こっち向いて

私だけを好きでいてほしい
どうしてそれがいけないの
lineの手を止めてよ
きっとその相手のほうが可愛いんだろうけど
ねえこっち向いて
それでも私はあなたの前で
ちっとも不機嫌になったりしないでしょう
それはちっとも可愛くない私が
必死であなたを繋ぎとめるための切ない尽力
笑顔は誰だって可愛いんだよと
昔ブスと罵られて泣いて帰った私に
おばあちゃんが言った
それを信じてそれに支えられて
ここまでやってきたのよ
釣り合ってないのは承知の上
見上げるといつもそこには整った顔があって
オシャレな洋服に身を包んで
そりゃ女の子が放っておかないわ
野球もサッカーも競馬も
一位を捕らなきゃ意味がない
私はあなたの中で何位ですか
今夜会う子は私よりも上ですか
いつまでもlineの手は止まらない
きっとたくさんの女の子に返してるのね
泣きそうになるのをぐっとこらえて
おばあちゃんの言葉を思い出す
笑顔は誰だって可愛いんだよ
だから私は隣で黙って微笑んでる
いばらの道を選んだのは自分だから
いつか戦って勝ち取るわ
あなたの中の一位の座
私だけを好きでいてほしい
今はそれは叶わない
でも近所のお地蔵様に毎日手を合わせてるし
願いはゲリラ豪雨のように
突然降りかかるでしょう
私はあなたにわがまま一つ言わないでしょう
それはいずれ使う可愛い貯金なのよ
いい加減lineの手を止めてよ
ねえこっち向いて
私のことだけ見てくれなくてもいいから
その長いまつげとずっと通った鼻筋で
私を見下ろしてよ
今はたったそれだけでもいいから
それだけで幸せだから

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