見出し画像

「右側に気をつけろ」ジャン・リュック・ゴダール//"Soigne ta droite" Jean-Luc Godard

※今まで頑張って構成を考えながら感想を書いていましたが、自分のメモとして記録を残すことにしました。

ゴダール作品は、以前まで小難しくてとっつきにくいものと思っていたが、小難しいとか、とっつきにくい、という「型」に押し込むこと自体が、自分の思考の浅さを露呈してしまうことなんだな、と思う。自虐とかではなく、「小難しいな〜」と鑑賞することが痛快になってきた。

コメディタッチのゴダール自身は、TWIN PEAKS Returnのダギーを思わせ、また、画面のあちらこちらにジャック・タチの世界観が流れている。両方とも好きな作品なので、とにかく楽しい。また、途中で挿入されるミュージシャンのドキュメンタリーのかっこよさといったら!何に、どこにカメラを据えるのか。「瞬間を取りこぼしてはいけない」と常に考えていた己の「瞬間」の狭義さに笑ってしまう。ゴダールは特異点である。そして、映画そのものなのだ。

このシーン、大好き

カメラは三脚で据えられ、カットの主人公がいつも中心にいて、「脇役」たちが主人公の周りを歩いたり、横切ったりする。このカメラワークはなんだ。ゴダールを見ると、毎度ハッとするのだ。カット自体が物語であることを、物語を追っていると忘れてしまう。自分が「物語原理主義」の映画や語りが好きではない理由を見つけた気がした。カットとは何か、改めて考えてしまう。あるいは「物語とは何か」も考えて、実は映画にとって蛇足なんじゃないか、なんて思ってしまったり。

終盤、音楽の映画ではないはずなのだが、「体内に音楽がある」ことに気づく。

「さまざまな創造は奇跡となりうる」というセリフが登場したが、妙に感動してしまった。奇跡のために私は映画を撮っているのだ。

今更だが、ゴダールにぞっこんになりそうである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?