シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||を見た僕の頭のスピンオフ部分(ネタバレあり)

続ける方がいい。
終わらせる方がいい。
そこに答えはないと思う。

庵野秀明は終わらせることを選んだ。
そしてこの長い物語を完結させた。
終わらせることでしか進むことができない、そう判断したのだと思う。

「終わらせながら進む」
この思想が今回のシン・エヴァの進行そのものとなっていた。

何かを犠牲にすることで次の展開に進む。
また何かを犠牲にすることでその次に進む。
結局それなくしては何も進まなかった。
庵野秀明の思想そのものがそれなのだろう。

TV版の頃から主要キャラが死ぬ設定を何度か見たことがある。
ただ実際には「:ll」の繰り返しによって死んでいないことになっていたりして、それが当たり前であるかのようなおかしな状態になっていた。


リゼロの1期では主人公のスバルが「死に戻り」をして世界をやり直す。
他の登場キャラの死に何度も面しながら自分が死ぬことで時間をさかのぼってそのシーンをやり直しながらあるべき世界を迎えていく。

シュタインズ・ゲートでは主人公の岡部倫太郎が時空を超えながら「リーディングシュタイナー」の力を利用して世界線をあるべき姿に戻そうとする。


これらはアニメの中の世界だけれど、どちらの主人公も心が壊れそうになりながらも最終的に乗り越えていく話になっている。

エヴァンゲリオンという物語をあるべき姿に持って行く過程で庵野の心が壊れかけるというのはものすごく理解できる話で、エヴァと同等に、あるいはそれ以上に庵野のストーリーがある。

おそらくみんなその庵野のストーリーを描きたいし、NHKもそれを求めていたんだろうけど結局深く庵野に入り込むことは出来なかった。
※深く入り込まなくてもそこそこ面白いのだが。


涼宮ハルヒシリーズで「エンドレスエイト」というエピソードがある。
夏休みの最後二週間を15000回以上繰り返すという内容である。

雑に説明すると、夏休みの終わらせ方に納得いかない涼宮ハルヒが無意識のうちに夏休みを終わらせないようにしている。納得いくまでループするように世界を改変している。つまりそこから抜け出そうとする話。

この「エンドレスエイト」の場合、涼宮ハルヒが納得しない明確な理由があったのでそれを解決することで時間を先に進めることができた。


エヴァの場合はどうだろう。
間違いなくカオスになりすぎていてカオスな状態こそが正常だという認識を持ってしまっている人の方が多いレベルだと思う。

そんな中で庵野秀明は自身の写し鏡であるシンジの時間の流れを元に戻そうとした。その手法としてカオスになっているものを整理していった。
時間の流れを正常に戻そうとするならそうするしか無いだろう。

エヴァにおける主要キャラとされる人物たちが次々とその使命を終えていく中で、寂しさ以上に心地よさに近いものを感じていた。
デトックスという表現が当てはまる感覚だった。

最終的に整理した先に残ったのがモヨコさんだった。

思えば「破」も「Q」も「シン・」もマリ(モヨコさん)の鼻歌で始まる。
役目を終えたエヴァ達に対する「お役目ご苦労さん!」の声はやっぱりマリである必要があると思う。

#単純に坂本真綾さんの声が好きだけなのかもしれないが 。。

いずれにしてもエヴァを収束させシンジの心を安定させるのは綾波でもアスカでもなくマリで間違いなかったと個人的には思う。

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エヴァに関して言えば終わって残念とか心残りとかいう感覚がひとつもない。「よかった、無事終わって!」という感覚に近い。

こういう感覚は珍しいなと思いながら映画館を後にした。






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