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読書日記 「流しのしたの骨」江國香織

金木犀の季節がやってきた!!空気もカラッとしていてとにかく歩いていたいようなすごく良い季節。昼も夜も散歩が気持ちよくて、とにかくいっぱい歩いています。 

そうだ、今月から社会福祉士の実習が始まったのですごく忙しい。仕事、実習、仕事、実習、仕事、ボランティア、仕事、、、という感じ。

今日の仕事は午後からの絵画教室だけだからちょっとのんびり。ハロウィンの衣装を着たかわいい子たちに会えるのが楽しみ!

休みはないけど、合間に友達と会ったり一人で呑みに行ったり、それなりに息抜きをしながら楽しく過ごしています。

いつもよりずっと早く起きて車で出勤したり、慣れない日誌を一生懸命に書いたり、わからない用語や制度について調べたりで正直時間が足りないけど、10月はそういう1ヶ月を過ごそうと決めていたから悔いなし!


一つのことだけをするのではなくて、いくつかのことをやってる方が向いてる気がする。あと、報告書を書くのが案外好きだということに気がついた。


今まではそういうことをしたことがなかったけど。やってみないとわからないことがあるから、なんでも挑戦する方がいいね。やりたくてやってみたけど、あー向いてないなーと思うこともあったし。


今日は江國香織さんの本を紹介するね。


江國さんの文章はすごく好き!どれも面白いけど、これはこのまえ会った友達が紹介してくれて初めて読みました。


「流しのしたの骨」って、だいぶ物騒なタイトルだけど、ぜんぜん怖い話じゃないので安心してください。すごく素敵なお話だよ。


家族の物語なんだけど、自分はどの人タイプかも?でも憧れるのはこの人かな?とか考えながら読むのが楽しかったです。


横には深町直人が横になっている。私たちの体はまっすぐで、一定の距離をはさんで平行だ。トレイにのった二ひきのかますみたい。

私は江國さんのこういう表現が好き。事後のセクシーな場面を描く描写なのにユーモアを感じるし、ここで「かます」を出してくるのが「いい!」と思う。



「あの子、まるですきやき鍋に残ったお麩みたいに惨めな顔をしてた」


こういう比喩表現も、いいなーと思う。



ジャケットは肩のあたりがぐずぐずに乱れて抜衣紋(ぬきえもん)になり、ほっぺたと鼻の頭が赤くなっている。時計をみると、二十七分の遅刻だ。
 私はべつにおこらない。寛容なわけではなく、時間をあまり感じないのだ。ひとを待っていると、時間はあっというまにすぎてしまう。


ねぇ、むっちゃん(仮名)は人を待たせるタイプ?待たされても平気なタイプ?あんまり外で待ち合わせをしたことがないからわからないけど。わたしはね、待つのが苦にならないタイプだよ。本を読んでいればいいしね。



読書ごっこというのはなにかというと、簡潔にいえばただの読書だ。でも私たちは「ごっこ」が好きで、たいていのことは「ごっこ」にしてみることにしている。(中略)たとえば一人ずつばらばらに本を読む場合でも、はじめに「読書ごっこ」をしよう」と言って始めれば、俄然一緒に遊んでいるという感じがする。


この「ごっこ」遊びはいいよねぇ。これは現実問題としてヒマがないとできないんだけど。昔は「ごっこ遊び」になんて全く興味がなくて、むしろバカにしていたくらいだったんだけど、大人になってから積極的にしたいと思うようになったんだよ。ちゃんと子どもの頃に遊んでおかないとこういうことになっちゃうんだなー。


私たちは子供の時分からいいきかされてきたのだ。それらの防寒具を正しく身につけて、私たちはみんなあたたかく気持ちよく心平らかにおもてに出る必要がある、と。父にいわせればそれはほとんど個々に課せられた義務であり、それを怠って寒そうな顔をして、まわりの人間を心配させるのは実に恥ずべきことなのだった。

これは私の中で日本国憲法第25条に匹敵する言葉だと思ったよ!どの子どもにも「気持ちよく心平らかにおもてに出る必要がある」よね?自分にはそれをするだけの価値がある人間だということが大人になるまでに身についているかどうかが問題なんだけど。


私はときどき人生について考える。
 生まれてから死ぬまでの時間について、そのあいだに起こる出来事と起こらない出来事について、行く場所と行かない場所について、そして、いま現在の場所について。
 人生について考えるのはたいてい昼間だ。それもよく晴れた昼間。たとえばひんやりした台所で。たとえば電車のなかで。たとえば教室で。(中略)そういうとき、私にとってそれはまるでビスコの箱にかかれた血色のいい男の子の顔のように、未知にして親しいものだった。

むっちゃんが人生について考えるのはいつの時間が多い?私は歩いてる時とかに考えてるかな?と思ったけど、案外そうでもなかった。一人でお酒を飲んでる時にそんなことを考えてたらカッコいいかな?と思ったけど、この前は「ビールおいしいなー!」としか思ってなかったよ。結局いつなのかははっきりしないままだけど「人生について考えることは未知にして親しいもの」だよね。



「二十歳は嬉しい?」
 深町直人が訊いた。嬉しいかどうかはわからなかった。なってみないと。
「でも抱負としてはね、前進すること。それから正しく生きること」
 紫キャベツのサラダをつつく。
「いい抱負だね」
 やさしい声で、深町直人は言った。


すごく良い抱負でしょう?わたしもむっちゃんも二十歳の倍以上生きているけど、同じような抱負を持っていてもいいんじゃないかなと思うんだ。どう思う?


寒くなってきたから体脂肪の少ないむっちゃんは寒く感じるんじゃない?いそがしいだろうけど、夜は湯船につかって温まるんだよ。


ではまたね!


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