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横浜深谷連続殺人事件公判傍聴記・2012年7月31日(被告人:新井竜太)

2012年7月31日
東京高裁12刑事部
102号法廷
事件番号:平成24年(う)第617号
罪名:殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反、詐欺
被告人:新井竜太
裁判長:井上弘通
裁判官:山田敏彦
裁判官:中川卓久
検察官:猪俣尚人
書記官:古屋敏和

この事件は、従弟の高橋隆宏と共謀し、高橋の知人女性を保険金目的で殺害し、伯父を金銭トラブルから殺害した事件である。
新井は、高橋との関係について、「俺たちはマジンガーZだ」と口にしていたとのことである。新井が頭、高橋が腕である。
さいたま地裁は、事件における二人の役割を、この新井の言葉通りに認定した。高橋を実行犯として死刑求刑に対し無期懲役に処し、新井を主犯格として死刑としたのである。
新井は、無罪を主張して控訴しており、この日控訴審初公判が行われた。

遺族席は、検察官側に6席指定されており、すべて埋まった。
記者席は2席指定され、埋まった。
被告人側関係者席は、3つ指定されており、すべて埋まった。被告人側の関係者は、撮影後に入廷した。
傍聴人は、40人ほど来ていた。
検察官は、白髪交じりのがっしりとした4~50代の男性。
井上裁判長は、白髪を七三わけにしており、眼鏡をかけた、一見したところ温厚そうな初老の男性である。しかし、長野一家三人殺害事件の松原智浩の控訴を棄却しており、実際は温厚でもなかったようだ。
裁判官は、眼鏡をかけた痩せぎみの、七三わけの中年男性。もう一人は、髪を真ん中で分けた、痩せた浅黒い中年男性である。
書記官は、角刈りのがっしりした中年男性である。
開廷前、二分間のビデオ撮影が行われた。
被告人は、頭を丸刈りにしており、口髭と顎髭を、うっすらとはやしている。髪は後退している。頬はこけた感じで、一審時よりも少しやせた印象だ。カジュアルな長袖の服を着ている。入廷時は、傍聴席の方を見ていた。法廷内撮影の後に入廷してきた弁護士に、薄笑いを浮かべ、頭を下げた。
弁護人は、初老の女性と青年の二人である。
新井竜太被告人の控訴審初公判は、10時30分より開廷した。

裁判長『それでは開廷しましょうか。立って、前に』
被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長『聞いていきます』
被告人『はい』
裁判長『名前は何と言いますか』
被告人『新井竜太です』
裁判長『生年月日は』
被告人『昭和45年6月6日です』
裁判長『本籍は』
被告人『神奈川県横浜市(略)です』
裁判長『住所は』
被告人『東京拘置所となっています』
裁判長『そうすると、他にない』
被告人『はい』
裁判長『職業は何をしていますか』
被告人『内装工です』
裁判長『じゃあ、元の席に戻って』
被告席へと戻る。
弁護人は、控訴趣意の、事実誤認、訴訟手続きの法令違反について、陳述する。
裁判長は、法令違反、どのように判決に影響を及ぼすか、追加して述べるように、求める。
弁護人は、メールを証拠申請していたが、原審はこれを調べていない。これは、様相を全く変えるものである、と述べる。原判決の認定は重大な誤りが発生している、と述べる。
弁号証10~12について、ということらしい。弁護人は証拠を見ており、被告人は後ろを向いて、それを見ていた。
弁護人は、12号証はいい、と述べる。
検察官は、論旨に理由はない、と述べる。
弁1を請求しないので、今、弁2~5号証となっているものを、弁1~4号証として扱う、とのことである。
また、弁護人は、別件被告人尋問調書、請求する。さいたま地裁は8月初旬に入手と言われている、と弁護人は述べる。また、被告人質問も請求する。
検察官は、書証はいずれも不同意、被告人質問は不必要である、と述べる。
裁判長は、証拠要件について新たに主張せよ、と述べる。
弁護人『各証拠、伝聞でなくメール内容明らかにしており、供述とは少し違う』
裁判長は、報告書という内容だと、結局は伝聞である、と述べる。
裁判長『1~4,証拠物として、申請すると』
弁護人『はい』
裁判長『検察官は』
検察官『いずれも内容申請、立証しようとしている。不必要と。メールデータ、必ずしも全く完全に再現していない。内容、分かりにくく、証明するものない。証明力は疑問。作成者から詳しく聞いて判断してほしい』
裁判長『メールの作成者』
検察官『はい』
裁判長『作成者は』
弁護人『被告人と共犯者』
裁判長『高橋』
弁護人『はい』
裁判長『被告人質問については』
弁護人『メール作成やり取りについて、被告人に説明させたい』
裁判長『それは、①の点』
弁護人『はい』
裁判長『原審でしなかった理由は』
弁護人『えー、基本的には、被告人と弁護人の、弁護方針の相違に尽きると思う。弁護人は、メールの性質について、十分な理解ない』
裁判長『やむを得ない理由ないと言っているようなものです。なんとか説明してもらわないと、法律的には(笑)』
弁護人『共犯との関係について、争点、あまり方針として明確にされていない』
裁判長『関係について、調べてほしいと。②の点は?自白、判決に引用ない』
弁護人『撤回します』
裁判長は、事案の重大性から、職権採用、吝かではない。一回続行する。メールについて整理してほしい。と述べる。
検察官は、別件について、8月30日に判決となる、と述べる。全て証拠終わっているとも。
裁判長は、それから2週間後ほどに期日を入れる、と述べる。
9月20日、15時30分、102号法廷で、期日を指定する。
裁判長『解った?被告人』
被告人『はい』
裁判長『証拠関係どうするか、判断』
被告人はうなづく。
裁判長『では、被告人、退廷を』
被告人は、眉を少し上げ、床の方をちらっと見て、退廷した。公判中、顔をしかめているようでもあった。軽い感じで退廷した。
裁判長『終わります』
10時54分に、控訴審初公判は終わった。
閉廷後、遺族の支援者らしき青年は、遺族らしき人々に、今回やったことについて説明していた。


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