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最近noteで読みがいのあった小説2023.10

読んだ順です。

清繭子さんの「花火ともだち」
時々変わった擬音を書くので、上村はそれも楽しみにしている作家さんなのですが、今回は擬音はない代わりに、肌感覚がくっきりと感じられる短編です。そのシーンが印象に残りました。切ない物語ですね。
迷惑なことをしておいて愉快 という登場人物に 上村が不快感を持たなかったのは初めてで、それも推す理由です。

説那さんの「せめて、声だけでも」
恋愛小説です。好きな人のくれたもの 匂い 写真 惹かれるものはそれぞれにあるけれど、この物語では声に焦点が合わせられています。彼女の御願いに対しての上村の予想は裏切られました。もっと深読みしないといけませんね。

紫藤市さんの「代読屋ははざまを繙く」note創作大賞の第一次予選/中間発表を通過した作品です。大正時代を舞台にしたファンタジーでミステリーな物語です。上村は大正時代が好きなので、それだけで推す力が強くなってしまいます。書店の二階に間借りしている主人公の男性は 人が手書きをしたものなら、行間や文字間から書き手の思いを読み取ることができるという設定です。少し村上春樹さんの「街と不確かな壁」を思わせると今気づいたのですが、読んでいる間は特にそんなことは考えませんでした。
男性が気にしている董子さんは彼に代読してほしいものを持ち込んできます。これが事件の発端になりますが、董子さんもいろいろな策をめぐらせる人で、特殊能力も隠し持っているというのが、面白いですね。総じて、男性陣はうぶで振り回される印象です。本当の主人公は董子さんで、代読屋の男性は狂言回しなのでしょう。事件は大正時代の価値観に絡むもので、代読屋は能力を発揮するのですが、結局董子さんの思惑通りに事が運んでいるという印象です。怪異などのユーモアもあるので楽しめると思いますよ。
誤字脱字がないし 文自体も読みやすく思いました。

皐月まうさんの「【小説】熱のたからばこ」
暫く音信不通になっていた元彼女が亡くなったと、夫と名乗る男が知らせてきたことから始まる物語。この夫が、知らせないでと言われたので連絡しましたという怪しい男で気になるんですよね。
この元夫と会うことで、主人公は元彼女の思いを知るんです。そして身体だけの関係の人や電話をする仲のスコくんを通して、受け身ではない自分に変わっていくという静謐な物語です。
note創作大賞2023年の第一次予選(中間発表)の突破作品です。

神崎翠星さんの「不思議の住処 (連作短編)」
とにかく不思議な雰囲気を作るのが巧いんです。ファンタジーによくある出来事をきっかけとしながらも、それからの展開が巧みで、民話のようでもあり、独自のようでもあり、何とも不思議な読後感にさせてくれます。
話によっては、戯曲のようでもありと、構成自体が不思議です。浄土のようなあの世界 行ってみたいですね。
全八話なので、長く感じません。
note創作大賞2023年の第一次予選(中間発表)の突破作品です。

紹介する作品が短編の場合、感想を長く書いてしまうとネタバレになってしまうので、短くしか書けないのがもどかしいと常々思っております。

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