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執筆日:2023年11月27日(月)
更新日:2023年11月27日(月)
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はじめに

キリスト教会の3大祝祭日は、降誕祭(クリスマス)復活祭(イースター)聖霊降臨祭(ペンテコステ)です。一般暦の春夏秋冬に対して独自の教会暦は、毎年主イエス・キリストの降誕を祝う降誕祭(クリスマス・12月25日)の4週間前の日曜日である待降節(アドベント)から始まる、①主の降誕(クリスマス)を記念(想起)する期間、②主の受難と復活(イースター)を記念(想起)する期間、③聖霊降臨を記念(想起)する期間を通して、教会暦に沿った祝祭日を祝うことで聖書に記されたキリストの生涯を覚えます。教会暦の1年間は、いくつかの期節(season)に分けられ、その期節を表わす色(典礼色)が定められています。


教会の典礼色とは何か

礼拝堂の聖壇に掛けられる「聖壇の布」(オルタークロス)や牧師や神父の祭服に見られる色彩には、何種類かの「典礼色」(リタージカルカラー)がある。典礼色は、教会独自の季節や祝祭日を視覚的に表現する「感覚的なしるし」を通して、目に見えない神の恵みを象徴的に示している。教会の歴史の中で使用する色が変遷したが、第2ヴァティカン公会議後の典礼刷新(1962年〜1965年)によって典礼色が簡素化され、現在のの4色がよく用いられている。


白の意味

白は、神の栄光勝利復活喜び純潔を象徴し、降誕節復活節などに使用され、洗礼や結婚の各儀式(通過儀礼、聖礼典=サクラメント)の時にも白を用いる。また、復活を強調するために葬儀の時にも白を使うようになってきている。

赤の意味

赤は、2つの象徴がある。1つは火(聖霊)や教会を表し、聖霊降臨の祭日に用いられる。もう1つは血(命までささげ尽くす愛)を表す場合で、主の受難の主日、聖金曜日、また殉教者の祝祭日に用いられる。

緑の意味

緑は、いのち成長していく新芽の色で、天の国への旅を導く希望平和を意味し、1年の半分以上に用いられる。

紫の意味

紫は、悔い改め回心節制慎み悲しみ待望を表す色で、待降節、四旬節などに用いられる。ばら色は待つ喜び(控えめな喜び)を表すために、待降節の第3主日と四旬節の第4主日に用いることができる。

黒の意味

黒色は、葬儀や死者のための祭儀に用いることができるが、最近あまり使用されない傾向にある。

金銀の意味

祝祭日には、例外的にその日の典礼色(紫と黒を除く)に代えて、またはの祭服を用いることができる。この金と銀は、天の栄光神の力を象徴する色である。


典礼色(てんれいしょく)
[英]liturgicalcolors

人間は、日常の生活において「感覚的なしるし」を通して、精神的なものを表したり、知覚したりする。礼拝の場においても、典礼暦年(→教会暦)の季節や祝祭日の意味、または目に見えない神の恵みを象徴的に示すため、*司式者や奉仕者が身につける*祭服の色に多様性が見られる。
教会の歴史の中で、聖職者がローマ帝国の官僚の服装を用いるようになった当初は、その色に典礼的な意味は考慮されていなかった。4世紀頃から礼拝のための本格的な祭服が作られるようになったときに、白色が用いられたようである。典礼暦年の季節や祝祭日に対応して、その典礼色に変化が見られるようになったのは12世紀頃からであり、例えば、教皇インノケンティウス3世(在位1198-1216)は、ローマ典礼のために祝祭日は白色、殉教者の記念のために赤、回心の季節には黒、その他の時期には緑という規定を打ち出している。そして教皇ピウス5世(在位1566-72)が公布したミサ典礼書(1570)の中で、さらに金、紫、黄、青、ばらなどの色も採用され、典礼色は非常に複雑になった。16世紀の宗教改革以降、改革派の教会は伝統的な祭服を用いなくなり、同時に典礼色も失われてしまったが、ルター派や聖公会などの教会は、それを保持したり再導入したりしている。ローマ典礼においては、第2ヴァティカン公会議後の典礼刷新(→礼拝の歴史9)によって典礼色が簡素化され、現在では、主にの4色がよく用いられる。その他に、ばら、金、銀も用いられるが、黒はあまり用いられない傾向にある。それぞれの色の用途と象徴的な意味は、以下のようである。は、神の栄光勝利復活喜び清らかさの象徴である。降誕節復活節、キリストの神秘を祝う(公現、洗礼、変容、復活、昇天などの)祝祭日、聖母、天使、聖人の祝祭日、洗礼、堅信、初聖体、叙階、結婚の各儀式の時に、また復活を強調するために葬儀の時にも白を使うようになってきている。には2つの象徴がある。1つは火(聖霊)を表す場合で、聖霊降臨の祭日に用いられる。もう1つは血(命までささげ尽くす愛)を表す場合で、主の受難の主日、聖金曜日、また殉教者の祝祭日に用いられる。は成長していく新芽の色で、天の国への旅を導く希望を意味し、年間に用いられる。回心節制悲しみを表す色で、待降節、四旬節、葬儀などに用いられる。ばら色は待つ喜び(控えめな喜び)を表すために、待降節の第3主日と四旬節の第4主日に用いることができる。黒色は、葬儀や死者のための祭儀に用いることができるが、最近あまり使用されない傾向にある。祝祭日には、例外的にその日の典礼色(紫と黒を除く)に代えて、またはの祭服を用いることができる。この金と銀は、天の栄光神の力を象徴する色である。

出典:今橋朗, 竹内謙太郎, 越川弘英 監修『キリスト教礼拝・礼拝学事典』(日本キリスト教団出版局, 2006.2)

参考文献


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【東京・銀座編】教会めぐり:カトリック築地教会、聖路加国際大学聖ルカ礼拝堂、日本基督教団銀座教会を紹介


おわりに

教会で使用されている主に4つの典礼色は、教会独自の「教会暦」によって使い分けられます。次回は、そのことについて書きたいと思います。

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