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大口病院点滴連続殺人事件公判傍聴記・2023年12月15日(被告人:久保木愛弓)

2023年12月15日
東京高裁第11刑事部
102号法廷
事件番号:令和3年(う)第2081号
罪名:殺人、殺人予備
被告人:久保木愛弓
裁判長:三浦透
右陪席裁判官:結城剛行
左陪席裁判官:河畑勇
書記官:勝山ゆか

久保木愛弓被告人は、入院患者の点滴にヂアミトールを混入し、三人を殺害し、五人の殺害を計画した、殺人と殺人予備罪で起訴された。死刑が求刑されたが、2021年11月9日に下された判決は、無期懲役だった。検察側と被告人側双方が控訴し、この日、控訴審初公判が開かれた。


10時15分の締め切りまでに、60人ほどが並んだ。傍聴券は75枚であり、抽選は行われなかった。
入廷前に荷物預かり、金属探知機によるチェックが行われた。筆箱は持って入れず、職員は服の上から体を触れてきた。その後、法廷前にならばされた。
傍聴人の入廷前に、ビデオカメラによる法廷撮影が行われたらしい。
記者席は20席が指定され、殆ど埋まっていた。
弁護人は、三名。一人は、眼鏡をかけた白髪交じりの顎髭を生やした中年男性。趙弁護士だったように思える。そのほかは、髪を後ろで束ねた、痩せた、3~40代の女性。髪の短い痩せた中年男性、という顔ぶれである。
検察官も三名であった。髪を短く刈った初老の男性、白髪交じりの髪を短く刈った初老の男性、ショートカットの中年女性、という顔ぶれ。
被害者参加代理人は、三名。眼鏡をかけた白髪の老人、ショートカットの初老の女性、髪の短い青年。
裁判長は、黒髪を七三分けにした、浅黒い中年男性。裁判官は、白髪交じりの髪、がっしりした体格の、初老の男性であった。
被告人は、地味な印象の30代の女性である。髪を後ろで束ね、眼鏡をかけ、白いマスクが顔の殆どを覆っている。ノーネクタイの白いワイシャツ、黒いスカートスーツという恰好。前を向いて入廷する。被告席に座ってからも、前を向いている。
バーの前には、三人の男性職員が、並んで立っている。
11時より、久保木愛弓被告人の控訴審初公判は開廷した。

裁判長『開廷します』
バーの前に並んでいた職員たちが、後ろに下がる。
裁判長『証言台の椅子に座って』
被告人は、証言台の椅子に座る。
裁判長『名前は』
被告人『久保木愛弓です』
被告人は、高く小さな声で、答えた。
裁判長『生年月日は』
被告人『昭和62年1月17日です』
裁判長『本籍は』
被告人『福島県いわき市』
裁判長『その後は』
被告人『170…覚えてないです』
裁判長『(略)』
被告人『はい』
裁判長『住所はありませんか』
被告人『はい』
裁判長『仕事はしていないですか』
被告人『はい』
裁判長『控訴審始めます。戻って』
被告人は、被告席に戻る。
裁判長『双方の控訴。検察官、控訴趣意の通り』
検察官『陳述します』
裁判長『弁護人も』
弁護人『はい、陳述します。あとで口頭の陳述を』
裁判長『答弁、控訴趣意書あわせて』
弁護人『はい』
裁判長「どうぞ」
眼鏡をかけ顎髭を生やした弁護人が、証言台の前に立つ。

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