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新しいトレーニング業界の常識と対策

若いトレーナーの方には信じ難い話かも知れませんが、かつてパーソナルトレーナーとは希少な存在でした。

20年前、パーソナルトレーニングは「有名人しかやっていないサービス」みたいに言われていました。

しかし、希少なはずだった当時のパーソナルトレーナーも豊かではありませんでした。受ける人が少なかったからです。こんな過去の状況と今を比べてみると、面白い事に気づきます。

この記事は、トレーニング業界の現状を分析し、今後の動き方の参考になるよう具体例を出して紹介します。最後まで読んで頂けたら嬉しいです。

私は東京でトレーナーを25年続けています。ジムの箱物商売には嫌と言うほど関わりました。

その上で思いますが、現在のパーソナルトレーニング業界は崩壊寸前です。そして新しいパーソナルトレーニング業界も誕生しようとしています。

パーソナルトレーナーが最も豊かだったのは2010年から2015年くらいの時期です。ライザップが生まれたのもこの時期。

買い手の多さより、トレーナーの数がまだ少なく、この当時のパーソナルトレーニングを「バブル」と言う人もいました。実際に時間単価1〜2万円のサービスが当然のように出回っていました。

ですがこのあと、大変な勢いでパーソナルトレーナーとスタジオは増え続け、あっという間に豊かな時代は終わりました。価格破壊の始まりです。

そして一度安くなったものが、同じ価格相場に戻ることはとても難しい事です。

今後「パーソナルトレーニング」という名前で活動をするなら、よほどのネームバリューやインフルエンスがなければ薄利多売で戦わなければならない事と思います。

そんな中でも広告屋さんは、淡い期待を耳に吹きこみますが、信じるのは危険です。

確かに一時期前までは、WEBマーケティングで集客の差はつきました。ですが今の時代はその差も薄いです。

発信が容易な時代。同じような広告に消費者は悩みます。みんな一緒なら安いものが選ばれます。

価格競争のチキンレースに皆、巻き込まれています。

この状況から抜け出す為には、どうしたら良いのでしょう。

わずらわしい競争から離脱する為には、どうしたら良いだろう。

私の話で恐縮ですが、私の場合は他の理由で競争から離脱せざるを得ませんでした。年齢の問題です。

これが今となっては功を奏していて、よければ参考にしてもらえたらと思います。

私は35歳でパーソナルトレーナーとしての限界を感じました。

ですが、まだ下り坂は進みたくなかったから、登り坂を選びました。その登り坂は「パーソナルトレーナーを超える事」でした。

ちなみに私が35歳の時は2013年で、業界の景気は良く、そのまま普通にパーソナルトレーニングをしていても仕事には困らなかったと思います。

ですが、環境に身を任す事がなんだかとても怖く感じました。

時代のおかげで成功しても、それは私の実力とは関係が薄いと思いました。

だから、ブームに頼らず、創作する事を大切に過ごしました。

私はまずパーソナルトレーニングが持つ従来の概念を捨ててみると試みました。指導にマシンを使う事をやめ、トレーニング業界の外部情報をできる限り遮断しました。

そして根本的な人間の喜びや感動を客観的に整理し、それをサービスに落とし込む作業に取り掛かりました。

何度もレッスンの中で試行しました。衰えていく自分と、新しいものを作る自分が同じ時間を過ごしていました。

新しいサービスの名前は「ウェルネス メンタリング」と呼んでいました。

マニュアルを作り進め、時に講座などを開き、外部の反応も取り入れました。

私のウェルネス メンタリングは年間の契約で300万円ほどでした。今はもう新規の募集はしていません。

ウェルネスメンタリングの内容は生き方のメンターです。

私は自分を凡人だと理解しています。人様の生き方についてとやかく言える人間でない事は承知しています。

ですが、クライアントさんと一緒に悩む事はできますし、話し相手にもなれます。解決策が見つかった時に具体的な方法に落とし込む事もできます。それらは希少な存在になりえます。

例えば、私のクライアントさんに30歳までに結婚したい女性がいました。28歳で私のメンタリングに申し込まれました。その時は彼氏もいませんでした。

クライアントさんは無事に29歳で結婚し、私は結婚式にも参加しました。

私がこのクライアントさんに行った内容は、結婚の戦略コンサルティングです。その中に外見を整える運動指導や栄養指導もありましたが、内容としてはほんの一部です。

結婚までの道筋を時系列でスケジューリングする。実現する為のストーリーを描き、想像してもらい、納得したもらい、行動してもらい、フィードバックし、最後は本人の力で現実にしてもらう。

成功は本人だけではなく、多くの関係者の幸せにも繋がりました。

違う例では、中小企業の50代オーナー社長がいました。会社は順調でしたが、自身の体は良い状態ではなく、医師から紹介された案件でした。

このクライアントに出会った時、心のケアが先立って必要だと思いました。憔悴しているのに心の充電器が壊れている。だから回復できない。そんな印象でした。それが体に影響しているから最初はトレーニングどころではありませんでした。

序盤は精神科医のような仕事でした。
不安定な精神状態を安定させる事に1年以上かかりました。

結果的には、そのクライアントも見事に自分を取り戻し、その後、会社の成績を倍以上に伸ばしました。

ここで私が行ったのは、企業への間接的な経営コンサルティングです。オーナー社長の影響力は強い。その社長をパワーアップさせる事は会社にとって大きな利益となり、大勢の社員にも利益を生みます。

これらの、内容は私がトレーニングレッスンしかしていなかったら、身に付かなかったと思います。

35歳の時にトレーナーを越えようと思わなければ、今も私はトレーニング指導しかできなかったかも知れません。

パーソナルトレーナーやヨガ、ピラティスなど、運動指導者は今後も増え続けると思います。

この記事が運動指導を生業とする多くの人の参考になれば嬉しく思います。



























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