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川越ネットカフェ立てこもり事件公判傍聴記・2023年12月7日(被告人:長久保浩二)

2023年12月7日

さいたま地裁第一刑事部合議

403号法廷

事件番号:令和4年(わ)第663号

罪名:逮捕監禁致傷等

被告人:長久保浩二

裁判長:北村和

書記官:浦山保洋


この事件は、刑務所から出所して間もない長久保浩二が、2022年6月21日に川越のネットカフェにおいて、前科に類似した立てこもりを、再び起こしたというものである。前科と違ったのは、今回の事件は性犯罪であり、強制性交等致傷罪で起訴されたために、裁判員裁判となった。また、報道も裁判所も、事件についての情報を厳重に秘匿した。開廷表では、罪名は逮捕監禁致傷等とだけ書かれ、事件の全容が解らないようにされている。

9時30分の締め切りまでに、36枚の傍聴券に対し並んだのは、30人程度だった。抽選は行われなかった。

入廷前、荷物預かり、金属探知機によるチェックが行われた。その後、傍聴人は法廷の前にならばされた。

検察官は、全部で三名であった。髪はセミロング、がっしりとした体格の、プロレスラー風の中年女性。前髪を垂らしたオールバックの中年男性、短髪の眼鏡をかけた痩せた青年という顔ぶれ。被害者参加代理人の横山弁護士は、検察官の後ろの席に座っていた。ショートカットの眼鏡をかけた中年女性だった。確か、林一貴の裁判でも、被害者参加代理人となっていたような記憶がある。それぞれ、机の上に記録を広げている。

弁護人は、眼鏡をかけた白髪の老人と、髪が長く痩せた若い女性。机の上に記録を広げている。

書記官は、髪の短いがっしりした体格の30代ぐらいの男性である。

被告人は、頭を丸坊主にした、引き締まった体格の中年男性である。眼鏡と白いマスクをかけている。FILAと書かれた黒い長袖の厚手の服を着ている。ジーンズ、茶色いサンダル、紺色の靴下を身に着けている。傍聴席の方をちらっと見て入廷した。被告席に座ってから、やはり傍聴席の方を見ていた。その後は、膝の上に手を置き、背を伸ばし、前を向いている。

記者席は12席指定されており、8人が座った。

裁判長は、白髪交じりの髪の穏やかそうな初老の男性。右陪席裁判官は髪を後ろで束ねた中年女性。左陪席裁判官は、髪の長い若い女性。

長久保浩二被告人の第三回公判は、10時より開廷した。


裁判長『取り調べた証拠以外、撤回』

検察官『はい』

弁護人も、それでいいと述べる。

続いて、被害者の意見陳述が始まる。被害者参加代理人の横山弁護士が代読する。



<意見陳述>

個室を掃除していました。後ろを振り返ったら、犯人がカッターナイフをもって個室に入ってきました。部屋の隅まで追いかけられた。恐怖で懸命に抵抗したが、顔を殴られ、首を絞められて気絶しました。目が覚めた時、現実だと絶望した。縛られた。さらに恐怖心が高まりました。頭を絞り必死で犯人に話しかけました。自分の心が壊れてしまわないように、ただただ必死でした。事件当時、私は学生で、就職活動の真っただ中でした。そんな中、バイト先でこの事件に巻き込まれてしまいました。事件の夢見るのではと不安と恐怖で、目をつぶれず、眠れない。

全ての見知らぬ男性怖くなり、一人で、電車に乗れない。でも、卒業するためには大学に通わなければなりません。母と一緒に電車に乗る訓練した。できるだけ空いている車両を選び、通学した。どうしても無理な時は休んだこともあった。面接官は中年男性で、とても苦しく、苦労した。医療事務や一般事務を希望だったが、男性とかかわらない職種を選ぶ必要があった。タクシーなどの逃げられない空間、怖くなった。

TVドラマ、映画、見られないものができた。事件、忘れられない。一生続くのかと思うとつらい。なぜ私が、不安や恐怖感感じなければならないのか。家族も被害者である。母は男性に不信感。父は憎しみで一杯で、犯人に何をするかわからないので、顔を見たくないと言っている。

犯人は刑務所に9年間も入っていたのに、反省もせず、レイプしたいという思いで、目に入った私をレイプした。耐えられない。犯人の事件直後の調書を読み、出所したらワンチャンあるかなと言っており、言葉を失う。事件直後からそんなことをいう人間は、更生できない。

犯人は犯行を繰り返す。また被害者出る。裁判になれば、被害内容解ってしまう不安あった。他の誰かに、同じ思いをしてほしくない。重く罰してほしい。

どうか、どうか、犯人を一生刑務所に入れておいてください。


被告人は、肘置きの上に手を置き、背もたれにもたれかかり、意見陳述を聞いていた。表情を変えることはなかった。

続いて、論告を行う。中年女性の検察官が論告に立つ。


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