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うちにはライオンがいます。

まえがき

コピグラのコピーをつなげて小説を書きました。YOASOBIならぬDARASOBI。それでは読んでください、listen…(狩野英孝風)


うちにはライオンがいます

ライオンは5万円。ゾウは3000万円、キリンは1000万円。パパは躊躇なくライオンを選んだ。

いじめられてる僕。隣の奥さんになめられているママ、近所の騒音に悩まされている我が家にはぴったりのペットだ。

おっきい肉球だぁ。肉球の王。

イオ。僕はそうライオンに名付けた。
第一印象が「オイ!」って言いたそうな目だったから。

最初が怖かった分、今は誰よりも愛おしい。チュールチュール、ガオチュール。ネコ、俺にまっしぐら。

ママが悩んでいた、
おしゃべりなお隣さんが家へ来なくなった。ご近所無双。そして。家庭訪問のあとから、担任の先生がやさしい。

張り紙より、警備会社なんかよりずーっとイオの方が役に立つ。我が家の防犯対策はバッチリだ。泥棒の、心肺ないさ。セコム、要りますか?まだセコム、してますか?セールスマン撃退法。

イオは瞬く間に家族のヒーローになった。

あいかわらず僕はみんなに避けられてるけど、イオが来てから、なんとなくクラスの空気が変わった気がした。だから、勇気を出したんだ。放課後、クラスメイトに大きな声でこう言った。

「うちライオンいるけど、今から来る?」

みんな目を輝かせて口ぐちに「行く!」「行きたい!」と言ってくれた。

イオは大人しくしているだろうか?逃げだしてないかな。毎日不安になる。でも、大丈夫。

ただいまーと家に帰ればこたつが浮いてる。

「みかんより大きい肉球、触ってみたくない?」
僕がクラスのみんなに話しかけてる。また余計なことを言って怒らせてしまうんじゃないかって怖かった。でも。一緒なら何もこわくない。

イオは家族だけじゃなくクラスの、いや、街のヒーローになった。

散歩しただけで、街から犯罪が減った。
散歩で道が、モーセの海になる。

けものとフレンズ、衣食獣が板についてきた矢先だった。ステイホームがやめられないが、いつもの散歩あとパパがすまなそうに僕にこう言った。

「町おこしで動物園を作ることになった。町長直々お願いされたんだ。早々に武井壮が来て、年賀状撮影したら動物園にイオは行く。ああ。家族写真がファンタジーだなぁ」

動物園のライオンなんて寝てる姿しか見せてくれないのに。僕は唇をかむ。でも、予想はしていたんだ。きっとこんな日がくるってこと。

図鑑に載っていない経験をして、僕は変わった。最近、男らしくなったとよく言われる。
これからどんな嫌なやつが「オイ」ってすごんできても「コイツはイオには絶対かなわない」そう思えばすべてが大丈夫に思えた。

大抵のことは、大したことはないんだ。

僕は、いつか、まだまだ先だけどさ。人生に、何か爪痕を残したい。それまで負けないよ。

ああ。
夕焼けって、こんなに壮大だったっけ。

抱きしめたはずが、抱きしめられてた。

別れの日、僕はきっと君より大きな声でなくだろう。


あとがき

もう、今や大人気のコピグラです。

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