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読書日記「犯罪」フェルディナンド・フォン・シーラッハ

むっちゃん、この本はね、とっても暗くて重いんだけど、すごーくすごーくすごーく面白いので、時間がたっぷりめにあるとき、暗い話を読む勇気のある時、一人の時に読んでください。

今から10年くらい前にドイツの刑事事件専門の弁護士によって書かれた本で、犯罪専門の弁護士が現実に起こった事件をもとにして、様々な罪を犯した人たちを描いた15の短編集です。

犯罪を犯したんだから「悪い人」であることは確かなんだけど、どの話も「うーん」と唸るくらいよくできているんだよ。ミステリーとかではなくて、犯罪者の人生を描いているというか、人間というものの哀しさや愛おしさをすごく感じるんだよね。


この本はちょっと前まで働いていた市民図書室で、海外ミステリー好きのご婦人にすすめられて以来、何度か繰り返し読んでいます。そのくらい、おすすめだということをお伝えしたいです。文章がとにかく良く、詩的ですらあります。


でも、ちょっと怖い(気持ちわるい)場面も出てくるので、苦手なら読み飛ばしてね!


あー、引用するためにメモもしたんけど、またそこを読み返してみると引用するのが惜しい気がしてきたよ。流れがとても大事で、どんな人物がそのセリフを言うのかが重要なので。やっぱりやめた!


代わりに、どんな犯罪者が出てくるかを少し書くね。


犯罪者一家にたまたま突然変異のように生まれたけど、家族にもその賢さを隠したまま愉快な2重生活を送り、罪を犯したバカな兄のために法廷すらもうまく欺く弟とか、博物館にある「棘をぬく少年」の棘に取り憑かれてだんだん狂っていく博物館警備員とか、人間や動物が数字に見える羊の眼をくり抜き続ける伯爵家の御曹司などなど。


そういう犯罪者が15人出てきます。


私の紹介では面白いと感じないと思うんだけど、犯罪に焦点があるのではなくて、犯罪者の人生を感じられる雰囲気がすごく良いので好きなんだ。


そしてこれはシリーズで何冊かあり、去年かな?また新しいのが出たんだけど、まだそれは読んでいません。


2冊目「罪悪」はすぐに紹介するね!


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