併用が禁止されているアルコールを飲んでいた。そのため、異常な性欲と、性欲を押さえられなかったかもしれない。Hにはできれば直接謝りたい気持ちはありますし、とても大きな反省、後悔をしている。

裁判長『本日は、以上になります。閉廷後、協議を行います。期日は追って指定します。』
13時55分、閉廷となった。16時までの予定であったが、実質、たった15分しか公判は行われなかった。公訴事実を認めたため、被害者の証人尋問が行われなかったからであろう。
被告人は、冒頭陳述などの間、目を閉じていることが多かった。
これまでの公判では、犯行を否認することが多かったため、今回も否認かと思っていたが、犯行を認めていた。友人であった女性を、毒牙にかけている場面が再現されている時、被告人の胸には何が去来したのだろうか。

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