見出し画像

#29 松田聖子×松本隆×「〇〇色」を考察してみた・・・の前半(凝り性のハマったら沼編Part②)

今回はいつもの公共施設ネタとかから離れて、完全に趣味の世界のことについて。
以前にボールペンインクネタでハマったら沼編Part①を書いたけど、今回もそんな趣旨的ハマりネタのPart②として綴ってみることに。
↓Part①はこちらから

僕は1971年生まれで、いわゆる団塊ジュニア世代ということになるのだが、青春時期(小3〜高3)を過ごした1980年代のことは今でも強烈に記憶に残っている。

ジャンルにとらわれず80年代のネタを上げ始めると、凝り性的にはいくらでも出てくるのだが、今回はその中からアイドルネタを取り上げてみたい。

完全にテレビっ子として育った僕の中では、80年代アイドルNo.1と言えば、ダントツ松田聖子さん(以下、聖子さん)ということになるのだが、単に聖子さんの思い出を書いても全然面白くないので、今回は聖子さんソングで大半の歌詞を手がけている松本隆さんの歌詞にフォーカスを当ててみることに。

で、その松本隆さんと言えば、情景的な歌詞が非常に特徴であり、その中でも僕は「色の表現」がたまらなく好きだったりする。
僕自身、普段から建築を仕事にしていることに加え、デザイン全般も大好物なので「色」についても結構な凝り性だったりする。
そんなことで、これを全部掛け算にしてみるとどんな考察になるだろうというのが興味の始まりである。

例えば聖子さんの代表曲である「赤いスイートピー」の冒頭に、「春色の汽車に乗って〜」のように「春色」という松本隆さん独特の情景イメージを喚起する色の表現が登場してくるのだが、この「春色」ってどんな色?みたいなことがずっと気になっていた。
このモヤモヤ感を解消するために、松本隆さんが歌詞の中で表現する色が、どんな色なのかを可視化していくのが、今回の趣旨となる。
もちろん可視化といっても、歌詞や曲の雰囲気から連想する僕の勝手なイメージであることと、歌詞可視化という非常にオッサン的発想であることもお断りしておく(笑)

ちなみに僕が過ごした80年代を振り返ったnote記事も書いているので、こちらも併せて読んでもらえると、時代背景がよくわかると思う。
なお、聖子さんがデビューした1980年(4月1日に裸足の季節でデビュー)には、任天堂ゲーム&ウォッチも発売されていて、ほぼ同時期(4月28日)のデビューである。


記事を書く前の準備として

聖子さんのアルバムは80年代当時5〜6枚、LPレコードカセットテープで所有していたのだが、流石に今は持っておらず、改めてディスコグラフィーを確認し、1980年のデビューアルバム「SQUALL」から1987年の「Strawberry Time」まで、CDで一通り揃えてみた。
流石に現在に至るまでの全てのアルバムを揃えるのは財力的にも厳しいので、ひとまず聖子さんのアイドル時代という区切りで、元々CDも所有していた「Strawberry Time」までとしてみた。
(ちなみに僕が生涯初めて買ったCDは「Strawberry Time」であるww)
また、オリジナルアルバムには収録されてないシングルB面曲もたくさんあるので、80年代のシングルA面+B面を網羅したベストアルバム「Seiko Matsuda sweet days」も買ってみることに。

あと、聖子さんのアイドル期について詳しく書かれている2冊の書籍、若松宗雄さん(著)「松田聖子の誕生」と石田伸也さん(著)「1980年の松田聖子」も併せて買って、じっくり読ませてもらった。

聖子さんのデビュー前からアイドル期の裏側まで詳しく書かれた2冊

また、色にまつわる書籍についても、元々所有していたものも含めて、CMYK値もしっかり記述されているものを4冊ほど準備してみた。

普段から結構好きな「色にまつわる」書籍

松本隆さんの歌詞はどれくらいあるのか?

松本隆さんは80年代に発表された聖子さんの曲の大半で歌詞を手がけているが、最初の曲となったのは3rdアルバム「Silhouette(シルエット)」収録の「白い貝のブローチ」からで、以後ほとんどの曲を手がけている。
僕はずっと「白いパラソル」が最初だと思っていたが、「松田聖子の誕生」によると、このアルバム曲が最初というのが正解だった。

このアルバム(Silhouette)のもう一つのポイントは、松本隆さんが初めて参加してくださったこと。松本さんは既にたくさんのヒット曲を世に送り出していた頃で、アルバムの中の1曲というオファーは少し突然だったかもしれない。けれど「白い貝のブローチ」という曲を通じて、松本さんの詩が聖子と大変マッチし、とてもいい色合いが生まれることがわかった。それで次のシングル「白いパラソル」もお願いすることにしたのだ。

松田聖子の誕生(若松宗雄さん・著)より

また「1980年の松田聖子」によると、「白い貝のブローチ」以降、松本隆さんは聖子さんに138曲もの歌詞を提供(書籍が出版された2020年現在)しているそうだ。

松本が聖子に提供したのは、およそ音楽史に例を見ない138曲という数字である。ひとりの作詞家がひとりの歌手へ書いた記録として、今後も破られることはないだろう。

1980年の松田聖子(石田伸也さん・著)より

いわゆる一般的な色の表現はどれくらい登場するのか?

準備したCDの中では、松本隆さんが歌詞を手がけているのは、3枚目のアルバム(Silhouette)に収録された「白い貝のブローチ」から、14枚目のアルバム(Strawberry Time)までと、アルバムに入っていないシングル曲やそのB面曲、さらにベストアルバムに収録されている曲(WITH YOU・とんがり屋根の花屋さんの2曲は確認したが、あとは未確認)までで実に107曲にも上った。

その中で、何かしらの色が歌詞に登場してくるのは約7割あり、さまざまな色が歌詞の中に散りばめられている。

アイドル時代の聖子さんのイメージカラーはというと、なんとなくピンクな感じなので、ピンクが多く登場してくるのかと思いきや、意外と3曲(ピンクのスクーター・ピンクのモーツァルト・マリオネットの涙)にとどまることが判明。

では何色が多く登場してくるのかというと、圧倒的にが多い。
白が27曲(白いパラソルなど)で一番多く、青が25曲(天国のキッスなど)でそれに続く。
赤は13曲と意外に少なく、黄色や緑など、その他の色はそれほど多く登場しないところを踏まえると、松本隆さんにとって、聖子さんのイメージは爽やかな白や青だったのかもしれない。
ちなみに青とは別に(蒼いフォトグラフなど3曲)も使われており、そういった青の別表現(ブルーグレーやマリンブルーなど)を含めると、青系の色が一番多くなる。

こういったデータをしっかり取るために、歌詞カードを一枚づつ確認しながら、ちまちまと表にまとめていったのが下の図である。
凝り性というのは本当に労力の無駄遣いである(笑)

107曲の中に登場してくる色の仕分け表(笑)

ちなみに作曲陣は?

今回のテーマとはちと外れるが、松本隆さんの作詞に合わせる作曲陣は誰が多かったかというと、以下のとおりである。
1位:財津和夫さん→14曲(白いパラソルなど)
2位:呉田軽穂さん(ユーミン)→12曲(赤いスイートピーなど)
3位:大村雅朗さん→10曲(SWEET MEMORIESなど)
4位:来生たかおさん→8曲(マイアミの午前5時など)
5位:細野晴臣さん→7曲(ガラスの林檎など)
5位:大瀧詠一さん→7曲(風立ちぬなど)
こうしてみると、代表曲が多い松本隆×ユーミンのコンビはやはり最強だったんだろうなと感じるところである。
また、はっぴぃえんどの盟友(細野晴臣さん、大瀧詠一さん、鈴木茂さんも1曲提供)たちと多くの曲でコンビを組んでいることや、生涯で実に390曲もコンビを組んでいる筒美京平さんとの曲が聖子さんには提供されていないのは興味深い。

ちなみに3rdアルバムまでは、作詞:三浦徳子さん、作曲:小田裕一郎さんというコンビで大半の曲が作られている。

松本隆さんはほとんど登場しないが初期3作も名曲揃い

さて、字数も多くなってきたので、今回はここまで。
次回となる後半では、今回のテーマである、松本隆さん特有の色の表現(春色とか映画色とか)を曲の内容と共に考察し、僕がイメージする色をマンセル値を使って特定していくこととしたい。

後半もお楽しみに・・・

この記事が参加している募集

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?