見出し画像

丸山ゴンザレス・村田らむ『危険地帯潜入調査報告書』感想

※2022年9月執筆。

丸山ゴンザレスと村田らむの共著!最高!
このお二方は、YouTubeでもお互いのチャンネルに呼び合ったり、非常に良い関係だと思う。一緒にガルフィーの展示会に行っていた動画は、おじさん二人が服を選びながらキャッキャしていて可愛かった。笑

さて、本著では、二人が訪れた国内・海外の各地域について、立入禁止区域や心霊スポット、変わった名産品、変な人々(大雑把過ぎる)等、テーマ毎に漫画と数頁のコラムや現地で撮影した写真を交え、分かりやすく語ってくれている。
丸山氏は文章でも動画でも多弁だが、ジャーナリストという職業柄なのか、あまり「自分はこんな事を言った/した」という話はしないように思う。本著では、村田氏が何も知らない後輩っぽいキャラで丸山氏に色々話を聞く、という形式なので「実は俺、こんな事しちゃったんだよね」的な初耳のエピソードが多く、ファンとしては嬉しかった。

例えば、タイで悪そうな日本人の若者に「タイ詳しいスか?いい店知らないスか?」と話し掛けられ、風俗店に案内し、男性器を残しているニューハーフをさも女性風俗嬢であるかのように斡旋(?)してあげた話は、イタズラっ子過ぎて笑ってしまった。若者達の反応が気になるところである。

丸山氏の、幼少期や学生時代の話もあった。
バックパッカーをしていた頃、ドミトリーの他のメンバーはボランティアをしたり、ギター弾きながらブルーハーツを熱唱したり青春していたが、そのグループには馴染めず、ひたすら読書していたという話には共感した。
「食べる・寝る以外で一つでも何か出来たら良いほう」というのも非常によく分かる…。
自分もある時期、何度か一人で海外旅行をしていた。特にどこかへ観光するでも無く、ホテルの近所をフラフラ散歩して、たまにカフェで酒を飲んだり、コーヒーを飲んだりして、ずっと読書をしていた。

らむさんがタイで訪れた、シリラート法医学博物館がとても気になった。通称、"死体博物館"と呼ばれているそうで、小人症やシャム双生児、銃殺された人、犯罪者…等のホルマリン漬け、骸骨、ミイラが展示されているのだそう。タイは一度行った事があるが、全く知らなかった。行ってみたい。
この博物館や"エイズ寺"と呼ばれるエイズ患者のホスピスとなっている寺は、ヨーロッパの人権団体からクレームが来ているそうで、はっきり言って余計なお世話だと思った。タイにはタイの人権意識がある。文化も宗教も異なるヨーロッパ人の物差しで簡単に測って良い問題では無い。少なくとも、日本人の私は、これらの施設に対して何ら人権問題は感じなかった。

らむさんのコラムがどれも良かったんだけど、特に韓国のオーパルパルという元・ちょんの間だった地域のコラムは美しかった。いつも冗談めかした雰囲気の人だけど、花街やドヤ街といった自分の好きな地域が、政策により「浄化」され失われていく、という現実に物悲しさ、寂しさを感じたのだろう。
冒頭のカラー頁もとても良かった。旅行というか、冒険がしたくなる面白い本だった。

この記事が参加している募集

読書感想文

無職を救って下さい。