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Im Nebel

Hermann Hesse “Im Nebel”

Seltsam, im Nebel zu wandern!
Einsam ist jeder Busch und Stein,
Kein Baum sieht den anderen,
Jeder ist allein.

Voll von Freunden war mir die Welt,
Als noch mein Leben licht war;
Nun, da der Nebel fällt,
Ist keiner mehr sichtbar.

Wahrlich, keiner ist weise,
Der nicht das Dunkel kennt,
Das unentrinnbar und leise
Von allem ihn trennt.

Seltsam, im Nebel zu wandern!
Leben ist Einsamsein.
Kein Mensch kennt den andern,
Jeder ist allein.


『霧の中』

奇妙なことだ、霧の中を歩くというのは!
あらゆる茂みも石も孤独で、
いかなる木もほかの木を見ることは無い、
みな孤独だ。
 
ほんとうに、誰も賢くないのだ、
自己をすべてから、
不可避的に、そっと疎外する
暗さを知らないのだ。
 
わが生に光があった頃、
私にとって世界は友人であふれていた、
いま、霧が降りて、
もう誰も見えない。
 
奇妙なことだ、霧の中を歩くというのは!
生とは孤独であることだ。
いかなる者もほかの者を知ることは無い。
みな孤独だ。


・ヘルマン・カール・ヘッセ(Hermann Karl Hesse, 1877年7月2日 - 1962年8月9日)
ドイツ生まれのスイスの作家。1946年に『ガラス玉演戯』等の作品が評価され、ノーベル文学賞を受賞。代表作は『車輪の下』『デミアン』『荒野のおおかみ』『少年の日の思い出』『ガラス玉演戯』。

・第1連と第4連が対になっている。それぞれの連は、偶数行どうしと奇数行どうしとが脚韻を踏んでいる。
・ヘッセの著作のほとんどが、人生の孤独感、自分は世界から疎外されたアウトサイダーなのだという意識を描いている。この詩も孤独感や疎外感を、霧中に置かれたときの、何も見えない、辺りの景色から隔絶されている状況に譬えている。
・この詩を書いたのは1908年で、『車輪の下(“Unterm Rad”, 1906)』と『春の嵐(“Gertrud”, 1910)』のちょうど中間の時期。

無職を救って下さい。