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醜形恐怖症の日常

行ってくるね、
私は鏡を見て自分をチェックする。
髪がうまくまとまってない。メイクが何か違う気がする。やっぱりこのスカート似合ってないかも、太ってる痩せないと。でももう時間だ。行くしかない。
私は電気を消してドアを開けて鍵を閉める。いつものように階段を降りてエントランスを通って、マンションを出る。

外から帰ってきた、背の高い女性が前から歩いてきている。厚底を履いた私よりも背が高い。すれ違う。目が合う。私の見た目やっぱり変なのかな。
前から吹いてきた風で前髪が崩れる。前髪なおそうとくしを出してとかす。

歩いている時に横を通った車の窓に映る自分を見ずにはいられない。反射的に見てまた不安になる。数歩歩いてすれ違った端正な顔をした女性を見てまた私の心が崩れる。電車に乗ってる間もみんなの顔を見てしまう。可愛い、可愛い、可愛い。みんな可愛い。長い改札を通り抜ける間も様々な人にすれ違うが、誰とも目すら合わせられない。みんながみんな敵のような目をしていて、私になんて到底視野にも入ってないような感じ。この雰囲気がさらに私の心を突き刺す。怖い、すごい怖い。目的地に着くとたくさんの人とすれ違い、モデルをやっているのかと感じさせられるほどのスタイルでツヤツヤな髪をした後ろ姿ではっと驚き、数分後には心の傷が深くなる。

私は友達の誕プレを買いに来ただけだ。いいの見つかったらすぐ帰るんだから。
心を癒そうと、音楽を聴きながら歩こうと思って開いたスマホにはおすすめに流れてくる自信のある子の自撮りたち。ああ本当に私って。
前にある未成年に二重を勧める広告の数々。今だけやすく脱毛できる勧誘をしている広告。目を舐め回すように見てくる下から上まで見てくる女のあのこの視線。前に付き合った彼が可愛いって言っていた女の子がくったくなく笑った顔。写真を撮った時に感じる私と友達との格差。口を大きく開けて笑いながら大人数で飲んでる一軍の男女たち。愛嬌あって容姿端麗で、thank youって可愛く容器をデコって渡してくるスタバの店員たち。カフェで手を叩きながら笑って話してる若い子達。本当に好きなんだろうなと感じさせられるほど彼女に見惚れた視線で彼女を見つめる男。アナウンサーになりたいっていってミスコンある大学を目指すお友達。

私よりまつげ長いのに美容液勧めてくる美しい顔したお友達。可愛い子がアイプチしてる。あの子が努力なんてしてしまったらもう誰にも敵わない。


ああ眩しい。眩しすぎるどこを見ても目が疲れる。みんな眩しい。私だけ違う全てが。ああ私は本当に。。。


私は性格はいいはずだった。人には優しいし私のことを大事にしてくれる素敵な友達もいる。とりわけ勉強ができないわけでもない、きっと本当は最悪に顔が悪いわけでもない。でもダメなんだ、説明してと言われても話せないわからない、全て何かが違うだけ、ほんとうに自分が憎い、でも何も自分は悪いことはしていなかった。間違ったことをしたわけでもない。でもなんか違う。自分のことは絶対的に嫌い。きっと一生好きにはなれない。

私の顔を歪んで映すバリバリに散りばめられた破片の数々。腕には赤い傷。翌朝起きたら腫れてる目。何度の自撮りしてインスタグラマーの自撮りと並べて比較して納得いかなくて、また撮り直す。他人から見たらどんな顔なんだろう。手を伸ばして外カメで撮り直す。ああひどい。動画にしてあらゆる角度で撮っていく。ヒアルをいれたら可愛くなれるかな。友達が勧めたエラボト私もやってみるべきなのかな。やっぱり骨切りでもしないとダメなのかな。。

ただただ可愛くなりたい、今よりマシになりたい自分を好きになりたい。本当に、ただ、それだけなのに。

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